Hiroqui Totori

インラインスケート日本代表の戸取です。(スピード競技/2007〜現在)。東京ドームのロ…

Hiroqui Totori

インラインスケート日本代表の戸取です。(スピード競技/2007〜現在)。東京ドームのローラースケート施設で働きながら世界中のレースを回っています。国内外で見つけたこと、身に付けたこと、トレーニング方法などを書いていきます。

マガジン

  • 戸取大樹のインラインスケートの世界

    30年あまり続けているインラインスケートを通じて、挑戦すること、旅すること、感動すること、考えること、共有したいことを載せています。

  • スケーティング改善トレーニング

    スケーティングの課題は人それぞれです。 経験や、バックグラウンド、体型や骨格、目標も違えば必要なスキルも違います。 大人数のクリニックではとばさざるを得ないことも、 スケーティング改善トレーニングでは、時間をかけて取り組めます。

  • 世界のレースにコンニチハ

    海外レースに出よう!と言っても、どんなレースがあって、実際はどんな雰囲気なのか、わからないと不安ですね。海外レースを飛び回っている経験を元に、そのあたり明らかにしていきます。選ばれた人しか出られない、なんてことはないのです。

  • インラインスケート道具考

    インラインスケート(主にスピードスケート)の用具について細かい話だけしていきます。

  • インラインスケート/ローラースケートの質問箱と回答

    質問箱に寄せられた質問の回答(掲載可のもののみ)を掲載します。

最近の記事

名前に引っ張られる②

クロス スケートで習得したい技術といえばクロスオーバーですね。コーナーでスピードを落とさず足を運んでいく動作は見た目にもかっこいいです。ただ、クロス=交差というイメージに引っ張られすぎると、上達したいときにちょっと困ったことになるかもしれません。 交差するのはどこ?  クロスという言葉のイメージを追うあまり、正面から見て❌字にしようとすると却ってブレーキになってしまったり、右足が左足を越えるときにぶつかりそうで怖かったりします。 クロスは、横から見てクロス  そんなと

    • 名前に引っ張られる①

      滑る  スケートというと「滑る」と言います。  この「滑る」という言葉がちょっとばかり厄介だなと最近思います。  スケートをしている人はスィースィーと「滑って」見えるのですけど、スケートを上手くなりたい!という人にとってはこのイメージが邪魔になったりするかもしれません。  スケートというスポーツの動作としては「滑る」よりも「乗る」の方が適切じゃないかなと思っています。英語で言うと「Slide」よりも「Ride」という感じです。  ではスケートは滑っていないのかというと、

      • 世界選手権で勝つために必要なこと 2/2

        前ページ1/2はこちら ・スピード  世界選手権開催中(2024年9月15日)、台湾の黄コーチ(現在中国ナショナルチームコーチ、WORLD SKATEスピード委員)に相談しました。  黄コーチは台湾・高雄の人で、もともと自身も選手でしたが、引退後コーチとして沢山の世界チャンピオン、アジアチャンピオンを育ててきました。2010年代からは台湾だけに留まらずアジア全体の底上げを考えて海外選手を積極的に受け入れ、アジア地域のレベルアップに大きく寄与してきました。国籍問わず情熱的

        • 世界選手権で勝つために必要なこと 1/2

          WORLD SKATE GAMES ITALIA 2024現在の日本の位置  イタリアで開催された世界選手権。ヨーロッパ開催、特に盛り上がるイタリア開催でアフリカ諸国を含む多くの国が選手を派遣してきました。コロナ期間派遣できずにいた日本も昨年から少しずつ派遣を再開し、今年度は久しぶりにフルメンバーでの参加となりました。  しかしながら、現地で目の当たりにしたのは想像以上の世界との差。一朝一夕では決して埋まらない大きな隔たりがありました。アジアにおいても下位に位置し、決して恵

