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洸
2022年2月15日 23:31
大きな嵐が地球を覆った時代があった。僕が生まれるよりも前の話だ。僕は次の夏で十五歳になるけれども、空はいつも晴れてばかりで、曇りはおろか嵐なんて一度も見たことがない。だから僕は、その時代を経験した父さんや母さんから嵐の話を聞いて、その様子を想像する。 雲は地面に触れんばかりに低く厚く迫り、地層のように黒く黒く押し固まって地球の全土を覆う。風、雨、時々雹(ひょう)、そして雷が雪崩のように降り注ぐ