ゲーム紹介#02 エストポリス伝記2
Twitterのハッシュタグ「#いいねされた数だけハマったゲームを紹介する見た人全員やる」をつけて呟いてしまった贖罪その2。
※ネタバレ有り
■概要
メーカー:タイトー
ジャンル:RPG+α
プラットフォーム:SFC
1995年発売。
なんで2からレビューなのかと言うと単純に2の方が比較にならないレベルでクオリティが高いから。
■全体評価
・10点満点中9点。
・隠れた名作。隠れすぎだ!もっといろんな人にやって欲しい。
■あらすじ
・四狂神という「恐怖」「殺戮」「混沌」「破壊」を司る神が「虚空島」という空に浮かぶ島に突如現れ、主人公のマキシムが悪いことし放題のそいつらを倒しに行く。これといったひねりの無い王道設定である。
・設定には特に目新しいものは無いが、人間関係のドラマや演出が非常に丁寧に描かれており、その点も本作を名作たらしめている部分のひとつ。
・ちなみに本作はエストポリス伝記1の100年前の出来事という体裁を取っており、1のオープニングは今作のラスボスを倒すところから始まるという珍しい構成。
■映像
・マップや背景などのドット表現は及第点以上だが、95年作品として見ると他RPG作品にやや劣るか。
・敵キャラクターのデザイン等はリアル系というよりやや可愛い系でまとめられており、シリアスなストーリー展開とはやや合わない印象。というよりカッコ悪いデザインの敵キャラが多い。
■サウンド
・音質も良く、各シーンに非常に良く合った高クオリティの楽曲群が冒険を盛り上げる。特に戦闘曲などの評価は高く、ロマサガとか好きな人には特に合うのではなかろうか。
・個人的にはEDのイベントで流れる「地上を救う者」という楽曲の破壊力には度肝を抜かれた。ゲームやっててBGM(と演出)で「うおおお!」となった数少ない体験のひとつである。
■システム
・この作品の最大のウリ。どこから話していいものか。
◆シンボルエンカウント/ステップムーブ
・ダンジョンでは基本的に敵シンボルが徘徊しているが、こちらが動かなければ敵も動かない。一行動すると敵も一歩ずつこちらに向かって来て接触すると戦闘画面に移行する。トルネコの大冒険などを想像すると分かり易いだろう。フィールドはランダムエンカウント。
・ちなみに弓矢で敵シンボルを射ることで一定時間動きを止められるので、戦闘がだるいときは容易に回避して進むことが出来る。逆に言うと低レベル縛りなどのプレイスタイルにも向いている。(ゲームバランス的に縛りプレイが出来るのかどうかは分からないが。)
◆ダンジョントリック
・パズルゲームですかこれ?と言いたくなるくらいに練りこまれた謎解き要素。剣で草を刈る、壺を持ち上げる、弓でスイッチを射る、壁を爆弾で破壊する…などのどこかで見たようなアクションを駆使してダンジョンを攻略してゆく。弓矢に火をつけて射る、等の他であまり見ないアクションも搭載されている。
・トリックの進め方によっては詰んでしまい、先に進めなくなってしまうのだがご安心あれ。時間を戻すアイテムでその部屋のトリックを触る前に簡単に戻し、再チャレンジすることが出来る。その際撃破済みの敵などは復活せず、取得した経験値などもそのまま。集中して謎解きに挑むことが出来る。開封済みの宝箱等はどうだったか覚えていないが。
◆IP(怒り)システム
・攻撃を受けるとIPゲージが溜まっていき、MAXになると武器や防具に設定されている必殺技を放つことが出来る。
・某RPGのリミットブレイクに似ているがこちらの方が先。キャラごと固定で4つまでしか覚えられない某RPGと違い装備依存なので、IP技の性格によっては後半でも弱い装備を使用するなどの活かし方が出来る。
◆カプセルモンスター
・カプセルに捕獲したモンスターが戦闘の手助けをしてくれるシステム。弱らせてゲットだぜ!のシステムではなく、イベントで入手する。戦闘に参加することでカプセルモンスターは成長し様々な技能を覚える。僕はあまり使わなかったが…。
・調べたらなんとアレの赤緑が96年発売、これもこっちの方が先だった!
先見の明すげえな。
◆いにしえの洞窟
・入るたびに構造と入手できるアイテムが変わるローグライクダンジョン。総フロア数なんと地下100階(笑)。いったい何のゲームなんだよこれは。
・登場時期としては序盤の終わりくらいで、頑張って下層まで潜り続けるとその時点ではかなり強力な装備を手に入れることも出来る。えぇ冒険そっちのけで潜り続けましたとも。
・地下100階には大ボスが鎮座。相当装備を整えて考えて戦わないと勝てない相手で、これまた極めがいがある。
・欲を言えば10階ごととかに中ボスが居たら言うこと無しだったかな…。
◆ドラゴンエッグ
・世界中に散らばったドラゴンの卵を8つ集めた時、エッグドラゴンがどんな望みでも叶えてくれるという。願いを叶えるとドラゴンエッグは再び世界中に散らばり、4回まで望みを叶えてもらえる。
・突っ込む気も起こらない既視感のある設定だが、4回すべてエッグ回収を終えるとエッグドラゴンと戦うことが出来る。こいつはこの作品のエンドコンテンツで、まさに最強の敵。…裏技を使えばあっさり倒せてしまうのだが。
◆カジノ
・5種類のゲームが実装されているが僕はあまりやらなかった。なんかもうお腹いっぱいです。
■総評
・RPGとしての基幹部分の完成度もさることながら、物語、演出、寄り道要素、BGM、UIの設計に至るまで本当に隙が無い。
・RPGに限らず昨今のゲームに実装されているような寄り道要素満載のゲームデザインはこれまたオーパーツのようでもある。
・それらをどれもオマケのレベルではなく実装し破綻させずまとめているバランス感覚には驚嘆せざるを得ない。素晴らしい。
・グラフィックやキャラデザインがもう少し作品の雰囲気と合っていればパーフェクトであっただろう。
■余談
・四神のさらに上に当たる唯一神的な存在が匂わされているのだが特に言及はなかった。
・PS1にて続編の制作がある程度進行していたらしく、ゲームショーなどで画面も公開されていた。…が、売上的に厳しかったのか結局お蔵入りに。
・2009年に本作のリメイク版、その名も「エストポリス」がNintendo DSで発売。その内容は目を覆いたくなるようなクソゲーであった。
・リメイクもアレだったし開発元のネバーランドカンパニーは倒産してしまったので特に続編を熱烈希望、というスタンスではないのだが、埋もれた名作である本作を様々な人にプレイしてもらいたい、といちユーザーとして思うのであった。
おわり。