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ハードとソフトのゆるい場の存在

今日のおすすめの一冊は、石山恒貴(のぶたか)氏の『ゆるい場をつくる人々』(学芸出版社)です。その中から「ゆるい場をつくろう!」という題でブログを書きました。

本書の中に「ハードとソフトのゆるい場の存在」という心に響く文章がありました。

ある地域ではハードとソフトのゆるい場が多く存在し、それらがお互いに連携しあっている状況が見受けられることもあります。ここでは静岡県三島市の状況について紹介します。 

三島市の観光協会三島サードプレイス研究会を立ち上げました。これは三島市にゆるい場が多いという状況も関係しているのです。新幹線を使えば、三島市から東京の都心にある企業へ通勤することも十分に可能です。こうした地域特性により、三島市は移住、二地域居住などの 対象として注目を集めています。

多様な人々が三島市に訪れる状況がうまく影響していて、そのためにゆるい場が増えているといえるでしょう。 三島市のハードの場としては「あひる図書館」ゲストハウス giwa」「ワーカーズリビング三島クロケットなどがあります。

「あひる図書館」は中島あきこさんが代表を務める「一般社団法人ママとね」が運営しています。土肥潤也さん(全国に広がっている民営の図書館「みんとしょ」の創業者)とも連携している「シェア型図書館」です。 ママとねは、子育てをする母親同士、また母親と地域のつながりを促進、サポートすることを目的とした団体です。 

そのため子育て家庭の居場所となることを目指していますが、それだけでなく地域のあらゆる世代がつながることを目指しています。 実際、筆者があひる図書館を訪ねてみると、本棚オー ナーは三島市内外のゆるい場をつくる人々が名を連ねていました。 あひる図書館が、ゆるい場のハブのようになっているのです。

「ゲストハウスgiwa」「ワーカーズリビング三島クロケット」山森達也さんが運営しています。「ゲストハウスgiwa」は移住や二地域居住など三島に関心がある人が利用する宿泊施設です。 ユニークなのは、21時から22時の間だけにバーとして営業される「giwaタイム」。

 ゲストハウスgiwa は寿司屋を改装してつくられました。その寿司屋のカウンターを居抜きで利用し、1時間だけのバーを営んでいるのです。筆者はgiwaタイムにも参加してみました。やはり三島市内外のゆるい場をつくる人々が集い、1時間だけの貴重な交流の場を楽しんでいました。 

ゲストハウスgiwaのほど近くには ワーカーズリビング三島クロケットがあり、コワーキングスペースおよび移住前のお試しの住居として利用されていますが、そこではしばしば交流イベントも開催されています。 

三島市のソフトの場として代表的なものは、「みしまLINK」という行政・ 学生・企業がつながる場です。人と人、地域をゆるやかにつなぎ、みんなの「やりたい」を応援しあう場です。 不定期に開催され、多様なワークショップや交流会が実施されます。

みしまLINKを主宰するのは、株式会社結屋代表取締役の川村結里子さん。川村さんはその他にも、三島の飲食店が多数参加する飲み歩きイベント三島バルや、「三島100人カイギ」を運営し、多様なゆるい場をつくりあげています。 

中島さん、山森さん、川村さんは3人とも三島市への移住者。移住者を包摂(ほうせつ)する懐の深さが三島市という地域にはあるのでしょう。

また3人とも、もともと地域への関心が高く、地域でのゆるい場をつくりあげようと思っていたわけではありません。三島市への移住をきっかけとし、三島市の人々との 交流に面白みを感じ、自分のやりたいこと (小さな物語) としてゆるい場をつくりあげたのです。 

三島市の特徴として興味深いことは、三島駅周辺の一定の地域に、ハードとソフトのゆるい場が密集していることです。そしてそれらのゆるい場をつくる人々はお互いに仲が良く、交流しあっています。 ゆるい場にはお互いに共振するという特徴があるのかもしれません。

三島にはサードプレイスの代表的な場として、みしま未来研究所」、「Whiskey & co.」「6curry & Sauna」、「LtG Startup Studio」、「OASTBLUE」、「三島野菜・株式会社tane」、「Hotel Gee Haive等々がある。

「みしま未来研究所」は元々は映画製作で集まった仲間が「地域の未来をつくる人が集える場所」として、元々は幼稚園だった場所を改装してつくった場だ。そこにはクラフトビールが70種類もあるカフェ&バーBloomingやワーキングスペース、ミーティングスペースが配置されている。

「Whiskey & co.」は、key3というトークンを発行して、購入してくれたら市外在住でもウイスキーを購入する権利が付与されたり、蒸留所にあるバーの専用ルームを利用できたり、共創的コミュニティに参加できるというユニークな蒸留所だ。現在はクラフトジン(海外で最高位賞を受賞)を作っているが、本命はバーボンウイスキー作り。水に惚れ込んで三島を選び、大好きな三嶋大社の門前に蒸留所をつくった。

「6curry & Sauna」は会員制curryのコミュニティ。カレーを食べるだけでなく、そこからつながる人との出会いを大切にする場だ。

「LtG Startup Studio」は地元からスタートアップする会社を応援しようと「日本で一番チャレンジできるまち・三島」をめざしてつくられた、スタートアップ企業が何社も入っている場だ。ここではスタートアップに関する様々なイベントが行われている。

「OASTBLUE」は映画製作を通じて、若者が三島への想いを持つことやシビックプライドを育てることができたら、と作られた場だ。今年で映画製作は2回目となる。

「三島野菜・株式会社tane」は、野菜から見える三島のすごさを食べて体験してつながって知ってもらいたい、と作られた場だ。三島では箱根西麓でつくられる野菜が有名だ。しかし、せっかくつくられたおいしい野菜も様々な理由で流通から外れ、廃棄されるのを見て、なんとかしなくては、と思ったのが原点だという。

「Hotel Gee Haive」は、外からだけでなく、地域の人たちにも利用してもらえる空間を考えた。三島バルではホテルで出している食事を地域の人たちに食べてもらうイベントを行っている。

以上、三島市観光協会のホームページより。

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