濁りからの逃避 2024年 WBS 第2戦
準優勝の初戦から一ヶ月。
すぐに二の矢を放っておかないと、先頭集団から振り落とされる。
さて、例年通り第2戦はGWに絡む北浦ラウンドである。
潮来マリーナを会場とし、北浦に加え、鰐川、北利根、外浪逆浦、常陸利根川(霞ヶ浦本湖はエリア外)が決戦の舞台となる。
前回書いたように、WBS3年生である私の北浦戦歴は、初年度はノンボーターで雰囲気のみ捉えるのが精一杯、2年目になってやっと魚が好むエリアを絞れた様な状態であった。
一週間前
季節はスポーニング期の前半といったところ。
北浦最上流から下りながら各所の雰囲気を見ていく計画。
程なく到着した巴川は少し水がクリアすぎて気になったが、メインチャネルを避けた葦の窪みや、ちょっとした沈みモノが先の一週間で良くなる気配はムンムン感じていた。
話は逸れるが、私が練習で心がけていることは、スポットの基礎点をつけることである。さらに「あと20cm水位が高かったら15点加点」「ここは東風吹いたらしたら大幅加点」などのオプションポイントも考える。
やはり巴川付近は各所高得点のスポットが多い。
その湖沼の主たるインレットは、流量による地形の複雑化や、流されてきた漂流物が留まる事が多いので必然的に良い得点になる。
また変化のサイクルが早い事で、敏感に感じ取れる人だけが良い思いをすることが多々ある。
軒並み80点台のスポットを抱えた巴川エリア。
しかし、そんなことはみんな考えている。
たとえフライトが良くとも、もれなく数艇に千切られるだろう。10艇でシェアできる広さかというと微妙だ。たとえシェアしたとしても精神衛生上耐えられそうもない。
鉄火場になりそうなこのエリアは試合では外す選択をした。
その後、下流方面へ下りながら各所の様子を見るが、確信に繋がるようなエリアは見つけられず、捨てていく作業を続けてその日は終わった。
切り離せないイベント
毎年GWあたりには頭に入れておくこと、それは付近の水田から流れ込む代掻きの濁りである。
千葉茨城の農家さんは兼業も多く、GWにあわせて家族総出で田植えを行うことが多い。なので利根川水系の湖沼に繋がるクリークからは黄土色の水が流れ込む。試合はGW前半の二日目で、濁り始めといったところだろうか。
自分にとってこの濁りはエリア基礎点からマイナス40点くらいのファクタである。
多くの魚は濁りのエリアから移動するか、移動できない個体(ネストなど)はじっとして口を閉ざすかのどちらかであると考えている。
この試合にはどれだけ影響するのか?
近所の田んぼに張った水面を見ては、次の週末を憂いていた。
試合前日
この日はSDGMarine横利根ベースから出船。会場の潮来マリーナより北エリアは捨てて、チェックを始める。
北利根川の水は悪くなく、外浪逆浦も常陸利根川も代掻きの影響はない様子だ。
そのまま潮止水門まで一気に下がって釣り上がりながらチェックし始めると、要所のシャローや水門、ドック周りで反応がある。終いにはルアーを咥えて離さない魚も。
ただこの日の天候は曇天小雨。至る所でプラス30点のポテンシャルを発揮してしまっている。そして明日の試合は晴天無風。
しかし点数の差し引きあっても北利根川と外浪逆浦は使えそうな感触で前日練習を終えた。
その矢を放つことは出来るのか
そして試合の朝を迎える。
初戦でポイントを持って迎える2戦目であった。ココで無駄にしたくない。ボウリングならストライクを取ったあとのフレームだ。
フライトは13/36艇目であった。やはり多くの選手はバウを上流に向けていった。
それを横目に私は予定通り下流の外浪逆浦の東岸を目指す。昨日の食らいついて離さない魚を追った。
朝から太陽が顔を出す。バイトはない。
よく見ると波打ち際で泡が消えずに残っている。夜間に西風を受けて濁りの入った水が押し寄せていたのだ。
早々にここから避難し、良い水を求めて北利根川のエリア最西端まで移動する。
着いてエレキを下ろすと、ここも茶色い粒子が浮いている。なんで?
案の定昨日多発したバイトは鳴りを顰める。
さて、今回も困ったぞ。
良く考えろ。周り全てを観察しろ。
ふとその辺の竹杭を見ると、ほんのり水が巻いている。昨日より順流が強くなっている。
これは霞ヶ浦本湖から濁りが落ちて来ただけで、昨日の綺麗な水は下流側にスライドしただけなんじゃない?
水を見ながらデッドスローで下流に戻ると、やはりどんどん良い水に戻ってくる。
そこからはすぐに答えが返って来た。
下流の葦ストレッチの始まり、そして終わりにはアクティブな魚が残っていた。
それでも産卵絡み、ましてやこの晴天下なのでセレクティブになっているはず。
タフ時に絶対的自信のあるHP3DWackyを手にし、1時間に 2本のキロアップをライブウェルに収めることが出来た。
それからは時間いっぱいまで同エリアを回るが、他船の引き波で釣りが困難になってしまいストップフィッシングとなった。
ウェイイン
2,100gで4位となり、ギリギリ二の矢を放つことは出来た。やはり上位3チームは巴川エリアから出た。
はたして自分が巴川にいて上位に食い込めたか?その答えはわからない。
でもこの試合で自分がとった戦略は間違いではなかったし、試合中もアンテナを張って状況を判断して立ち回り出来たことに自信を強めた。
「昨日はここで釣れたのになぁ」と首を傾げながらそこで無機質に竿を振り続けてはならない。観察し、考える続けるのだ。
ダブルは遂げた。
次はターキーを狙う。
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