仙台89ers:2024-25シーズン 第9節(11/30,12/1 Home Game vs 群馬 at カメイアリーナ仙台(仙台市体育館))雑感(11/30現地、12/1バスケットLive観戦)
第9節のプレビューはこちら。
◯試合前トピック
バイウィークが3週間もあって結構トピックが多かったので、それぞれ手短に。
・仙台89ersシニアアドバイザー マーティー・キーナート氏逝去
bjリーグからBリーグに参戦してクラブ規模的になかなか厳しいところがあった仙台でしたが、オーナー変更とともに迎え入れたのがNPBの楽天ゴールデンイーグルスでゼネラルマネージャーを務めていたキーナート氏。その長くスポーツ界に携わった卓越した経験で仙台89ersを盛り立てていただきました。会場でも気さくに観客たちと歓談するキーナート氏の優しい笑顔が今でも思い出されます。R.I.P.
・仙台89ersグッズショップがオープン
仙台89ersの大口スポンサー様でもいらっしゃいますメディアステーションが、イオンモール名取店に自身のショップのリニューアルとともに、通年型の仙台89ersグッズショップを併設オープン。これまではグッズはGame開催日に会場で買うのがほとんどでしたが、ふらっと立ち寄ってほしいグッズを手に取れるのは嬉しいですね。
オープンを記念して選手と触れ合えるイベントが開催されていました。
・荒谷裕秀選手、長崎より完全移籍で加入
宇都宮ー長崎と活躍してきた「悪魔の左手」荒谷がサプライズ加入です。昨々季の青木の加入が思い出されます。
その高いシュート能力やスキルフルなハンドリングで昨季は長崎の主力の一人として活躍を見せていましたが、今季はミニッツがあまり伸びない状況だったこともあったためでしょうか、もともと出身が宮城県ということもあって仙台から声がけした結果、入団が実現。荒谷にはウイング陣の3P精度の拙さを埋めるところに期待があるかもしれません。今季どうもオフェンス面で今一つな仙台が上向くための起爆剤になれるといいのですが。
◯Game1(11/30 14:05)仙台68群馬87
・雑感
Game1のエントリーメンバー、スターターは以下の通り。
今節も執筆時間があまりとれなかったため少しコンパクト目にまとめるスタイルでまいります。すみません。
新加入の荒谷が早速のベンチ入り。序盤はリードチェンジは繰り返す形だが悪くない形も、徐々にいつものシュート精度の悪さを露呈、入らぬシュートにディフェンスもリズムを崩しては群馬のオフェンスも止めきれず、みるみるうちに点差が開いていく。
今Gameの仙台は得点源のキッドをはじめとした各選手の3Pのタッチが全く上がらない。逆に群馬は巧みなスクリーンでスペースを生み出す形をとっては、辻、藤井などが次々に3Pを沈めてきてビハインドをさらに広げられる。特に2Qでのラストプレイ、群馬が細かくTOを取って得点を狙いに来るのを止めきれず、辻が来るとわかっていただろうところでしっかりデザイン通りにブザービート3Pを決めさせてしまったのはチームとしてのディフェンスも破綻気味か。前回Home Gameで不甲斐ない闘いぶりを見せてしまったFE名古屋戦よりもさらに苦しく厳しい状況に陥り、前半は27‐48とされてしまった。
後半何とか巻き返しを図れれば、と思ったところも3Qファーストプレイであっさり群馬の得点を許しては期待感もあっという間にしぼんでしまう。果たして前半の流れのままに、前半鳴りを潜めていた細川までもが連続で3Pを決めてきたりで3Pを決めまくる群馬、翻って相変わらずシュートが入らない仙台の構図が続いて追撃ムードには全くならずにビハインドがどんどん開くばかり。
そして3Qの途中からは群馬が外国籍オンコートゼロにしてくる屈辱もあったのだが、仙台の選手たちがそれに対して悔しさや怒りをあまり表に出さずに淡々とプレイし続けていたのは観ているこちらも少しがっかり。とはいえ悔しさや怒りの感情からラフなプレイをしてもいいわけではないので、超劣勢の中でもあくまで冷静に闘っていたともいえるのだが・・・。
4Qもオンゼロスタートの群馬に対しては高さのミスマッチを多く作れたために、その時間帯で仙台がさすがに意地を見せて27点あったビハインドを19点までに縮めることはできた。しかし、群馬の外国籍選手がコートに戻ってくると状況は元通り、再び易々と得点を決める群馬、シュートが入らない仙台となってはまた引き離されてOTO時点で28点のビハインドを作られては万事休す。OTO明け少し流しに入った群馬に対して、ビハインドを24点に縮めるのが精いっぱいの完敗を喫した。
・Game後HCコメント
