仙台89ers:2024-25シーズン 第3節(10/19,20 Home Game vs 宇都宮 at カメイアリーナ仙台(仙台市体育館))雑感(Game1:Basket Live観戦、Game2:現地観戦)
第3節のプレビューはこちら。
◯試合前トピック
・仙台89ers、B-PREMIRE参入決定
第3節に先立つ10/17、2026-27から改編されるBリーグの最上位カテゴリーであるB-PREMIREへ参入クラブの発表がリーグよりありました。仙台は2023-24シーズンで観客数平均4000人以上、収容数5000人以上のアリーナ確保(現在ゼビオアリーナが満たすべく改修中)、年間12億円以上の売り上げを単年度で満たす、第2次審査要件にはすでに合致。ということで2次審査通過は間違いはないのかなと思ってはいましたが、実際にこうして参入が決まると改めて嬉しいもの。新リーグについては基本的に年度の勝敗数による昇降格にはならないクローズドリーグとなりますが、不人気を囲い観客・売上減が顕著になると1つ下2つ下のカテゴリへ降格となることもあるとのこと。ここ1,2年のバスケ人気の高まりで観客数も満員近く記録しておりますが、さらなる魅力ある闘いで惹きつけリピーターを確保できるといいですね。
◯Game1(10/19 15:05 TO)仙台72宇都宮76
・雑感
Game1のエントリーメンバー、スターターは以下の通り。
比江島あるいはニュービル対策でディフェンス力あるタリキがスターターを務めるかと思いましたが、キッドをベンチスタートにおいてヤン、ブース、フェリシオでちょっと3BIG気味の布陣。
立ち上がりは互いに3Pがリングに嫌われ続け得点が伸びない。宇都宮のほうが比江島の独特のステップによるペネトレイトが連続で決まると一歩リード。序盤はなかなかスコアメイクに苦しむ仙台だがディフェンスは宇都宮のシュートタッチの悪さなのか、あまりいい状況で3Pを放らせないことができているのか、宇都宮にもスコアリングを許さない。5分経過で4-6のロースコア展開になってきたが、これは意外に仙台ペースなのかもしれない。・・・と思うそばからターンオーバーから得点を許すなどでまた宇都宮にリードを許す。仙台も宇都宮のエースニュービルを2ファウルに追い込みベンチに下げさせたあたりからすこし上向きはじめ、宇都宮ディフェンスの隙をついてタリキが連続ゴールで同点に追いつくとそのまま1点リードで1Qが終了。これまで立ち上がりに問題を抱えていた仙台が今季初めて1Qでリードを取った。
2Qに入っても3Pのタッチのあがらない宇都宮をよそに、ベンチスタートのキッドを中心としたスコアリングで着々と得点を重ねていき9-0のランでリードを10点とすることに成功。たまらず宇都宮ベンチがタイムアウトで流れを切りにかかるも仙台のモメンタムは変わらず、ここまで不調が心配だったブースのシュートにも当たりが出てくるとランは16-0としてリードを17点にし35-18でOTO。宇都宮相手にこんなGame運びができるなんて。しかしOTO明けに宇都宮が少しディフェンスの強度をあげてくると、今度は仙台のスコアがぱったり止まる。対して宇都宮はファウルがかさんだ仙台からファウルドローのFTなどでじわじわ得点を重ねると4-13のランとやりかえされるが、39-31とリードを8点として前半が終了。
宇都宮相手にリードを取って前半を終えるという展開はチームには申し訳ないがかなりの想定外。後半もしっかりリードを保って勝ち切りたいところなのだが、2QのOTO明けに大量リードで緩んだというわけではないだろうが、OTO後は4得点にとどめさせられ勢いを消されたあたりは後半にひきずらないようにしたいところ。
後半になると前半タッチがなかった宇都宮の3Pが火を噴く。2Q後半からギアの上がった宇都宮ディフェンスの前に攻めあぐねる仙台をよそに、遠藤、ジャレット、ニュービルと連続で3Pを決めてくるとリードがみるみる溶けていく。そうなってくるとここまで今季勝利がなく勝ちがどうしても欲しいだろう仙台は焦りなのか何なのか、ターンオーバーの連発やファストブレイクのレイアップを落としてしまうなど拙いオフェンスに終始。3Qだけでニュービルの3スティールを含む9つのターンオーバーを献上しシュートで終われない形としてしまうのでは得点が伸びるはずもなく、前半の好調さとは別の顔を見せてしまった仙台は12点にとどまってしまう。またオフェンスのリズムが崩れてしまうと前半よくしのいでいた宇都宮の3Pに対するディフェンスも少し甘くなっては24失点で51-55と逆転を許してしまう。前半終了時の懸念が当たってほしくなかった・・・。
