介護と看護は、なにが違うのか?
個人的には、介護も看護も同じケアに関わる職業。明確な区別などないし、わざわざ分ける必要もないと思っている。
実際、オランダのような国では、看護師と介護士が統一されていて、“看護介護士”になるそうである。ただ、同一の資格のなかで、専門性が細かくレベル分けされているようである。
しいて言えば、看護師は医療寄りで、病院では実質的に医療補助者のような位置づけになっている。介護はもっと生活寄りで、学校の科目でいえば“家庭科”のような要素がはいってくる。
わたしは28歳の時に、運悪くも?看護学校というところに入ってしまったのだが、そこでは医療技術的なことは実はあまりやらないのである。注射とか採血とかは、現場で必要に応じて習得するものである。
むしろ、徹底的にやらされたのは、看護過程という思考判断の流れ、の方である。まず患者を観察して、情報を集めて分類し、いろいろな視点からアセスメントし、関連図を描き、そこから健康上の問題/看護問題を導き出し、看護計画を立案し、それを実践して修正していく…。そうした一連のプロセスである。
介護士にも“介護過程”というのがあって、わたしも介護福祉士の実務者研修でひと通りのことは習った覚えがある。しかし、看護師ほど徹底的には教わらないし、なにより現場で活用されているのを見たことがない。
とはいえ、介護と看護、どちらもケアに携わり、人間の尊厳にかかわる職業だと思っていて、その意味ではただのサービス職とは違うと思っている。
それでも、介護と看護が、日本においてまったく別個の職業として扱われている背景には、役所の管轄がそれぞれ異なる面が大きいのではないか。看護のほうは、厚労省の医政局の管轄、介護のほうは厚労省の老健局の管轄とたしかなっていたと思う。
このように、縦割り組織の弊害ために、資格が分断されてしまい、職業も分断されていいる現状があると思っています。