響け響けと
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重たい雨の降る夜。酒場に会したトレジャーハンター達は、一様に無言だった。
扉は閉め切られ、王都の騒めきは届かない。屋根を打つ雨音の膜が、余計にその場を閉ざされたものにしていた。灯りはすべて落とされ、皆の視線は、カウンターに立つ四本の蝋燭に集まっている。各々の手に握られた小さなグラスには、澄んだ酒が注がれていた。
「みんな、今日はありがとう」
輪の中央に、レオが立った。その隣には、同じハンターギルドのメンバーが数人並んでいる。
「五日前、同胞達が四人、この世を去った」
傍に座っていたハイクには、この時レオが様々な感情を堪えているのが分かった。悲しみや、後悔や、己に対する怒り。それらが一緒くたになって、冷たく固まってしまったような顔だ。
しかし、それでももう、レオは泣いてはいなかった。毅然と顎を上げ、前を見る。
「マキナ、ジャック、ベロニカ、ディグ。四人とも、気高いハンターだった。最期の瞬間まで黄昏に抗い、そして、打ち勝った。それは俺と、ここに居るルドラが証明する。これから先も、証明していく。あいつらと一緒にここで過ごした時間を、この身にずっと刻んでいくんだ」
ほんの一瞬、レオと目が合った。
忘れてはならない。しかしそれは、後悔に縛られることでもなければ、過去に囚われることでもない。黄昏はいつだって、舌なめずりをしながら、自分達が落ちてくるのを待っている。
「あいつらはもう戻って来ない。だから俺達は、その意志と一緒に進んでいく。あいつらがどんなに誇り高くて、勇敢で、仲間想いのトレジャーハンターだったか。ここに居るみんなならもう、十分に分かっていると思う」
確かめるように、レオが酒場を見回す。誰も言葉を発さなかった。だが、自分達がお互いに考えていることだけは、不思議と手に取るように理解できるようだった。みんな、杯を。レオの声で、全員が起立した。
「夜は始まったばかりだ。朝が来るまで、存分に語らおう」
献杯。数十人のハンター達が一斉にグラスを高く掲げ、酒を喉に流し込んだ。ハイクもそれに習い、グラスの中身を一息に飲み干す。
扁桃腺にこびりつくような熱を持った、薄茶色の火酒。
それが、マキナと飲む最後の酒になった。
*
蝋燭の灯の下、酒を手に、在りし日の彼らについて一晩中語り合う。それがハンターの別れの儀式だ。思い出話でも、笑い話でも、本人には言えなかった恥ずかしい話でも構わない。ありったけの物語を死者に持たせ、盛大に見送ってやるのだ。後悔なく先へと行けるように。
言うまでもなく、それは残された側も同じだった。ゆえに、ハンター達の葬式は明るい。夏のにわか雨のようにこざっぱりとしていて、後腐れがない。酒場の店主も、今日だけは出し惜しみせずに、特上の酒と料理を次々とテーブルに並べてくれる。然るべき時に、きちんと悲しむことのできる場があるというのは、それだけでも幸福なことだ。彼らを見ていると、ハイクはいつもそう思う。
しばらく輪に混じって、舐めるように酒を減らしながら、ハイクも皆にマキナとの昔話をいくつか披露した。ふと、隣の席に、すとんと腰を下ろした気配がある。レオだった。酔っているのか、耳が赤い。
「挨拶、どうだった? 上手く話せてたかな」
「ああ。ご立派なもんでしたよ、旦那様」
冗談交じりに返すと、レオは素直に笑い、ありがとう、と言った。明るい赤毛が、蝋燭の火に照らされて小刻みに揺れる。この日のために用意された長い蝋燭は、まだ半分以上が溶けずに残っていた。
レオのグラスに酒を足しながら、ハイクはほほ笑んだ。
