考009 EO SKATES CARBON FRAME
どの製品も、黎明期と成熟期、完熟期があって、例えばロードレーサータイプの自転車などは、ディティールの進化はあっても、全体の形としてはもう完成されていて、大きく変わることはないわけです。逆に、そこが変わったら違うものとして捉えられてしまうような。
インラインスケートに関しては、全体としてはまだ完熟期には入っていないと思います。レース形態や、スケートをするにあたってのシルエット的なフォルムは完成されつつあるけれど、まだ変化の余地を残してます。特に125ミリへの転換という大きな山が、この先待ち構えてます。ただ、個別のパーツで見れば、それぞれ完熟期に近づいてるのかなと思います。
カーボンを使ったフレームが登場してから10年くらいになります。それまでアルミやチタン、マグネシウムなど、金属が主流だったところに、圧倒的な軽さと硬さで勝負をかけていました。が、その硬さ故に加工が難しく、プロレースに耐える物まではいかなかったようです。また価格的な課題もありました。
自転車のフレームのインプレッションと同様「乗り味」があるので、もちろん個々人の好みは分かれますが、良いフレームとは、突き詰めて単純に考えれば
①軽い
②丈夫(硬い)
が、2大要素です。しかし、素材の体積に応じて重さがある以上、①軽くするには量を減らすしかなく、②減らせば丈夫さが失われます。
それらを解決する答えがカーボンだったわけですが、硬さはそのまま加工の難しさであり、安定した供給が出来ずにスタンダードになりきれないでいました。EO SKATESのフレームは、その意味である種の完成形を提示した商品と言えます。レースシーンのカーボン素材フレームでは間違いなく最大シェアです。とくにヨーロッパではアルミ含め全体の2割近くになる印象です。
もちろんEO SKATESも、そこに至るまでに長い道のりがありました。
開発当初は、レース中に割れることもあり、あるいはカーボンと金属の組合せの難しさからシャフトネジが空回りしたり、緩んでタイヤが転がってったり、なんてこともあったそうです。(現在は解消されています)
毎週どこかでレースのあるヨーロッパでの度重なるテストを経て、一つの完熟期に入ったと言えます。あとは125ミリやその他のラインナップへの転換だけなので、カーボン製品としての地位はしばらく揺るがないでしょう。
で、実際に履いてみてどうなの?
数字的に見れば、一般のアルミフレームが200〜250gなのに対して約140gとまあ7、80g軽いので、軽いのは確かです。
昨年、フランスの3pistesレース中に初めて履いた時はビックリしました。普段のアルミフレームは革靴で、カーボンはスニーカーという気分です。
感覚的には圧倒的に軽い。これはもうアルミには戻れないなーと思いつつ、ただ操作が硬い、という印象も同時にありました。
自転車のフレームのインプレッションと同じですね。カーボンを履くと、それまでのアルミが、粘っていて、反発力やバネのような感触を持っていたことに気づきます。ある程度融通が効くというか、柔らかな乗り心地です。他方、カーボンにはハッキリとした方向性があって、真っ直ぐ進むなら真っ直ぐ!と強く主張してきます。これは慣れるのに少し時間が必要だな、と思いました。実際にはさほど時間は要しませんでしたけども、幾多のアルミフレームとは違うものだというのは確かです。
前々回の125ミリの回で書いたように、125ミリ3輪のセット自体が軽いですが、フレームもカーボンならなお軽くなります。これはもう別次元の感覚になりますね。
ついでに125ミリの回で書き忘れていたこと。
ジャイロ効果について。
身近なところではおもちゃのコマや、セグウェイなんかのバランス系の機器が採用しているジャイロですが(iPhoneにも入ってたような)、要は回転するものが軸方向に安定しようとする現象ですね。
これまでまあ110ミリでも少し感じるかなーていうくらいでしたが、125ミリではガッツリ感じます。足が矯正されるかのごとく直立しようとします。慣れると面白いし、逆にそれをうまく使えるようになってきますが、この感覚は今までのスケートにはない感覚だと思います。
今回は、感覚の話ばかりですが、まあ、データや数字は他でも調べられるので、これからも「僕の」インプレッションを書いていきますね。
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