仙台89ers:2024-25シーズン 第12回TOHOKU CUP IN AOMORI(9/14〜16 at カクヒログループスーパーアリーナ(青森市総合体育館))雑感
今大会のプレビューはこちら。
◯準決勝(9/15 14:00 TO)仙台81山形72
今GameのBOX SCORE→こちら
準決勝のエントリーメンバーとスターターはこちら。
一応これまでのPSM同様、フルメンバーがエントリー。コンディション調整の続く青木の出場があるのかどうか。
今大会仙台の初戦となる準決勝1回戦に勝ち上がってきたの山形。プレビューで触れた通り、外国籍選手の件で少しバタバタしていた福島を尻目に、ケミストリーで勝る山形が福島からしっかり勝利を挙げた形。
山形は今季のPSMで一度対戦済みで、ある程度手の内はお互いわかっているところで、仙台にとっては相手がB2と言えども、そのチームとしてのケミストリーの高さは要注意、決して与しやすい相手とは言えないでしょう。しかし仙台も今回はフェリシオがいるのは山形にとっても前回との違いを感じることでしょう。
序盤は仙台フェリシオの得点からスタート。しかし序盤から仙台各選手のシュートタッチ、特にミドル~ロングレンジのシュートの精度が上がらず得点が停滞。その間山形は隙を逃さずアダムスの3P、ベルのフィジカルな個人技で得点を重ねる。やはりベルは危険な選手だけに、早くディフェンスを整理して気持ちよくプレイさせないようにしないといけない。
オフェンスが少しタッチが良くない分ディフェンスで頑張りたかったが、山形のトランジションは前回PSM同様に速く、仙台のディフェンスがまだ少し後手気味でファウルもかさみ、5分ほどで早くもチームファウル4つで少し苦しくなってくる。
ベルが作った流れで山形はイケイケムード、PG岡島の自らのシュートやアシストなどでさらに得点を重ねていくと、仙台のほうはミドル~ロングレンジのシュート精度がいまだ悪く得点が伸びない。結局前回PSM同様に1Qは27-14と大きなビハインドを許してしまったわけだが、山形やフォルモサとのPSMでも1Qに少しモタつく感じは天皇杯、リーグ戦開幕に向けてもう少し改善の余地はありそう。
2Qも立ち上がりから山形に連続得点を許すとビハインドは18点、しかし前回のPSMとは異なり徐々に仙台がディフェンスのギアを上げてくると山形の得点を1Qのように決めさせなくなってくるがミドル~ロングレンジのシュートが相変わらず精度悪く得点が伸びていかない。
そんな停滞ムードを吹き飛ばしたのはやはりこの人、「ソルジャー」片岡。技あり2本のフローターをしっかり決めてみせチームに喝をいれると仙台はこの片岡の得点を含めて15-0のランを作り、あれだけあったビハインドも2Q残り3分時点で1点にする。しかしその後は山形の好調岡島やベルの得点で盛り返されると前半は37-44で7点のビハインドを許して終了。
先日の山形とのPSMでも前半終了時点では9点ビハインドのところから後半しっかり締めあげて僅差とはいえ逆転勝利へともっていくことができたが、今Gameでもその再現ができるか。再現というかギリギリではなくもう少し余裕をもって勝利してほしいところなのだが・・・。そのためには後半に向けては前半で17得点を許しているベルをしっかり止めていかなければならないだろう。
3Qになると仙台のディフェンス強度はさらにあがり、じわじわと山形にプレッシャーを与えると、山形のシュート精度が落ちてくる。その間にブースが3PをようやくヒットさせるとこのGame初めて仙台がリード。その後スコアをタイに戻されると、双方得点が止まり膠着状態。仙台もなかなか得点を動かせずにいる中でも高いディフェンス強度でしっかりしのぐとキッドの今Game初めての3Pで先手を取る。しかし山形もすぐさま反撃、仙台をそのまま走らせることなく、3Q終了時点で57-57のタイスコアとなり先日のPSM同様の接戦の様相に。仙台としては得点が止まりだしたときの打開法は課題かも。特に日本人選手のスコアリングがもう少しほしい。
4Qに入っても膠着状態は続き、ますます前回のPSM同様の展開かと思われたところ、フェリシオが次第にインサイドでの存在感を増し、リバウンドを掴んでは得点を重ね、仙台がじわじわとリードを広げていく。仙台はディフェンス強度も衰えず、山形の得点を止めていくと残り3分半のところでブースが今Game2本目の3Pを沈めて12点のリードを取ったところでほぼ勝負あり。そのまましっかりリードを保って最終スコアは81-72で終了、仙台が昨季に引き続き決勝へコマを進めることができた。
