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【今日のコラム:ニコチンの恐ろしさ】

ニコチンの依存性は、人類の脅威だ。
私もその中毒者の一人である。

ネットでは、タバコのニコチンは、覚せい剤と等しいと言う人もいる。
一度、ニコチンにハマれば、抜け出すのはなかなか難しい。
禁煙が地獄であると言えよう。
また、禁煙のみならず、私生活や仕事でも悪しき影響を及ぼす。
 
 
以前、勤めていた会社での一幕である。
当時(2000年前後)は、まだまだ事務所や応接室で喫煙するのは当たり前の光景であった。
当時の会社のある日のことである。
その会社はベンチャー企業であり、事務所の佇まいも小ぢんまりしていた。
よって、事務所と応接室はパーテーションで仕切っている程度の規模である。
私は事務作業をしつつ、煮詰まると、すぐ煙草に火をつけていた。
 
いわゆる、その応接室では、当時の社長と、そのお客さんで商談をしていた。

商談も長引き、どうやら、社長は煙草を切らしていたらしく、もちろん、ニコチン切れで少々いらいらしていた。
「中村―、わりいけど、これで(300円くらいだったかな)マルボロ買ってきてくれー」と使いに回された。当時はコンビニでなくても、自動販売機で簡単にタバコが買えたので、最寄りの自動販売機へマルボロを買いにいった。速やかにマルボロを買い、いらいらしている社長へ届けるべく、事務所内の応接室(といっても上記の通り、パーテーション1枚で区切られた空間だ)へマルボロを届けにいった。
 
うちの社長は、いよいよ頭の中がマルボロ(煙草)に支配されていたのか、わが社イチオシの新商品のプレゼン段階で、その商品名を披露するところであった。

「○○さん、聞いてよ、今度ウチの会社で開発した、、、」
おお、いよいよ商談の大詰めだなとパーテーション越しに耳を傾けていた。
 

「新商品のマルボロですよ!」
 
 
やってしまった。
 
ここぞという商談の中で、ウチの社長はニコチンに制覇されており、新商品の名前をタバコの銘柄で伝えてしまって、お客さんもドン引き。商談不成立となった。
 
このようにニコチンが及ぼす破壊力は恐ろしい。勝負師の脳内もニコチンで覆ってしまう。
もちろん社長は、何も言わず、自宅へ帰って行った。肩を落としながら、加えタバコをしながら、高級車へ乗り込んでいったのだ。
 
ニコチンに一度支配されたものは、ニコチンの奴隷となるのだ。
それを垣間見れた一幕であった。
 
 
 
つづく



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