「正直、もっと湿っぽくなるかと思ってたけどな。でも、ああいう挨拶の方が、マキナのおやじも喜ぶ」
「ああ、うん。それもあるんだけど」
ちらちらとハイクを気にしながら、レオは明らかに言いよどんだ。
「どうした?」
「いや、その。……まだちゃんと、礼を言えてなかったな、と思ってさ。あの時の歌と、それから」
「……ああ。そっちか」
自然と視線が下がる。くたびれたブーツのつま先が見えた。泥は落としたが、ここ数日でずいぶんと汚れた。手に出来たマメはそろそろ固くなりつつあったが、遺跡で垣間見たマキナの記憶は、未だにどこか不思議な柔らかさを持って、ハイクの胸を温めている。あの崩落した遺跡での出来事を、おそらくこの先も、自分は忘れることはないだろう。
レオはじっと蝋燭を見つめたまま、真っ直ぐに言った。
「もしも、あそこに居たのが俺だけだったら、きっと一歩も動けなかった。可能性の話じゃなくて、分かるんだ、自分のことだから。マキナが魔獣になっていくのを、ただだまって見てることしかできなかったと思う。最悪俺も、黄昏に呑まれてたかもしれない。だから、ありがとうルドラ。マキナの望みを叶えてくれて。でもって、すまなかった、本当に。おまえ一人に、重たい所だけ押し付けちまった」
レオがあまりにすまなそうに頭を下げるので、ハイクはからりと笑った。こういう役は、こなせる者と、こなせない者が居るのが常だ。どちらが正しい、とか、どちらが優しい、とか、そんな区別は関係なく、ただ純粋に、あの場で引き金を引けるか、引けないか。それは始めから決まっているし、自分では変えようもない。ハイクは撃てて、レオは撃てなかった。そういう違いがあっただけだ。
大鷲の銃が、慰めるようにベルトの中で揺れた。返事のかわりに手を添える。もう片方の手でグラスを掴み、酒を飲んで乾いた口を湿らせた。じわりと辛い。
「……マキナのおやじには、世話になったからな。あの世に持っていかれる前に、借りは全部返しておきたかったってだけさ」
ハイクを真似るように、レオも火酒を舐めた。蝋燭の炎を吸って、新緑の目が揺れている。
「ルドラ。おまえには、墓まで一緒に掘ってもらった。正直、ちょっとびっくりしたんだ。てっきりおまえって、そういうのに時間を取られるのが嫌なタイプなんだと思ってた。別れを惜しんでる暇があったら、どんどん先に行っちまうような」
「死んだらお終い、はいさようなら、ってか」
「うん。だけど、違った。ぜんぜん、違った」
ハイクはおや、と顔を上げた。レオの声が、いつになく真剣で、真面目な響きを帯びていたからだ。
「……あの時、歌ってるおまえの後ろ姿を見てて、思ったんだ。神様が人を連れいくっていうのはきっとこんな感じなんじゃないかな、って」
「脚色しすぎだ。神様だったら、もっといくらでもやりようはある」
「分かってる。でも、あの時のマキナの顔、見ただろ。痛くて息もできなかったはずなのに、あいつ、すごく優しい顔してた。なんにも思い残すことはない、って顔。戦場のど真ん中で、ああいう風にして死んでいける奴がどれだけ居ると思う。奇跡みたいなもんだよ。なあ、ルドラ、おまえと、おまえの歌があったから、マキナはちゃんとむこうに行けたんだ。それだけは確かなことなんだぜ」
アルバーダは、夜明けの歌。時にそれは、黄昏を越えた先に昇る、本物の朝日を臨むことが叶わなかった者への手向けとして歌われることもあるという。
行けたのだろうか、マキナは。黄昏に魂を取られることなく、金色の光のたもとまで行けたのだろうか。
「おまえのこと、マキナがああいう風に言ってた意味が、ちょっと分かった気がする」
「マキナが?」