PSMでは1点差の辛勝だったが、結果的にはそのPSMではDNPだったフェリシオが違いを見せた形となった。しかしチームとしては序盤のもたつきがこれまでのPSMとあまり変わらない感じだったのは気になるところで、次の日の決勝までに修正は果たしてできるだろうか。
気になった選手:フェリシオ
フェリシオの存在が先日のPSMとは違いを見せましたが、まだまだ合わせがうまくいかなかったり、Bリーグのスピード感に慣れきっていないところはありそう。それでも4Qではすっかりインサイドを支配して4Qだけで10Pts、トータルでは22Pts15Rbdと存在感をこれでもかというぐらい見せつけてくれました。昨季仙台インサイドの屋台骨だったゲルンとはまた異なるタイプではありますが、ゲルンが抜けた穴を埋めて十二分すぎる活躍でした。TOHOKU CUPの決勝や今後の天皇杯、リーグ戦でもその活躍に期待大です。
○決勝(9/16 14:00 TO)仙台79秋田71
今GameのBOX SCORE→こちら(※スコアシートがPDFでダウンロードされますのでご注意ください)
決勝のエントリーメンバーとスターターはこちら。
前日の準決勝では結局青木の出場はなし。試合前アップには参加しているあたり、ケガというわけではなさそうですがコンディション調整が継続中。
決勝の相手はやはりというか1回戦、準決勝を勝ち上がってきた秋田になりました。1回戦や準決勝をちらちら見る限りにおいては、今季の秋田もやはり非常にディフェンシブ。序盤から1-2-1-1のゾーンプレスを惜しみなく披露し、強烈なディフェンスで岩手や青森のバックコート陣を苦しめておりました。これまでの仙台を見ていると前から粘っこく当たってくるプレスディフェンスが少し苦手なところがあるので、どうかいくぐっていくかがポイントになりましょう。
今Game仙台は出だし良く、ボールがしっかり回ってハイローやブース得意のペリメーターショットで得点、秋田は熊谷がP&Rから切り込んだり、アルバシールが3Pやブロックで仙台のファストブレイクを2本防ぐ身体能力を見せつけるなど双方持ち味を見せる拮抗した展開。
しばらく1ポゼッション内での攻防が続くが、終盤になってキッドが古巣相手の連続ゴールを沈めて仙台に流れを引き寄せ、25-19と6点のリードを取って1Qが終了。キッドはこのQで3Pの2/2を含め8得点、さすがのスコアリング力。
2Qはディフェンスでハッスルしていたタリキが早くも3ファウル、終盤ディフェンスを固めたいところで少しオンコートにしづらくなってしまったかも。双方ともディフェンスの強度は高く、1分半経過時点で双方早くもチームファウルが3つずつ。秋田のほうがややシュート精度が悪く苦しんでいる感もあったが、万能オールラウンダーのライスナーの個人技から盛り返す。昨季Home Gameでもライスナーの個人技には相当やられて完敗していたので、やはりこの人は要注意。
秋田が外角シュートの精度が上がらずに攻めあぐねる間に、半澤の身体能力を活かしたゴールや今Gameやけに気合の入っているキッドのゴールなどで一時はリードを12点まで広げる。さらにリードを広げたかった仙台だが秋田もさすがのディフェンス力でそれ以上のリードを許さない。シュート精度が今一つな秋田の中でもアルバシールでだけは何のそのでスコアリング、2Q終盤で仙台の得点も止まったことから、2Qはリードを1点だけ広げ40-33で終了。
前半終わって仙台が7点をリードするが、内容的には2Qでは15-14のロースコアでやはり互いにディフェンシブにバチバチの展開。やはり秋田との闘いはいつもヒリヒリする。秋田のほうはTOHOKU CUP3連戦目というエクスキューションもあるのかもしれないがシュート精度が良くないのは仙台にとってはありがたい。後半はさらにリードを広げて連覇を盤石なものとしたいが、秋田も優勝奪還を目指して後半はまたギアを上げてきそうではあるので、受けに回らず前半で得たアドバンテージを溶かさないようにしてもらいたいところ。
3Q開始直後、仙台がイージーなターンオーバーを繰り返してしまうと秋田が息を吹き返す。ライスナーにボールを集めると期待に応える連続得点でリードがじわりと縮められ、少し後手に回ってきた仙台は4分経過時点でチームファウル4つとややファウルトラブル気味に。しかしファウルは多めではあるものの秋田がギアを上げてきた分、仙台のディフェンスのギアも上がっていてまたしても双方なかなか得点のできないディフェンシブな展開が継続。
我慢の展開が続く中で自らのミスもあったりで3Q残り1分で2点差にまで詰められる苦しい展開となってしまうがこの窮地を救ったのは1Qからシュートタッチが好調なキッド。3Q終了と同時のブザービーター3Pを決めてみせ、前半で作ったリードをキープしてGameの行方は4Qへ。
