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SmartHRでの「俺のアートディレクション」〜HEAVY METALの潮解〜

【編集部註】
SmartHR所属の コミュニケーションデザイン職 の有志メンバーによる、アドベントカレンダーです。デザインや業務はもちろん、趣味や推しの話まで(?!)、ゆるりと書く企画です。
今回はサービスデザイン部の新規顧客領域にてアートディレクターとして社内制作を担っているhiroponさんによる記事です。


ね、君、本当に夢を見ているのかい?
私は、さて、僕だったかな、
それとも君だったかな。
どこかで、自分を拾った気がしたけれど、
本当はなにも拾っていない。
だから、たぶん、きっと自分でもないし、
誰でもないということになるのかな。

「赤目姫の潮解」森博嗣 講談社

プロローグ

俺だ。SmartHRの残虐王 hiropon(x)だ。
SmartHRの中で日々デザインを通してヘヴィメタルをしている。
調子はどうだ?俺は最高だ。
この前クレープを買ってやけに食いづらいと思ったら周りの紙を3cmも喰ってたんだ。(実話)

この口調は、弊社の偉大な先人へのリスペクトだ。
もともとバンドをやっていて根っからのメタルヘッドである私は弊社の偉大な先人のnoteがきっかけでこの会社を知り、今その組織の中でヘヴィメタルできている。
SmartHRの残虐王という名も先人から命名されたものだ。

今回は自分自身の社内でのデザイン活動やインハウスのアートディレクターとしての役割について記載したいと思う。
キーワードは「DESTROY! ERASE! IMPROVE!」だ!

サービスデザイン部の社内月報アイキャッチのために描き下ろしたロゴ。
業務もしっかりこなし遊べるところにも全力を出す。それが俺のやり方だ。
ちなみにこれについてはノーリアクションだった。


あなたは何をデザインしている?

改めまして、SmartHRのサービスデザイン部で新規顧客領域のアートディレクターをしているhiroponでございます。
いつもお世話になっております。

SmartHRに入社してもうすぐ3年が経とうとしています。
最初の1年はグラフィックデザイナーとして自ら手を動かすプレイヤーとして働き、その後2年間はアートディレクターとして制作に携わるデザイナーのみなさんを束ね、制作物の責任を持つ役割を任されています。

担当している領域は新規顧客領域という、「これからお客さまになっていただける方」を対象にした施策や企業活動のデザイン制作です。
その中のグラフィックが中心のものを担当しています。

具体的なものだと、

  • 営業資料

  • 弊社主催のセミナーアイキャッチ

  • オウンドメディアのアイキャッチ

  • eBook(ホワイトペーパー)

  • 展示会の会場什器の監修

  • 展示会で使用するパンフレット、ポスターなど印刷物

  • セールスや展示会で展開するノベルティ

  • その他マーケティング、セールス活動で発生する制作物

などなど、かなり多岐に及びます。

制作物のごく一部

制作依頼も膨大で、社内slackで起票される依頼数も年間850件を超えます。
チーム編成は以下のようになっており、実制作を担当する業務委託デザイナーや外部パートナーを束ね、クリエイティブ制作をチームで遂行しています。

チームHIROPON
業務委託の方が多いですが、hiroponよりSmartHR歴の長い方も多く頼りになるメンバーです。


SmartHRのアートディレクター、何をしている?

アートディレクター、名称は知っているが何をやっているかというのは非常にあいまいな方も多いのではないでしょうか。
クリエイティブ制作でのスケジュールやクオリティの責任者というのが共通の認識だと思います。
実は社内でも明確な定義はないように思います。それぞれ参画しているプロジェクトによって、管掌範囲や役割が様々に変化するのです。

ではhiroponの場合はどうか?
自分は3つの柱で定義しています。


1.SmartHRらしいコミュニケーションクオリティの担保

主にデザインチェックや監修、指示出しの際に意識することです。
SmartHRブランドとして定義されている「SmartHRらしい」表現になっているかどうかに責任を持ち、その指標で品質チェックを行います。
SmartHRブランドの根幹の「らしさ」のさわりはブランドパーソナリティとして弊社のデザインシステムにも記載されていますが、それらのグラフィックへの解釈の仕方や表現の落とし込みが腕の見せどころです。

それはグラフィックにとどまらず、ライティングや構成、アクセシビリティにも及びます。
アイキャッチ1つとっても、SmartHRらしいクリエイティブとして積み上げることがブランドを構成していくうえで最も重要な要素です。


2.アセットの作成

上記の通り、SmartHRのアートディレクターはコミュニケーションにおける「SmartHRらしさ」への深い理解が必要です。
しかし、それをすべての社員、業務委託デザイナー、外部制作パートナーに理解してもらうのは時間もかかる非常に困難なことです。
そこで、「SmartHRらしいクリエイティブ」が再現できる仕組みづくりも私のポジションでは重要な役割です。
具体的には

