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悪魔が奪ったもの

今日のおすすめの一冊は、中村天風師の『ほんとうの心の力』(PHP研究所)です。その中から「みだりに生きない」という題でブログを書きました。

本書の中に「悪魔が奪ったもの」という心に響く文章がありました。

ここに面白い話があります。古代神話です。

昔、悪魔がある町に現れて、「今日から、お前たちのものをすべて俺は奪い取ることにする。しかし悪魔にも情けはある。明日までに残しておいてほしいものを一つだけ書き出せ。それ以外のものは一切、俺が奪い去るからな」と言い残して、悪魔はひとまず立ち去った。

さあ、町の人はてんやわんやの大騒ぎ。「俺はお金だ」「俺は食いもの」「私は家だ」「いや、私は名誉だ」「私は宝石よ」と、それぞれいろいろなものを書き出した。

あなた方だったらどうする?悪魔はたった一つだけしか見逃してくれないんだぜ。さてさて、一夜明けてみると、その町にはなんと、たった一人の人間だけしかいなくなっていたとさ。

もうわかったね。金だ、家屋敷だ、やれ宝石だ、やれ何だと書き出した人々は、もっとも肝心な「命」を忘れていたんだね。たった一人だけが「命」と書いていたので生き残ったというお話です。

金だ、家だ、仕事だ、名誉だ、愛だ、って、確かにみんな大切なものではありますが、命あってのものでしょう。それ以外は所詮は人生の一部でしかないんですぜ。罰当たりな現代人よ、人生の一部が手に入った入らないで、悩んでいないか…。

◆どんなひどい困難に出会おうと、病気や事故になろうと、死ぬことと比べたらすべては「カスリ傷」のようなもの。もし、明日死ぬ、とわかったら、多くの人が、今ある何げない当たり前のような幸せに感謝することだろう。

歩けること、空気が吸えること、友や家族と語らえること、大喧嘩(おおげんか)したことでさえ、愛(いとお)しくなる。金も、家も、名誉も、宝石も、いかに大切なものであろうと、死んだらこの世に置いていかなければならない。

それなのに、悲しいかな人間は、目の前のモノや金や名誉をもっともっと、と欲しがってしまう。もっとも肝心な、「生かされている」ということに比べたら、すべてはちっぽけなこと。すべてのことに感謝して、ありがたさをかみしめて生きていきたい。

今日のブログはこちらから→人の心に灯をともす


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