4Qに入ると仙台がやや勢いを取り戻し、青木のアタック、復調気味のブースの得点ですぐさま同点に追いつき勝利へ執念を見せる。しかしそこは試合巧者宇都宮、タイトなディフェンスとここというところでの正確なシュート力でもっておいそれと仙台にリードを広げさせない。互いにシュートを決めては相手のシュートを阻んでリードチェンジを繰り返すヒリつく展開になってくるが、OTO直前に既に4ファウルでベンチにいる時間が長かったキッドが怒りの3Pを沈めると4点リード。そのままなんとかリードをキープしたい仙台だが、リードチェンジを繰り返す展開のまま残り1分強で72‐72の同点。だが勝利の女神がほほ笑んだのは宇都宮のほう。このクラッチタイムでブースは3Pを決められず、ニュービルはタフな3Pを決めてくるという対照的な形で明暗が分かれてしまった。残り21秒で同点を狙いにいきたかったところも痛恨のスローインミスでターンオーバーとなって勝負あり。逃がした魚は大きすぎた・・・。
・Game後HCコメント
やはり3Qでターンオーバーを連発させて自らモメンタムを失ってしまったことに言及しています。また当然ではありますが、若手の多い仙台としては相手の出方によって闘い方を変えていけるようなクラブではないこともしっかり認識しているので、自分たちがやるべきことをやり切るという姿勢を浸透させることでいい結果が生まれてくることでしょう。
・気になった選手
ブース:前節Game2に引き続きでが、前回は不調ぶりが大変気になりピックアップしましたが、今Gameにおいては昨季のような相手にしてみればやや理不尽にも感じるだろうミドルシュートや3Pを決めてみせる復調の兆し。今季はキッドという点取り屋は加入したものの、やはりブースの得点が伸びてこないと仙台の得点全体が伸び悩む傾向にあるので、今後も昨季同様のスコアリングをしていってほしいですね。
◯Game2(10/20 15:05 TO)仙台76宇都宮87
・雑感
Game2のエントリーメンバーとスターターは以下の通り。
Game1は仙台の課題であるターンオーバーの多さと、クラッチタイムのGame運びの拙さで、すぐ手元にあった勝利が手の中からするりと逃げていってしまった悔しい敗戦。今Gameその悔しさを胸に、強豪相手にカムバックできるかどうか、メンタルの持ち方も問われるGameに。
スターターはGame1からヤンに変えて半澤をチョイス。比江島相手にも一歩も引くことのなかったディフェンス力を買われてのことだろうか?とにかく半澤は仙台浮沈のカギを握る選手の一人とは思うので、しっかり活躍してアピールしてほしい。
Game1の悔しい敗北からどんなカムバックを見せるかと期待していたが、残念ながら今季つきまとう入りの悪さを見せてしまい、Game1で敗因としてあげられていたターンオーバーを早くも連発させてしまいシュートで終われない苦しい展開で0-9のランを作られてしまう。一方ディフェンスのほうもディフェンスリバウンドを取り切れない場面が多く宇都宮に2ndチャンスをよくつくられてしまっているのと、Game1より格段に精度の増した3Pも次々に沈められてみるみるリードを広げられてしまう。この入りの悪さがなかなか改善できないのはちょっと辛い。7-20の13点ビハインドとされては前節島根戦を彷彿としてくるが、このところGame Changerとしての活躍が目立つタリキがコートインすると少し落ち着きを取り戻すと今Gameもベンチスタートのキッドの連続スコアリングで少し盛り返すものの、10点のビハインドとされて1Qが終了。
やはり宇都宮にはちょっとかなわないのかな、と思いはじめたところ、2Qは仙台がディフェンスで矜持を見せてくる。1Qよりもインテンシティ高いディフェンスでOTOまでに宇都宮の得点を比江島の3得点にとどめてみせる素晴らしい出来。一方の宇都宮もディフェンスが変わらずタイトに当たってくるが、仙台の方は何とかかわして8点を積み上げビハインドを5点に縮めてきた。しかしGame1で復調の兆しを見せたブースが徹底的なマークに遭ってまたもやアテンプトさせてもらえないシーンが目立ち、ややタフな形で放ってしまい決め切れずにいるのはちょっと気がかり。もう少しチームとしてブースの得点力を活かすオフェンスの形を作れるといいのだが・・・。青木の連続ゴールで10点あったビハインドも1点に詰めるがその先は宇都宮のディフェンスに阻まれ逆転まではできなかったものの、31-33と1ポゼッション差として前半が終了。