        名前に引っ張られる②

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          8本
        • インラインスケート道具考
          32本
        • インラインスケート/ローラースケートの質問箱と回答
          9本
        • スケートと自転車 練習日誌
          0本

        記事

          毎日練習する意味 その2 低い志しのススメ

           3年前に「その1」を書きましたが、それはそれとして今も納得できる内容だと思いつつ、違った側面もあるなと最近思います。  ストイックに毎日やってる人はもちろんすごくて、心から称賛します。  とは言えみんながみんなそうではない。  そんなに心、強くないです。 自制心? 最近ちょっと気に入ってるのはモチベーション系のSNSで 「毎日トレーニングしてる選手は好きで毎日してるわけじゃない。彼らはDesciplineで毎日動いてるんだ」 みたいなのがあって、Desciplin

          毎日練習する意味 その2 低い志しのススメ

          プロのレースで言われたこと

           プロとアマチュアの線引きは人によっても違って難しいところで、インラインスピードスケートの世界ではいわゆるプロ制度みたいなのはありません。ほとんどはメーカーなどの抱えているチームとの個人契約、あるいは私設チームでサポートがあるみたいな感じです。  その中で珍しく「プロ制度」をコンセプトに立ち上がったリーグがアメリカにあります。「National Speedskating Circuit」略してNSC(吉本ではない)  チケットを売り、ショーアップされた舞台で、選ばれたエリ

          プロのレースで言われたこと

          インラインスケートの誤解(エッジの話)2

           前回、構造の違いから来るスケーティングの動作効率の違いを解説しました。では実際の動作に於いてはどんな違いが出てくるのでしょうか。  ここでもう一度バート選手の動画を見ておきます。  アイススケートに於いては「エッジに乗ること」が最も刃が安定し、抵抗が少なく、減速も少ない動作です。従って、できるだけ早く接地の瞬間からアウトエッジに乗り、そのまま体重を乗せて滑らせていく動作になります。  他方、インラインスケートでは「アウトに乗ること」は重心軸を捉えるのが難化し、抵抗が増え

          インラインスケートの誤解(エッジの話)2

          インラインスケートの誤解(エッジの話)1

          よく似たスポーツ  アイススケートとインラインスケート、とてもよく似ています。  形も似ているし滑り方も似ている。  そもそもインラインスケート自体が、演劇の舞台でアイススケートの表現をするために発明されたものなので似ていて当然ですね。  でも氷の上に刃を乗せて滑るアイススケートと、アスファルトにウレタンのタイヤを転がすインラインスケートはやっぱり違うところがあります。そこを無視してしまうと、スケーティング動作の誤解につながり、ともすると上達の妨げになったりすることもあり

          インラインスケートの誤解(エッジの話)1

          考25 BIGFOOT WHEEL by NSC

           実はアメリカは、屋外よりもインドアのレースの方が盛んです。  意外かもしれませんが、スピードの200mの競技用トラックは全米で2つくらいしかありません。国内選手権もIDN(Indoor Nationals)とODN(Outdoor Nationals(トラックとロード))という括りになっていて、インドアの方がより盛り上がっています。ODNは主に世界選手権に出るような選手が選抜のために出る意味合いが強いです。(2022年現在、世界選手権にインドア種目は無くトラックとロードの

          考25 BIGFOOT WHEEL by NSC

          2022年4月の海外遠征 PCR等諸事情

           2022年4月12日から4月20日までアメリカ・フロリダ州オーランドへ遠征してきました。渡航時の必要書類や現地の様子などを備忘的にまとめておきます。  ※以下の情報は時期により修正されたり不正確な部分もありますので、参考程度に考え、最終的な確認はご自身で行ってください。 ワクチン接種証明渡航2週間以上前にワクチン3回の接種を完了していました。これにより現在は となっていてり、帰国時の隔離期間がゼロになっています。(渡航先が指定国・地域かどうかしっかり確認するようにしてく