バイウィークあけにフワッと入ってしまったメンタル状況に言及。これまでの仙台もよくそういう傾向があっただけに、そこを引き締めきれなかった悔しさが見て取れます。選手たちにもそれぞれエゴやスタイルはあるので、そこを尊重せず厳しく事細かに指導するのも難しいところでしょうが、そこをまとめ上げてスパイラルアップさせていくのがHCの手腕、落合氏もこういう悔しく不甲斐ないGame経験でもってHCとして成長してほしい。
・気になった選手
荒谷:前節での青木の負傷もあり、新加入後即ベンチ入り。ネガティブ一辺倒なGame展開の中でもオンコートになるとその存在感を見せつけて、いきなり12得点と活躍をしてみせたのはさすがで長崎での雌伏の時も腐らず準備を怠っていなかったのでしょう、今Gameの少ないポジティブ要素となりました。昨々季途中加入した青木よろしく、新しい風を吹かせてチームを上向かせる存在になってくれると嬉しいですね。
◯Game2(12/1 14:05 TO)仙台67群馬78
・雑感
Game2のエントリーメンバーとスターターは以下の通り。
Game1は4/28で14.3%という低調すぎた3Pの影響でFG%が38.1%、eFG%では41.3%とお寒い状況になってしまい、3Pを辻の6/6を含めて12/21で57.1%と効率よく決めた群馬はFG%が53.1%、eFG%に至っては62.5%と大きな差をつけられてしまってはやはり勝ち目はなかった。その他のスタッツにあまり大きな差はなかっただけに、どうしても仙台のシュート精度の悪さが浮き彫りに。もう何シーズンもついて回っているチームとしての課題だが、なかなか改善できないのは歯がゆい。
立ち上がりは前日サッパリ入らなかった3Pを渡辺が連続で決めて先手をとる。ディフェンスもGame1の反省からか群馬シューター陣を簡単にフリーにさせないことができているのは良い。またフェリシオがインサイドで存在感を見せ、ペイント内で優位を保っているのもいい感じ。一方群馬には困った時のジョーンズで得点を重ねられているのは気になるが、1QはGame1と打って変わって27-18とリードを取った。
2Qもキッドのスコアリングでリードを広げにかかる理想的な展開で一時リードを16点に広げるが、その後はそれぞれスコアをしあう一進一退の展開。2Qでもう少しリードを広げたいところだったが1Qから1点リードを積み上げて47-37と10点リードで折り返し。ここまでGame1であれだけやられていた群馬の3Pを0本に抑えているのは素晴らしい。
3Qの立ち上がりも渡辺が3Pを2本決め切るなどでリードをキープしていくが、仙台がディフェンスを激しく当たる分ファウルトラブルとなってきたところから流れが変わってくる。仙台が見せた隙を見逃さない群馬がディフェンスのギアを少し上げてくると仙台のオフェンスが止まってきて、今季仙台がみせる後半での勝負弱さの予感が漂ってくる。モメンタムが群馬に傾いていくと3Q終盤にはGame2ではここまで来なかった辻に3Pを連続でねじ込まれるとリードを1点まで溶かしてしまうが、3Q終了時点で62-59と3点ではあるがリードを保つことはできた。
踏ん張りたかった4Qも群馬のモメンタムはもはや止まらない。さらにギアを上げてきた群馬ディフェンスを前に仙台はシュートを全く決められなくなり、ターンオーバーも誘発されて残り9分~1分の間で2-17のビッグランを許してしまい、自らGameを壊してしまうのではもうどうしようもない。いくらオフェンスに難がある仙台とはいえ、4Qで5点しか取れないというのはいかがなものか・・・。結局はまたしても今季よく見られる、後半でのペースダウンを引き起こしてしまいGame1に続き完敗を喫してしまった。
・Game後HCコメント
Game2においてはチームの課題の一つであるターンオーバーの多さと、後半チーム全体が弱気になってしまったところでリバウンドを頑張り切れなかった点をポイントとしてあげています。確かに、相手ディフェンスの強度が上がってきたときに慌ててしまう悪癖はここまでよく見られますし、リバウンドについてはフェリシオ一人が頑張ってもだめなのですが、ブースはストレッチ4を得意とし、キッドはどちらかというとオフェンス特化型ともいえる選手で昨季仙台に所属したトーマスのようにリバウンドにもよく絡んでいくタイプではないだけに、その辺のフォローはヤン、星野、半澤の奮起に期待したい。その点では今Gameでは古巣相手に気持ちが空回ってしまったようなところもあった3Qでの星野のファウルトラブルが痛かったかもしれません。
・気になった選手