「前にぽろっとな。“あいつは過去を見ることで先を見てるんだ”ってさ。妙に印象が深くて、覚えてた。その時はよく意味が分かんなかったけど、今のおまえはちょっと、そんな感じだ」
確かにハイクの根源には、今もあの緑の丘がある。当時の記憶に突き動かされていなければ、自分は今、ここで酒を飲んではいない。
遠くまで来たものだ。グラスに少しばかり残っていた火酒の残りを、ハイクはゆっくりと飲み下した。
「別に、特別なことでもないさ。自分の過去と無関係に生きていける奴なんて、この世には一人も居ない」
「……うん、そうだな。その通りだ」
レオにも思う所があったのだろう。どこか遠くを見るようにそう呟いて、青年は左足をさすった。杖こそついていなかったが、王墓での無茶が祟ったのかもしれない。
「痛むのか」
「前からだよ」
眉を下げ、レオは苦笑した。
「今日が終わったら、いったん故郷に帰るよ。寂しいけど、ハンター業はもう続けられないからな」
「家はどこなんだ?」
「スクイラル。うちの手伝いでもしながら、しばらくどうするか考えてみる。こいつも預かったことだしな」
レオは机の上に乗せていた、開かれたヴァイオリンのケースに手を伸ばした。艶のある美しい流線型の楽器が、箱の中で静かに眠っている。伸びかけた前髪のあいだで、レオの強い視線が光る。共にマキナ達を弔ってから、レオは時折、こういう目をするようになっていた。
日を見た目だ。そう呟いた大鷲は、どこか面白そうに隻眼を細めた。
*
店はすでに、広く開放されていた。他の客も増え始め、雨も上がったようだ。レオが他のテーブルへの挨拶のために席を立ったあと、ドアベルが鳴って、涼しい空気がふわりと入りこんで来た。目に鮮やかな赤い姿に、虹の襟巻。彼女は無言で店内を見回し、隅に座っているこちらに気が付くと、両目を少しだけ細めて歩み寄ってきた。ハイクは椅子を引き、隣を促した。
「誰かと思えば、イリスのねえさんじゃないか。久しぶりだな」
「そうね。そういえば、久しぶり」
彼女は名を、イリス・アウディオという。青の神殿の言い伝えをハイクに伝えた、若いハンターだ。彼女とは、神殿から戻り、調査にかかりきりだった一カ月のあいだに、会う機会が何度かあった。名前もその時に聞いたのだ。すでにお互い、気の知れた仲になっている。
「……何か、あったのね」
彼女は、ほんのりと酒場に残っていた別れの気配を嗅ぎ取ったらしかった。ハイクがカウンターを示すと、理解したようだ。注文した酒が届くと、彼女はグラスを蝋燭に向かって掲げてから、静かに口を付けた。
アウディオは虹の意味だったな、と、ハイクは彼女の整った横顔をぼんやりと眺めた。イリス・アウディオ。似合いの名だ。鮮やかで、確かな存在感で見る者を引き寄せるのに、捉えどころがない。
イリスは目をわずかに伏せて、独り言のように呟いた。
「……花を」
「え?」
「花を、持ってくれば良かった、と思って」
「杯を掲げてくれただろう。十分だよ、それで。あいつらも多分、そう言うだろうさ」
「もしかして、知り合いだった?」
「まあな。多分、ねえさんも知ってる。前にここで、歌ったことがあっただろう」
「……ああ、そう。あの時の、脈打つ嵐」
もう聞けないのね、と、イリスはぽつりと溢した。一見無表情に見えるその目に、いくばくかの寂しさが顔を出す。やりきれなさを飲み下すように、彼女は再び火酒のグラスを傾けた。その様子は、先程まで同じ場所に座っていたレオにどこか重なる部分があるように、ハイクには思われた。
――俺達が証明していく。この身でもって、彼らが生きた証を。
気付けば、口から勝手に言葉が漏れ出していた。
「でも、二度と聞けなくたって、あいつの音色は覚えてる」
