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キャリアは偶然/若い「夢」に人生の支配権はない

佐藤ひろおです。会社を休んで三国志を研究しています。

「キャリアは偶然によって形成される」
という話を聞くと、海老原嗣生『クランボルツに学ぶ/夢のあきらめ方』を思い出します。キャリアの形成は偶然である、ということを、系統だてて説明している本。薄い新書ですけど、たびたび読み返します。

皇居でキャリア相談を受けた話

2019年の秋、皇居に市民を入れてくれるツアー?があり、並んでいました。待ち時間が長い。前後に並んでいた50代女性・30代女性と意気投合。名前も名乗らずに人生相談。ツアー後、ランチもしました。
おばさんの息子が高校生で、「夢のために、芸術系の専門学校に行きたい」と言っているそう。どう思います??みたいな話。

ぼくは、専門学校でなく、四年制大学を勧めました。
「四年制大学に行けば、社会に出て選択肢が多い。絵は、四年制大学に行きながらでも習える。大人になっても書ける。いますぐ専門学校に行かないと絵への情熱が失せるというなら、よりいっそう、専門学校に行くべきでない」と言いました。
責任は負えないが、その場限りの本気の意見表明。表現は丁寧に、敬意を払って、しかし内容は、本音を率直に伝えました。

「18歳のときの趣味嗜好や希望で、その後、45年間の職業人生の難易度を上げるなんて、釣り合わない。18歳の自分に、以後、45年間の大人の自分を支配する権利はないと思う

友人の従子が芸術家になりたい話

今週、友人との話。従子(小学生)が画家になりたいそうな。高校の美術学科に進み、芸術大学に行きたいと言っているそう。どう思う?と。
まだ小学生なので、本人が飽きるまで、絵を習わせ、画材を与えればいいと思います。飽きたらそこまで。飽きなかったら大成するでしょう。

「子供時代の夢に、成人後の人生を支配する権利はないはずだ。小学生のうちに、徹底的に見極めるチャンスを与えよ。夢の未消化のまま、思春期に突入するほうが危険」と言いました。

年齢制限の厳しい一部のスポーツ以外、本当に大事な夢ならば、いくつになっても挑戦できる。加齢を理由に諦めるなら、適性が無かったのだ。その程度の夢なのだ。これが、ぼくの経験を通じた「信念」のようです。

30歳の自分が、人生の独裁者になってよいか?

上記の2例は、いずれも責任のないシーンで言ったことです。その分、つよく賛同している考え方。元ネタが、海老原嗣生『クランボルツに学ぶ/夢のあきらめ方』。
39頁に、「30歳の自分が、人生の独裁者になってよいか?」という問い掛けがあります。30歳の自分が、独立する!!外資系企業でバリバリやる!!と決断し、道をせばめる。45歳のとき、ヘトヘトになり、「もっと、いろいろあったのに……」と後悔する、というイラストがあります。

ここまで書くと、「夢」を持つべきでないのか?
という問い掛けが浮上します。海老原氏は説明しています。キャリアは偶然によって形成される。腐らずに可能性を呼び込み、オープンに粘り強く継続せよ。「夢」の変化を恐れるな、避けるな、そして死ぬなと。

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