  • 資料やアイキャッチのテンプレート

  • 企画のクリエイティブの基本のトンマナの制定、アセットの制作

  • デザインルールの設定

などです。
膨大に展開、作成されるクリエイティブで、安定し、かつ効率よくクオリティの担保されたものが作成できるように、日々この仕組みづくりに取り組んでいます。

SmartHRブルーが文字色としてはアクセシビリティ上厳しいので、SmartHRブルーの印象に近く、かつアクセシビリティも担保できる文字色を検証している様子

3.デザインシステムへの還元

1,2の活動を続けていると、SmartHRらしさに対する、デザインで具現化した実績や、制作を通しての発見、仕組みの改善点が出てきます。

制作知見をそこで終わらせず、溜まったノウハウを社内に積極的に共有し、デザインシステムへフィードバックさせることでシステム自体をアップデートしていきます。

この動きにより、「SmartHRらしさ」が今後もより明確に使いやすいものになっていったり、状況の変化に対応できるようこちらも変化できる姿勢を作っておくのです。

プロダクトデザイン領域では特に活発なサイクルですが、我々コミュニケーションデザイン領域でもこのサイクルを回していこうとしています。
これは結構SmartHRインハウスデザイナー特有の重要な役割ではないでしょうか?


アートディレクターの私はどこにいる?

私自身の担当する範囲は、あっと驚く大きなクリエイティブで世間にアピールすることはありません。
さまざまなタッチポイントからSmartHRらしく、最適なコミュニケーションをグラフィックを通して設計し、信頼を積み上げていく場所です。
その役割にわたしは徹していることに自信を持っています。

もちろん、入社1年目から任されていきなりできるようになったわけではありません。
実務を通して指揮する現在に至るまで様々なトライアンドエラーを重ねて鍛えてもらいました。

特に以下の内容だったりしますが、それらは長くなるのでまた別の機会に

言語化地獄!
そもそも「良いデザイン」はなにかを説明できるようにしろ
〜なんとなくという言葉を使うな!全てを言語化し論理で説明するまで出られま1000〜

場数で鍛えろ!
相手の深層まで理解するファシリテーション地獄200本ノック


君(アートディレクター)が見たのは誰の夢?

「デザインはイタコ芸だ!」これは前職の先輩デザイナーの言葉です。
見る人を自身に憑依させて、客観的にコミュニケーションを設計することが肝心です。
さらにわたしの場合、「SmartHR」という存在も憑依させて双方のコミュニケーションを考えます。

イタコをやりすぎると、他者に徹しすぎて自分が存在するのかがわからなくなってきます。
自分の中で複数の人格が存在しているかのような不思議な感覚です。
このnoteでもそうですし
でもそんな他者を想像できる感覚が事業のため、社会のためのデザインでは重要だと勝手に思っています。

事業会社におけるデザイン活動は事業が続く限り永遠に続くマラソンのようなものです。
それはすなわち、イタコする対象であるお客様像や、SmartHRらしさも事業フェーズによって変化し、対応し続けなければいけないということです。

ステークホルダーが変化し続けるということはコミュニケーションアウトプットも変化し続けないといけません。
アートディレクションの役割として記載した3つの項目において重要なスタンスは、
SmartHRのブランド活動として「らしさを守り続ける」ことだけではなく、「常に変化し続ける」ことにも軸を置くことも重要と思っています。
つまり破壊と創造。「DESTROY! ERASE! IMPROVE!」なのです。

hiroponはこれからもSmartHRのグラフィック表現でSmartHRらしさを守りかつ、システムをDestoroyし、Eraseし、Improveしていくアートディレクションに挑戦していきます。


エピローグ

俺だ。戻ってきたぞ。長々とご苦労だったな。

結局ヘヴィメタルとは何だ?
叫んでいるうるさい音楽のことか?刺々しい怖そうなルックスのことか?

違う。魂の名前だ。
メッセージや様々な思想が人の数だけあれど、その中の自分自身の考えや行動に責任を持ち続ける姿勢に俺はヘヴィメタルを感じるんだ。

今回は俺なりの組織でのデザインへの姿勢を文にしたためたのさ。
そう、だからこれを読んでいるヘヴィメタルに関心のない諸氏にも自身のヘヴィメタルはきっと宿っているのさ。

季節はずれの蚊が俺の腕で血を吸ってそのまま息絶えてしまった(実話)。
今日はこの辺にしておこう。

最後に俺のお気に入りの音楽を載せておく。
また会おう。

クラシカルな聴きやすさとやりたい放題のデスコアサウンドのバランスが絶妙だ。最後の落としはもはや福音だな。

前職で2徹して朦朧としている電車内で聞いていて、その拍がズレながら繰り返されるフレーズの中で、俺は確かにそこに宇宙を見たんだ。

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