新卒介護職がただ気の毒な4月
日々の業務を回すことで精一杯の介護現場。ぐだぐだで余裕のないなかで、新卒で入ってくる人たちがいるわけだが、ちょっとかわいそうだなと思います。
わたしがケアの仕事に初めて就いたのは、介護ではなく病棟看護師としてだった。看護は介護に比べれば教育体制はしっかりしているようだが、それでも現場はぐだぐだでしたね。
指導者に放置されることもしばしばで、みんな忙しくて話しかけたり訊いたりすることもできずに、自分独りで判断しなければならないことも多かった。
教育の場と実際の現場の違いは、一人ひとりの患者(あるいは入所者、療養者)にゆっくり時間をかけてられないことでしょう。時間を意識して、全体の動きを考えながら、優先順位をつけて行動しなくちゃならない。これができないと、いつまでたっても使えない人間扱いされるでしょう。
本当なら、ケアや業務のあり方はどうあるべきなのか、何をどう根本的に改善する必要があるのか、他職種を巻き込んでゆっくり話し合う機会をもつのがいいのだと思う。
そういう機会がまずないし、かりにあったとしても、全体会議のような場ではホーム長が“上からの方針”を一方的に伝達するための場に成り下がってるんじゃないだろうか?
遠慮のない率直な意見が交わされるためには、その職場に“心理的安全性”が確保されていないと難しいでしょう。
初期のインターネット掲示板(2ちゃんねる)創設者で、いまでもメディアにしばしば登場する「ひろゆき」は、たしか「介護職はいますぐ辞めたほうがいい」ということをYou Tubeで述べていた。
こういう発言の真意はわからないし、ひろゆきなんて取るに足らないどうでもいい人物と思っているけど、わたしも新卒で介護なんてとくに人には勧めない。こういう仕事は、ある程度ほかで人生経験を積んでからやったほうがいいと思うし、他にやりたいことがないなら介護でもすればいい、と思っています。
ちなみにわたしは以前、「看護にしろ介護にしろ、男がやるような仕事ではない」と思っていました。
最近あまり言われなくなったのかもしれないけど、「就職したら3年は同じ職場で勤めなさい」なんて、根拠もなく口にする人間も過去にはいた。それじゃあ、“三年”の根拠ってなんですか? と訊いたところで、どうせ答えられないようだったし、そもそも根拠なんてないのでしょう。
ある組織にどれだけ働くか、その人の個別性によるところが大きいので、一律に○年勤めなさないなんて統制すること自体がおかしい話だと思います。
石の上にも三年、なんてカビの生えたような諺を持ち出されても、そんなものは根拠にもならんでしょう。高校生活が3年間だったからそう言ってるだけかもかしれないし、昔の日本陸軍では3年間の兵役だったから、3年と言われるようになっただけかもしれない、どうせ大した理由などないでしょう。
とくに、介護のような仕事は、一つの職場で働き続けても、よそではまったく違うということが往々にしてあるわけだから、いろいろな職場を経験したほうがいいと思う。