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深く掘り下げよ

今日のおすすめの一冊は、齋藤孝氏の『君は君の道をゆけ』(ワニブックス)です。その中から「超人を目ざして飛ぶ一本の矢」という題でブログを書きました。

本書の中に「深く掘り下げよ」という心に響く文章がありました。

《お前の立つところを深く掘り下げよ!その下に泉がある!》
(ニーチェ/悦ばしき知識)

これは、「自分の立っているところ、その下を地獄だと思うのはやめよう。深く掘り下げれば、 その下には泉があるはずだ、ひるむな!」という意味合いの言葉です。 

この「立つところ」を、みなさんの仕事に置き換えてみましょう。 仕事が退屈で、いくらやっても無駄なんじゃないかと思えてくる・・・ そんなとき、実は、本気で取り組んでなかった、というケースがしばしばみられます。そこで、本気で取り組んでみたところ、「いやあ、 仕事が面白くなりました」となるわけです。 

スポーツの世界でも、いわゆる練習嫌いの選手がいます。センスはあるのに、練習嫌い。 これも、「立つところ」を掘り下げていない状態といえるでしょう。 たとえば、テニスの錦織圭選手もあまり長い練習が好きではなかったらしく、わりと早めに切り上げるタイプだったそうです。

ところが、マイケル・チャン氏がコーチになった 際、「そのやり方ではトップ10にはいけない!」と、錦織選手の手を抜くクセを指摘し、新たに練習の一つひとつを組み立てていったとのこと。 すると、次第に身体が強くなり、プレイもよい方向に向かっていったのです。 つまり、手を抜かず練習を掘り下げたその下に、泉があったというわけです。 

テニスに限らず、よいコーチとは泉のありかを見抜き、「お前は持っている力をすべて使っていない。そこを掘ってみろ。その下に必ず泉があるから」と言ってくれる人のこと。そして、言うだけでなく、その“掘り方”も教えてくれる人。 

したがって、深く掘り下げていなかったがゆえに、仕事が面白く感じられないということも、往々にしてあるわけです。勉強でもなんでも、奥まで入り込んだ方が面白いという側面がありますから、物事を表面的に見てはいけません。 

先日、羽田空港を清掃するベテラン清掃員の新津春子さんという方のドキュメンタリー番組を見ました。 新津さんは、清掃という自分の仕事に自信を持ち、とにかく徹底的に掃除をするわけです。そうすると、そこに泉があった。あらゆるものがピッカピカになり、周囲も助かりますし、ご自身も評価されて一躍有名になられたわけです。 これも、「立つところ」を深く掘り下げた結果、と言えるのではないでしょうか。

◆安岡正篤師の著書「易と人生哲学/致知出版」の中にこんな一節がある。

六十四卦の中に、「水風井(すいふうせい)」という卦があります。「水風井」とは、物事が行き詰まり苦しくなった場合の答えが、「井」の卦であります。行き詰って、どうにもならないときには、その事業、生活、人物そのものを掘り下げるより他によい方法がありません。

たとえば、井戸を掘りますと初めはもちろん泥でありますが、それを掘り進めますと泥水が湧き出します。それを屈せず深く掘り下げると滾々(こんこん)として尽きない清水、水脈につきあたります。これが「井」の卦であります。このように、困ったときには、いくら条件を並べて、よい方法がないかと探しても無駄であります。

自己を堀りさげるより他によい方法はありません。本当によく反省し、修養すれば必ず無限なもの、滾々(こんこん)として尽きない水脈につきあたる、そうなると無限にこれを汲み上げることができるのであります。

「お前の立つところを深く掘り下げよ!その下に泉がある!」という言葉を胸に刻みたい。

今日のブログはこちらから→人の心に灯をともす


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