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『私は太田、広島の川 ~朝は、夜の闇に包まれた~』
『私は太田、広島の川 ~朝は、夜の闇に包まれた~』
作:ジャン・ポール アレーグル
翻訳・演出:岡田正子
主催:フランス演劇クレアシオン
昨晩、こちらの演劇を観てきました。
このお話は2015年に初演を、そして昨年広島で公演され
今回が3回目の公演でした。
毎年8月にやっている『ちいちゃんのかげおくり』の朗読配信。
こちらで出演して頂いている方々のご縁も多く、
そして、広島の原爆を題材にした公演だということもあり、やっと観に行くことができました。
(初演の時は、予定が合わずいけませんでした)
このお話を書かれた、ジャン・ポール アレーグルさんは
フランスの方で、今まで私達が原爆の話で触れてきた視点
(広島(日本)側、アメリカ側)とは、また違った視点で
物語が描かれています。
主役というか物語の軸にあるのは『太田川』。
今でもある、『川』の目線で物語が進んでいきます。
そして、なぜ原爆という兵器が作られて、
なぜ広島に落とされることになったのか?
どのような決定がなされ、どのような形で原爆投下の当時を
むかえていったのか。。。など
投下されるまでの経緯とその後のことも、数字や実際の
お話を元に細かくでてきます。
現在の資料館にはそのあたりの数値的な資料もあったと
思いますが、細かなところまで知っている人は意外と
少ないかと思います。
前半は、投下に至るところまでを細かくそして丁寧に
描いています。
正直、前半は少し難しく感じることもあるかなぁと思いました。
そして、色々な人の思惑が込められてむかえた8月6日。
いつものようにゆったりと流れる太田川の上空で、世界初の
核兵器が投下されます。
ここからは、太田川が見た原爆投下直後の広島。
投下したアメリカ軍側の考察、運よく生き延びた方の証言
などを元に進んでいきます。
ここの場面で、太田川が原爆が投下される前から
みてきていたことと、原爆投下後、そして未来へ。
気が付くと、涙があふれていました。
広島で生まれ、広島で育ち、平和教育というものを長年
受けてきました。
その内容は、日本人からの視点がほとんどでした。
最近になって、資料館に資料が寄贈されるなど
公開されるようになり、アメリカ側の視点での様子も
わかるようになりました。
しかし、この演劇はさらに違った、視点で描かれています。
そして、太田川という川を擬人化させて川の視点という
ものも中心にあります。
色々な視点を知ることで見えてくることもある。
納得はできないけれど、理解をすることもある。
そして、何よりもどの視点から見ても改めて
原爆というものの悲惨さは伝わりますし、二度とこのような
ことがあってはいけないと思う気持ちが強くなります。
公演後、昨年の広島公演での観劇された方の感想を
読ませて頂きました。
本当に色々な感想がありました。
演劇として素晴らしい!といわれている方。
新たな視点でのアプローチで、新鮮な発見をした方。
ただただ、翻訳・演出の岡田正子さんの公演を見れて
喜んでいる方。
すべてに、ざっとですが目を通させてもらって思ったことが
ありました。
『この演目は、広島の人にこそ見てもらいたい。』
『高校生くらいから30代までの人にみてもらいたい。』
感想を見ていくと、何かしらこの演劇の中から感じ取って
いる方の大半は、40代から60代の方々。
これからの世の中を作っていく若い世代の感想が極端に
少なかった。
正直、ちょっとショックでした。
そしてそれと同じくらい、私たちがやろうとしている
『伝える』ということを、もっと若い世代を意識すると
いうことも大事だなぁと思いました。
と、長くなってきましたが
この公演を観て私が個人的に思ったことは。。。
・広島の人たちにもっとみて感じてほしい
そして、自分なりに昇華した「何か」を自分の伝え方で伝えてほしい。
・若い世代(高校生くらいから30代くらいまで)の方々にしっかりと理解するようにみてほしい。(そういう場を設けてほしい)
と、強く思いました。
私自身は、公演後に作者のジャンさんともお話させて頂いて
もっとできることがあるだろうなぁっていうことと、
今続けてきていることの方向性も少し見えたような気がしました。
この公演は本日土曜日の2回と明日、日曜日のお昼に1回と
なってしまいますが、行ける方には是非行って観て頂きたいなぁと思いました。
※長くなったので公演後のお話はまた別の投稿で。