前節の島根戦Game2でもそうだったが、1Qでどうしようもない入りの悪さを見せてしまうのに、こうやって追いついてきてしまう今季のチームは実に不思議。2Qのような戦い方を1Game通じてできるようであれば結構強いチームになるのではないか・・・?などども思ってしまう。
とはいえここまで未勝利の仙台だけに勝利に向けて3Qでさらに勢いをつけて、一気にまくっていきたいところ。その期待に応えるように3Qファーストプレイの得点でまずは同点に追いついてみせる。2Qから継続するインテンシティ高いディフェンスで宇都宮の得点を阻み続けると、青木が自らのペネトレイトや3Pを決めてみせてチームを鼓舞していく。しかし宇都宮も返す刀でいいディフェンスから仙台のターンオーバーを誘っては仙台のランを許さないものの、その比江島がポインツフロムターンオーバーを決めたところからは仙台ディフェンスが宇都宮のオフェンスをシャットアウト、このQも宇都宮の得点を10点に抑えてみせる。宇都宮相手にこれだけのディフェンスができるとは昨季からすると素直に驚きを禁じ得ない。仙台は好調タリキがそのディフェンスだけでなく3Pでも存在感を発揮するなどして、52-43とリードを9点にして3Qが終了。
(下記89ersのポストでは3Qが11点になっていますが21点です)
今度こそ勝利のためにこの9点差を溶かしたくない仙台ではあったが、ここで仙台の前に立ちはだかったのは昨季リーグMVPのエース、ニュービルだった。ここまで決め切ってこれなかった3Pを次々と沈めてくるだけでなく、宇都宮もチームとしてニュービルの突破力を最大限に利用したオフェンスセットでペネトレイトからも得点を重ねていくとリードはあっという間に溶けていってしまう。また追い上げを許している場面で宇都宮ディフェンスの網に引っかかりスティールされたり、イージーなスローインミスなどを繰り返してしまうのでは勝機も逃げていくというもの。OTO後も競り合いは続くが、ここまで最終盤に息切れしての敗北が続く仙台がその課題を克服してほしいところもやはり肝心なところでのFTミスやターンオーバーでリードを守り切れない。69-69で迎えた残り31秒での仙台のおそらくラストポゼッション、TO明けのセットはシュートを打ち切れず24秒バイオレーションを取られて再びターンオーバー。幸いにして宇都宮のラストポゼッションはしっかり守り切り、何とか延長戦には持ち込むことになった。
しかし延長戦になっては仙台はすっかりガス欠、試合巧者の宇都宮をもはや止められない。OT最初のスローインをこともあろうかミスしてしまい得点につなげられるボーンヘッドで始まる非常にもったいない形で始まると比江島がボーナススローを2本外してくれたにも関わらずディフェンスリバウンドをとれず、ニュービルの3Pを呼び込んでしまった時点でモメンタムは宇都宮に傾き勝負あり。またしてもクラッチタイムでシュート精度を欠き決め切れない仙台をよそに、宇都宮はファウルゲームなどで得たFTもしっかり沈めていってはみるみるビハインドは広がり、これまでの5Gameと全く同様にまたしても最終盤に突き放される悔しすぎる敗北を喫してしまった。
・Game後HCコメント
Game1での反省点であった勝負所でのターンオーバーの多さがまたしてもまろび出てしまったことをはじめ、立ち上がりの悪さや終盤の試合運びにまだまだ課題があるチーム事情が垣間見れますね。HCの言う通りにターンオーバーが23本、ポインツフロムターンオーバーが30点というのはちょっとやられすぎ。シーズン始まったばかりと言えどもすでに10分の1の6Gameは消化してしまったわけなので、オフェンス・ディフェンスでの共通認識を一刻も早く高めていく必要がありそうです。
・気になった選手
青木:苦しいGame展開の中でも、激しいディフェンスだけでなく、みずからのスコアリングでチームを引っ張り鼓舞しているような様は素晴らしかった。またおそらくGameの結果に関係なく、Game後にB-PREMIRE参入の報告とあいさつをすることになっていたのだとは思いますが、開幕から6連敗という結果の伴わない悔しさを噛み殺しながら、それでも気丈に言葉を選びながらファン・ブースターへの感謝の言葉と諦めない気持ちを吐露していたのもキャプテンとしての自覚がなせる業でしょう。我々もキャプテンヤスアオキを信じています、ここから浮上していきましょう!