          2022年4月の海外遠征 PCR等諸事情

          インラインスケート用具の選び方②

          ①の記事をご覧になってからお読みください。 大手メーカーの信頼性 スピード用スケートはスピードが出やすいスケートです。自身の能力の限界やそれ以上のスピードが出ることがあり、安全に関する信頼性は最優先事項です。もちろん他の種目用スケートでも安全性は大事ですが、スピード用は直接命に関わります。  以下に挙げるメーカーは十分な信頼性があり、トップ選手も使用しているものです。 ブーツメーカー ・POWERSLIDE(ドイツ) ・BONT(オーストラリア) ・TAKINO(台湾)

          インラインスケート用具の選び方②

          インラインスケート用具の選び方①

           新しいスポーツ、新しいジャンルに挑戦するときは何を基準に用具を選んだらいいかわからないですし、誰に訊いたらいいかもわからないものです。  インラインスケートの種目ごとの違いは他に譲りまして、スピード用具の選び方について、ご自身が買う時、迷っている人が身近にいた時に参考にしていただけるように記事を書きます。 パーツごとにバラバラでもいい インラインスケートの大まかな構造としては ①ブーツ ②フレーム ③ウィール(タイヤ) に分かれます。アグレッシブやホッケーなど他ジャンル

          インラインスケート用具の選び方①

          自分で見えない、練習の大事なポイント

           ちっちゃなことだけれど思ったより大事なことで、そして気づきにくいことです。20年以上たくさんの人を教えてきましたが、8割の人が言われるまで気づかず、気づいてもついつい戻ってしまいます。  (トレーニングではなくて「練習」と書いているのは、筋力アップとかではなくて動作を繰り返して身につけることを指しています。)  動作の練習をするときに自分では見えないことがあります。  それは・・・       ・       ・       ・       ・  自分の目の向き 👀

          自分で見えない、練習の大事なポイント

          スケーティング改善トレーニング ⑩

          3人同時受講 気持ちの良い浦安の海沿いで、ベテランのMさん、Yさん、始めて間もないKさんの3名の方に受講いただきました。  Mさんはアグレッシブインラインスケートが日本に入ってきた頃からのスケーターで、綺麗に乗るスケーティングが印象的です。日本のインラインスケート業界の多くを知り、自身もよく知られているベテランですが、タイヤが大きくなってきたことで改めてご自身の滑りを見直したいとのことで受講いただきました。  Yさんもブランクがありますが昔からのスケーターで、大径化で改め

          スケーティング改善トレーニング ⑩

          インラインスケートの基礎練習(ロングラン、フィットネス、スピード向け)

           スケートを履くたび毎回やっておきたい動作を紹介します。  こうした基礎動作は上達するのに伴ってスケーティング自体の効率が上がっていきます。上手くなればより楽に、速く滑れるようになっていきます。滑りだす前の5分間だけ、時間をとって習得していきましょう。  これらの動作はスケートを履かないで運動靴で行うオフスケートトレーニング(ドライランドトレーニング)がベースになっていますので、そちらもしっかりと身につけていきたいですね。(後日紹介いたします) ①両足にまっすぐのる スケ

          ¥200

          インラインスケートの基礎練習(ロングラン、フィットネス、スピード向け)

          ¥200

          スケーティング改善トレーニング ⑨ Kさん

           30年以上の経験を持つKさんですが、最近になって大きいタイヤのフレームを手に入れたのを機にロングランの楽しさを知ったそうです。同じスポーツでも楽しみ方の変化があるのがインラインスケートの良いところですね。  もともとはインラインホッケー競技をしていたそうで、短距離の加速などに比べ長距離をゆったりと滑るのは得意ではないとのことでした。(それでも数十キロのロングランはこなせるレベル!)  今回は ① スピードスケートの走り方を見たい ② 最高速度を上げたい。(現在は35〜4

          スケーティング改善トレーニング ⑨ Kさん