渡辺:今季積極的なインサイドアタックでスピードという武器を発揮し始めている渡辺ですが、今Gameではロングレンジで躍動。最終的には3Pが4/7ではありましたが、Game途中までは4/4と精度よく決めてチーム2番目の12得点。タイムシェアをしていく仙台において、ミニッツ16分半でこのスコアは立派。とはいえ2Pが今Gameではアテンプト自体が少なかったので、インサイドとアウトサイドでまんべんなくスコアリングできるようになって、日本を代表するPGへと登り詰めてほしい。
◯最後に
バイウィーク前の大阪との激闘を経て巻き返しの期待の中の第9節でしたが、第6節のFE名古屋戦同様Homeではあまり見せてほしくない負け方で連敗を喫してしまいました。バイウィークの3週間、選手たちは休養はできたかもしれませんが、チームとしての課題解決はあまり図れなかった模様。もっとも、荒谷という新しいピースが加わったところでケミストリーにもまた変化があったところでの難しさはあったのかもしれませんが。
では今節終了時点の主要チームスタッツを眺めてみましょう。
PPG:74.3→73.3
OPP・PPG:79.2→79.8
FG%:41.0%→40.9%
2FG%:46.8%→47.7%
3FG%:32.1%→30.7%
eFG%:47.3%→47.0%
APG:18.6→18.3
RPG:40.6→39.7
TOPG:13.5→13.4
OFFRTG:100.8→100.4
DEFRTG:107.5→109.3
連敗を喫していますのでやはり全体的に下落傾向。特にGame1での3P%の悪さが影響してトータル3P%が1.4ポイントという大きな落ち込みを見せています。3Pについては決められる人と決められない人がはっきり分かれてしまっているのが少し厳しい。特にウイング陣の3Pがいまだにかなり精度悪く、ここが決められるようになればフェリシオのインサイドワークなどもより活きてきそうなのですが。
前節の雑感のまとめで、「勝利したGame2のスタッツは「たまたま上振れしただけ」かもしれない」と記しましたが、今節の内容を見てみるとまさにその通りとなってしまう困った状況。つくづくもったいないのは、自分たちのやりたい形でオフェンスを構築できているものの、フィニッシュ精度だけが異常に悪いことから意気消沈してディフェンスにまで悪影響を及ぼしている感があるところ。実況でも「シュートを外したあとのディフェンス」について言及されていましたが、シュートが入らないのであれば、シュンと下を向くより先に、さらにディフェンスを頑張らなければならないはず。ハリバックとか、ボックスアウトとか、もう少しファンダメンタルな部分を泥臭くやっていってこその「89ersらしさ」だとワタクシは思うのです。
次節は中地区3位の三河と。昨季は天皇杯2次ラウンドを含めて3度対戦も、いずれも僅差での敗戦。いずれも今季もいまだ改善できない後半の失速、終盤のクロージングの拙さを見せてしまったGameでした。今季の三河はメンバーを眺めてみると、いかにも隙がなさそうな選手揃いで、仙台としては攻守に相当頑張らないと勝機を見出すことも難しそう。
しかしGame1でのピックアップ選手にも挙げた荒谷の加入はポジティブ要素。加入直後の今節は他の日本籍選手とはまた違った持ち味をしっかり披露しながらも、やはりケミストリーの面で合わないところもしばしば見られたので、ここは練習やGameを通じてどんどん高めていってほしい。願わくば、志村社長、片岡に続く地元出身のエースとして仙台89ersで長く活躍してほしいものです。
あと、ここのところのHome Gameでは内容に乏しい、ファンやブースターであればあるほど失望を覚えるような、初めて観戦した方であれば次また観に来ようと思っていただけないのではないかと思ってしまうようなGame運びが続いてしまっています。この状況はクラブとして昨季までの多方面での努力でB-PREMIREへの初年度からの参入が決まっているだけになかなか厳しくも切ない。なんとか奮起して会場に詰めかけるファン、ブースター、そして興味をもって観戦に来てくださる観客のみなさまに勝利という最高の体験を一つでも多く提供してほしいと願うばかりです。
今季は若手の加入も多く、彼らの成長なしでチームの成長もないだろうな、というところで現在のなかなか勝てない状況もある程度織り込み済みではあります。星野、半澤、石橋あたりにはもっともっと成長してもらわないと困るのですが、星野と半澤が逆に少しスランプ気味なのはとても気になるところ。ディフェンスの頑張りはわかるのですがファウルとなってしまったり、決め切らないといけないシュートをなかなか決め切れないのは辛いところ。本人たちもいろいろ思うところはあると思いますが、何とか腐らず少しずつ積み上げて、開花の時が訪れるのを待ちたいと思います。
それではまた。