◯最後に
勝てそうで勝てないGameばかりが続く6連敗という非情な現実となってしまいました。力の差を見せつけられたうえで敗れている方がまだあきらめもつくというか気持ちも切り替えやすいところがありますが、こう僅差での敗北が続くのはさすがにしんどいものがあるのは偽らざる心境。
とはいえ、来々季からのB-PREMIRE参入は果たしたわけですから、いつまでもこのままではいられません。仙台ファン・ブースターという肩書を外してみれば、リードされても追いつき追い越し、格上とみられるクラブと互角に戦っている仙台というクラブはとてもおもしろいクラブと言えなくもありません。ここに勝利という結果が伴ってくれば仙台ファン・ブースターとしてはいうことはありませんし、さらに増加していくのではないでしょうか。
思えば昨季は仙台の永遠のライバルでもある秋田が序盤でチームケミストリーの悪さから勝利をあまり上げることができず、降格すらささやかれる状況だったところ、見事に建て直したといったことがありました。仙台としては今のロースターのままであくまで若手の成長を促すのか、思い切った選手の入れ替えを行うのかはわかりませんが、一つ思うのは、今のこのチームこのロースターは噛み合ってくれば結構強くなれるのではないか、という期待を感じられること。その期待に応えてくれる選手たちスタッフたちであろうことを切に願うばかりです。
では今節終了時点の主要チームスタッツを眺めてみましょう。
PPG:70.5→71.7
OPP・PPG:76.3→78.0
FG%:38.7%→40.0%
2FG%:40.5%→44.0%
3FG%:36.3%→34.0%
eFG%:46.6%→46.8%
APG:15.8→17.3
RPG:35.5→39.0
TOPG:15.5→15.2
OFFRTG:99.0→98.2
DEFRTG:107.1→106.8
今節では過去2節よりはしっかりシュートが入っていたことからスタッツ関係は軒並み改善。今節とてもターンオーバーが多かったような気がしたのですが、平均ではわずかにポイントが減っているのはちょっと意外。また2FG%が改善したことで、全体FG%もようやく40%台に。ただ今Gameは3P%が少し良くなかったのでeFG%については微増にとどまっています。ただOFFRTGは悪化してしまっているので、オフェンス精度をもうすこし上げていかないとこの先もまだまだ苦しい時期が続きそう。
6連敗という結果においてはネガティブな感情が芽生えてしまうのは仕方のないこと。その結果だけ見たら以前のワタクシなら苛烈な批判を繰り広げていたかもしれません。しかし今季のチームにはポジティブな要素も決して少なくはなく、この先ポジティブはもっと積み上げて、ネガティブを少しでも減らしていければ先にも書いたとおりとても面白いチームになっていくのではないかと思えるチームです。特に降格という懸念要素がないシーズンで、若手の成長を促せるのは非常にいいこととも思います。でもベガルタ仙台のチャントを引用させてもらうと「仙台勝たなきゃつまんねーだろ!」という気持ちももちろんありますので、何とか今後結果に結びつく成長を選手、スタッフそれぞれがしていくといいなあ、と思わずにはいられません。
それではまた。