4Qに入るとブースの安定のペリメータージャンパーや半澤のちょっとラッキーなシュートもあってリードを広げにかかりたいところも秋田はアルバシールの連続3Pでお返しして仙台のランを許さない。アルバシールはもっとフィットしてくるとかなり怖い選手になりそう。
仙台はキッドやブース、秋田はライスナーやアルバシールという得点を期待される選手たちが得点を重ねていくが仙台が2~3ポゼッション差をキープ。秋田がこの最終盤になってここまでアルバシール以外に当たりのなかった外角シュートも決まりだし追撃の構えとなるが、仙台もなんとか粘りのディフェンスでGrindし続けしのいでいくとそのままリードをキープする形でタイムアップ、2大会連続3回目のTOHOKU CUP優勝を達成。
気になった選手:キッド
2022-23シーズンに在籍した古巣の秋田へ手厳しいお礼参り恩返しを敢行。要所で決めた3Pは4/8、トータル20Ptsの大活躍。キッド本人曰くは、スコアリングはもちろん、アシストやリバウンドでも貢献したいと今季に向けて意欲を見せるのは頼もしい限り。他のメンバーとのケミストリーがさらに高まれば期待通り、いやそれ以上の活躍を見せてくれそう。ケガだけにはくれぐれも気をつけてほしい。
○最後に
HCが落合氏に替わり、選手も半数以上が入れ替わったチームで臨んだ新生89ersは今季も決勝で宿敵秋田を破って連覇を達成、TOHOKU CUP自体は3度目の優勝を飾ることができました。これは素直にとても嬉しい。昨季は4Qで相手に追い上げられた時に受けに回って劣勢になり、逆転を許すというケースが散見されたものでしたが、相手に勢いが出てきてもしっかりいなせたのもよかった。
一方今後リーグ戦でも同地区で対戦する秋田は昨季序盤のような噛み合わせの悪さがあったわけではなかったですが、仙台同様新外国籍選手とのケミストリーはまだまだというところと、移籍した古川、保岡、長谷川が担っていた外からのシュートという部分を誰が補うかというところはまだ模索している感はありました。この辺は名将前田HCのことですから、リーグ戦に向けてしっかり高めてくることでしょう。また台湾からやってきたアルバシールはサイズはそこまでなくともそのフィジカルとシュート力は今後かなりの脅威になりそうです。
仙台の闘いぶりを今大会全体を通してみると、まず何といっても外国籍選手4人の力が非常に心強く、間違いないものと思います。特に期待のブラジル代表フェリシオはインサイドでの存在感は抜群で、得点、リバウンド両面で大阪へ移籍したゲルンの穴を120%埋められているのは特に素晴らしい。また昨季は負傷で悔しい想いをしたであろうキッドも完全復活の狼煙でこれまた期待に違わぬスコアリング能力が素晴らしい。ブースはさすがに相手の警戒にあってなかなか3Pを打たせてもらえなくなっているような感はありますが、ミスマッチやスペースがあった時の正確なシュート力は相変わらずですし、ヤンのハッスルプレイによるエナジーギバーぶりも非常に好ましい。
日本人選手では昨季から残った渡辺、片岡はすでにかなり仕上がっている模様で、キレキレのプレイをすでにして見せてくれるのは大変嬉しい。ここに青木が絡んでくるとどうなるのだろうかと期待が膨らみます。新加入の選手もそれぞれ持ち味をよく見せてくれていますが、特に半澤の高い身体能力は好印象。前所属の京都時代よりミニッツが増えそうですし、この先大化けしそうな気配です。
秋田を撃破してのTOHOKU CUPの連覇達成という結果は、実力的に水をあけられていた秋田とようやく肩を並べようかというところまでこれたのかな、と大変感慨深いものがあります。bjリーグ時代から彼我ともにライバル関係と目する両クラブですから、この先も双方切磋琢磨して、今度は初めてのB1チャンピオントロフィーをどちらが先に東北へ持ってくるかの勝負になるのでしょうねw
TOHOKU CUPが大団円を迎えた翌週には天皇杯の第2ラウンドが控えています。昨季の天皇杯第2ラウンドでは三河に2回戦で悔しい悔しい逆転負けをしてしまいましたが、今回はしっかり目の前の相手から勝利をあげて、第3ラウンド出場決定戦にはコマを進めたいところ。またリーグ戦では昨季果たせなかった勝率5割以上達成とCS進出を目指す闘いになるものと思いますが、各クラブの補強状況もかなり本気度が高そうで厳しい闘いが続くことは間違いなさそう。さらに2026-27シーズンに始まるB-PREMIREへの参入の審査も今季行われることになっていて、ここもまた気になるところですよね。
とまあいろいろ気になるところはありますが、我々ファン・ブースターも現地で、画面の前で今季もさらなるダイキエンをしてまいりましょう!
それではまた。