忘れないこと。歌い、人に伝えていくこと。ハイクにできることといったら、それくらいだった。これから先、ハイクが嵐の歌を歌う時、あるいは、夜明けの歌を歌う時、どうしようもなく、そこにマキナ達との記憶は付いてくるだろう。ゆえに歌を歌いながら、ハイクは聞くのだ。疾風怒濤のヴァイオリンや、調子のいい笛の音を。ギターを、コーラスを、人々の歓声と手拍子を。身体に反響する記憶を、声として響かせる。今までに出会った人々へ、これから出会う誰かへと、マキナの想いを乗せ、ハイクの声は渡っていく。
「俺の歌の中にも、マキナの魂は宿ってる。だから俺は歌うことで、あいつが歩んだ道を証明していく」
「……それって、素敵ね。とっても素敵」
「そう思うかい?」
「ええ」
イリスは頷いて、ふむ、と思案した。ゆっくり一つまばたきをして、鼻歌を歌い始める。とんちんかんな音の割にどこか均整のとれたその不思議な曲に、ハイクは思わず吹き出した。
「おいおいねえさん。なんだい、そりゃあ」
「何って、嵐の歌」
嵐の歌! ハイクは誤魔化すのをあきらめ、今度こそ腹を抱えて笑った。酒精も手伝って、なんだか余計に面白い。
「嵐っていうより、賑やかな春一番だな。ちょっとばかし、酔うのが速いんじゃないか?」
「あなたもじゅうぶん酔ってる。いつもより、声が深い場所にあるみたい。……ねえ、教えて。私にも、嵐の歌を」
これが今晩の肴になりそうだった。ハイクは緩く笑って、ゆったりと嵐の歌を歌った。イリスは真剣な顔で聞いていたが、彼女が復唱した曲は、やはり風変りな響きを伴っていた。本人も首を捻っている。同じことを何度か繰り返すうちに、だんだんハイクの方もイリスの音色の影響を受けるようになってきて、とうとうお互いに笑いが止まらなくなっていた。「分かったわ」と、イリスが呟く。
「何が?」
「人はお酒だけじゃなく、音楽にも酔うのね。だから、嬉しいと踊るのね、悲しいと歌うのね。だから酒場で人は楽の音を奏でるのね。……私達は今、両方に酔ってる」
「そりゃあ贅沢だ」
「ふふ、そうね。見事に酔っ払いよ、私達は」
ふは、と笑ったハイクにつられるように、イリスは喉を鳴らした。微笑を浮かべ、ハイクの顔を覗き込む。
「子どもみたいな顔になっていらっしゃるわよ、声の人?」
「誰が子どもだって?」
じとりと睨むと、ほら、そういう顔、と返される。いまいち迫力に欠けたらしい。「まあいいさ、子どもにしか歌えない曲もある」とハイクはいっそ開き直って、人差し指を指揮棒代わりに動かしながら、今度は故郷で教わった童謡を口ずさみ始めた。
流れるさだめ まわる風
わたしたちは 流転のこども
「……聞いたことのない曲。それに、変わった詩ね」
「ああ、そうだな。遠い場所の歌だから」
「遠い場所……。いったい、どんな所なのかしら。連なる山の峰、大きな川、花々に、草いきれ……」
呟きながら、イリスは空になった料理の皿と、すっかり氷の解けた杯を机の端に避け、手帳にこりこりと今の歌詞を書き留め始めた。ハイクは特に驚かなかった。ハイクが歌を歌った時に、すでに何度か、彼女は同じことをしている。それだけ彼女は詩の意味を考えながら歌を覚えようとしてくれているのだろう。
「歌は言葉ね」
書き終わったページを眺め、イリスは満足そうに眼を細めた。その歌がなんのために、あるいは誰のために歌われたものなのか。いつ、どんな場所で歌われたのか。そういうことを想像している時、彼女の赤い目はひときわ輝く。
いつの間にか、蝋燭の火は消えていた。気付いた店主がやって来て、新しい蝋燭に交換してくれる。その火を移したようなイリスの一対の瞳が、ハイクの目をじっと見つめる。
