見出し画像

現代は目標を持たないほうがいい

今日のおすすめの一冊は、長倉顕太(けんた)氏の『誰にも何にも期待しない』(ソシム)です。その中から『「期待しない」というアプローチ』という題でブログを書きました。

本書の中に「現代は目標を持たないほうがいい」という心に響く文章がありました。

特に変化が速く、何が起こるかわからない時代に私たちはいます。 目標で生き方を固定してしまうことのリスクは大きく、現代社会においては目標を持たないほうが断然いいのです。 

ひと昔前の「お金を稼げば成功」という考えも古くなり、時代がどんどん変化していく中で、人生の目標に固執してしまうことは危険でしかありません。 特定の目標に縛られないことで、自分自身の本当の興味や情熱を探求する時間と心の余裕が生まれます。

多くの人々は、社会の期待や周囲の圧力によって、自分が本当に望むことを見失っています。目標から解放されることで、自己探求の旅に出ることができるのです。 

ただし、すべての目標が有害というわけではありません。私は3カ月程度の短期的な目標は必要だと思っています。特に、仕事面においては重要です。 3カ月目標であれば偶然の要素が入り込む余地が少なくなります。その分、やった通りに結果が出やすい。そうやって、成果を出すことも人生において大切です。

短期的な目標を設定して結果を出し、長期的には目標を持たずに視野を広げていく。 この繰り返しが人生においては程よいのです。

 実はこの考え方は、「エフェクチュエーション理論」と深く関連しています。エフェクチュエーション理論は、不確実な状況下での意思決定プロセスを説明するもので、特に起業家の思考プロセスを理解する上で重要な理論と言われています。

この理論では、まず手持ちの資源から始めることを勧めています。つまり、遠い未来の大きな目標を立てるのではなく、いま自分が持っているもの(知識、スキル、人脈など)から出発して、そこから可能性を広げていくというアプローチです。 

まずは、いますぐに使える資源や能力に焦点を当てます。先ほど述べた短期的な目標設定は、まさにこの原則と一致します。3カ月という短期間で、いまある自分の能力や資源を最大限に活用することに焦点を当てるのです。 

また、予期せぬ出来事や困難を、新しい機会に変えることも重視しています。まさに「計画的偶発性理論」にも合致します。 

最後に大切なことは、環境をコントロールしようとするのではなく、自分の行動を通じて未来を形作っていく姿勢です。 エフェクチュエーション理論を取り入れた「目標に期待しない」生き方は、より創造的で適応力の高い人生設計を可能にします。

大きな目標に囚われるのではなく、いまある資源を最大限に活用し、小さな挑戦を重ねていくのです。 そして、予期せぬ出来事も柔軟に受け入れ、新たな機会に変えていくのです。 このアプローチは、急速に変化する現代社会にも適しています。固定的な長期目標よりも、状況に応じて柔軟に対応できる能力のほうが、むしろ重要になってきているからです。

◆エフェクチュエーションとは、インド人経営学者サラス・サラスバシー氏が提唱した理論で、最初に目標を設定するのではなく、今ある手段から新たな可能性を創造していくという従来のアプローチとは逆のやり方だ。

従来は、目標売上100億円とか、100店舗達成といった最初に数字目標を設定するやり方。目標を立ててから手段を後から考える。しかし、不確実性を増す現代(VUCAの時代)では、次々に未来予想が変わっていくので、目標もそれに対応して変えていかざるを得ない

たとえばChatGPTや仮想通貨やAIなど、革新的な技術が出たら従来の前提が一挙に変わってしまうからだ。

だからこそ大事なのが、今の自分の手持ちの資源や能力を使って、状況に応じて、流れの中で、臨機応変にそれを発展させていくこと。クランボルツ教授のいう「プランドハプンスタンス理論」という、偶然を活用する方法だ。

「現代は目標を持たないほうがいい」という言葉を胸に刻みたい。

今日のブログはこちらから→人の心に灯をともす


いいなと思ったら応援しよう!