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【妄想解説】ヨーロッパ選手権シニア男子1000m

妄想解説

 面白いレースをピックアップして、勝手に解説していきます。
 今回は2019年のヨーロッパ選手権です。
 スペイン・パンプローナで開催された本大会。ベテランと若手が世代交代をかけて激突しています。
▶︎ https://youtu.be/FXMhuXfFUEA

シニア男子1000m決勝

 1000mは過酷なレースです。最初から全力で行くには長すぎるし、かといってペースは速い。途中のポジショニングが詰将棋の様にゴールに繋がっていきます。それぞれの思惑・戦略を考えると面白くて何度も観てしまいます。
 トラックは1周200mで5周の戦いです。約1分20秒の間にこれでもかというほどの戦略と駆け引きが詰まっています。

3人を決勝に送り込んだイタリア(明るいブルー)
崩しにかかるフランス(濃いブルー)
スペイン(白と赤黄)とポルトガル(赤緑)が単騎で隙間を狙う。
大人しめのベルギー(水色)もいつの間にか争いに加わる。

スタート並び

外ー 伊仏仏伊 ー内

 🇮🇹イタリアは、決勝の並び順が決まった時点で、スタートで🇫🇷フランスの進路を潰すのに全力を賭けている。外の🇮🇹イタリアが内へ潰しても良いし、ダメなら内の🇮🇹イタリアが外へ向かって🇫🇷フランスの進路を塞げば成功。

 🇮🇹イタリアが1、2番手を取り切り、一方で🇫🇷フランス2人の勢いが落ちた結果、最外の🇮🇹イタリアも3番手に入り込み、ここはイタリアの完勝。
 🇪🇸スペイン(パチ)、🇵🇹ポルトガル(ディオゴ)はベテランなので様子見スタート。

序盤を支配するイタリア

 🇮🇹イタリアの先頭は最後まで走るつもりはなく、チームのために走ってる。
 先頭を引き続けた🇮🇹イタリアが3周目の最初のコーナーでラストスプリント並の加速をして、🇫🇷フランスの攻撃をかわし切る。
 これで彼の仕事は終わり。あとはできるだけ他の国の邪魔になるように走るのみ。アシストで疲れきっても3番手に入るのは🇮🇹イタリアの選手層の厚さを感じる。

地の利

 スペインのこのリンクはグリップが弱い(スリップしやすい)様子。あるいは小さな凹凸があるのかもしれない。特に最終コーナーに難があり、バランスを崩すシーンが少なくない。
 🇪🇸スペインのパチ選手は地元開催でここの路面を知り尽くしていて、1人だけ明らかにコース取りが違う。
 🇵🇹ポルトガルのディオゴ選手は長年BONTでパチとチームメイト。練習も一緒にやっているのでその利を活かしている。
 🇧🇪ベルギーのインドラ選手はまだ路面に慣れてなくて、このレースだけで3回バランスを崩しているが、最後まで勝負に絡む驚異的な粘りを見せる。

フランスの猛攻と崩壊

 4周目に入って🇮🇹イタリアはエースのブラマンテ選手に先頭を代わるも、ここまでかなりハイペース出来てるので彼自身も脚にきている感じが見える。
 🇫🇷フランス2人は焦り始めてきたが、これまでにイタリアの壁を崩そうと手を尽くしてきたので余力も無くなってきた様子。
 🇧🇪ベルギー、🇪🇸スペイン、🇵🇹ポルトガルがここに来てようやく勝負の準備を始める。アップは充分だ!🇧🇪ベルギー・インドラは路面不慣れなまま加速しようとしてバランスを崩して後退していく。

 最終周回、🇫🇷フランスは焦って🇮🇹イタリアを潰すことにこだわり過ぎ、最終コーナーで🇮🇹イタリアへと強引に突っ込んでいく。結果的に🇮🇹イタリアの一人を潰したけれど、同時に自分達も自滅。

 後ろの🇪🇸スペイン、🇵🇹ポルトガル、🇧🇪ベルギーは結局最終周回だけ加速すればよく、勝負に持ち込んで2、3、4位に入った。
 おそらく7番手の🇮🇹イタリアは最終コーナーの🇫🇷フランスとの絡みで失格となったよう。

パチの舞い

 見返すと🇪🇸スペイン・パチ選手の5周目の動きは超人的だった。最後尾から2位まで上げたのもすごいけれど、それよりもコース取りが天才的。
 🇧🇪ベルギーのインドラはパチのラインを追って4位に入ったのは好判断だったけれど、それでも同じラインは走りきれていない。

フランスの勝機はどこにあったのか

 🇮🇹イタリアが3人決勝に入ったこと、スタートで1-3番手を独占したことで、🇮🇹イタリアの中の誰かが勝つ確率はかなり高くなった。その状況下で2-4位に入った3人はレース展開としてはベストなルートを通ったと言える。

 一方で、有利なはずの2人で挑んだ🇫🇷フランスは一人負け(というか二人負け)。🇮🇹イタリアを倒すことに執心したあまりに惨敗した感じ。(それがなければ2-4位の3人もなかったかもしれないけれど)

 あとから見たら、勝負どころは4周目の🇮🇹イタリアの先頭交代だったかなと思う。先頭から落ちてきた🇮🇹イタリアを3番手に入れてしまったことで、それを躱すのに余計な時間と体力を使うことになり、勝負まで持っていけなくなってしまった。
 あそこで3番手を譲らずに、🇮🇹イタリア2 vs 🇫🇷フランス2 の勝負に持って行ったら変わった気もする。

 なんて妄想で言っても、世界記録に近いスピードで走ってるので無理な注文なんですけどね。😆

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Hiroqui Totori
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