「あなたの歌。彼らの歌。ここで聞いた、たくさんのあなた達の言葉。……私も、覚えてる。この先もずっと」
「ああ。きっと忘れないでいてくれ。あんたが歌と呼んだものを」
宴会も、そろそろ終わりだ。亡き者と過ごしたあたたかい記憶から覚め、現実へと帰る時間が近づいている。
ハイクは道具入れの中にある、赤い珠の感触を確かめた。マキナ達がその命と引き換えにして手に入れた、真なる史への道しるべだ。
急がなければならない。ハイクはそっと手のひらを握った。
真実か、命か。
もしも遺跡を隠した人物が、どちらかをハイクに選ばせる気だというのなら。
間違っている。その考えは、間違っている。
*
「同行者を探すべきだ」
翌日、一通りハイクの報告を聞いたあと、執務室でフィデリオが放った第一声がそれだった。
「機械人形がその一体だけとは限らない。やっぱり僕も一緒に」
「駄目だ、フィデリオ。何度言えば分かる。他の何よりも、おまえは騎士団を優先してくれ。他に時間を割いてる余裕はないはずだろ」
フィデリオはぐっと押し黙った。肩を軽く叩いて、ハイクは慰めるように笑った。
「なに、隊長殿のお手を煩わせずとも、すぐに片をつけてご覧にいれますよ。ただ、いずれにせよ協力者は探さないとな。レオの話だと、なんでもそいつ、まるで生きているみたいに自由に動き回ったらしいし」
「新型か」
「ああ、その線が濃いだろうな」
あれだけ厳重に守られていた扉だ。その奥には十中八九、次の墓守りが待ち構えているだろう。流石に大鷲が居ても、今回は分が悪そうだ。
無理はするな、とフィデリオにしつこく念を押されつつ、ハイクは騎士団の詰め所を後にした。城門をくぐって、ドレスの裾のように広い階段を下り、城前広場に下りる。
赤茶のタイルが丹念に敷かれた広場は、行事で使われることもあり、日頃から行き交う人々が絶えない。賑わう広場に足を付けた時、右手から良く知った二人組が並んで歩いてきて、ハイクは「おや」と声を上げた。なぜかあちらも、ひどく驚いた顔をしている。
「おい、見ていたぞ。なぜおまえが城から出てくる」
ウルグとルーミだった。黄昏の謎を追って旅をしている、錬金術師と剣士だ。ハイクは腰に手を当て、片目をつむった。
「お姫さまと逢引きにな。叶わぬ恋で胸が痛むよ」
「くだらん冗談はよせ」
ぴしゃりと言い放つのを笑って受け止めつつ、ハイクは城を見上げ、そうだなあ、と言葉を選んだ。
「腐れ縁が一人居るんだよ。久しぶりに戻って来たって聞いて、様子を見に行ったんだ」
「腐れ縁、か。そいつは宮廷詩人か何かか?」
そう言って、ウルグは口の端をつり上げた。ハイクも同じように笑い、ひらひらと手を振る。
「違うけど、まあ、似たようなもんだな。ロマンチストだから。……あ、待てよ。そうか、分かった」
「どうかしましたか?」
それまでほほ笑ましくハイク達のやり取りを見ていたルーミが、首を傾げる。ハイクは二人を交互に眺めた。戦闘の腕も、共にこなした場数も、この二人となら申し分ない。
「お二人さん、時間があるなら、ちょっと俺に付き合う気はないか」
ウルグはすぐに察したようだ。鋭い目つきがいっそう鋭くなる。視線だけで紙がすっぱり切れそうだ。
「調査か。どこに行く気だ?」
死者の宮殿、と大真面目に答えて、ウルグの眉間に盛大な皺が寄ったのは、言うまでもない。
(響け響けと)
!イリス・アウディオさん、ルーミ・アッティラさん、ウルグ・グリッツェンさん(@Hello_my_planet)をお借りしました
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