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早いとこ失敗しよう

今日のおすすめの一冊は、ライアン・バビノー&ジョン・クランボルツ氏の『一歩踏み出せば昨日と違う自分になれる!』(日本文芸社)です。その中から「予期せぬチャンス」という題でブログを書きました。

本書の中に「早いとこ失敗しよう」という心に響く文章がありました。

息をのむステージパフォーマンス、すばらしい芸術作品、革新的なビジネス、天才的な発明など、成功者の偉業を目にすると、それらは類まれな才能の賜物で、最初から完璧だったと思いがちです。

しかし実際、特にすばらしいとされる偉業のほとんどは、数えきれないほどの失敗と挫折の果てに生まれています。ハワード・シュルツのスターバックスコーヒー創設は、たくさんの失敗の中からどのようにして成功が生まれるかを示した良い例です。

創設当初、シュルツはアメリカ人に新しい経験を提供しようと、イタリアのコーヒーショップをモデルにするつもりでいました。はじめから目の付け所は良かったのですが、現在のスターバックスコーヒーは、最初にシュルツが考えたものとはかなり異なります。事実、彼のアイデアには多くの問題点がありました。

1号店では、バリスタたちは蝶ネクタイを締め、メニューはまずイタリア語で書かれており(これが客をいらだたせました)、ノンファットミルクも提供されていませんでした。現在のスターバックスコーヒーは、数え切れないほどの試み、調整、そして見直しの末に進化を遂げたものだったのです。

早く学ぶためにはまず失敗する、もしくはシリコンバレーの起業家たちがよく言う失敗して前に進むという考え方は、革新的なビジネスの生命線です。まずは可能な限り早く商品のサンプルを作ってフィードバックを得、チャンスや問題点を知り、次のステップに踏み出す。

この考え方は、ピクサー・アニメーション・スタジオのすばらしい作品作りの核心です。ピクサーの共同創設者で社長のエド・キャットムルは、ピクサーの創造性豊かな作品に関して、「転んで起き上がる」のプロセスが関係していると述べています。

映画作りのプロセスは、ほんの一握りの優れたアイデアが大量のいい加減な発想や完全な駄作の中に埋もれる、大まかなストーリーボードからはじまります。アニメーションチームはそこから、果てしない修正や見直しを経て、最後の1カットにたどり着きます。

自らに何度も何度も失敗するのを許すことで、アニメーターたちは可能な限り早く使えないアイデアを取り除き、本当に価値ある仕事ができる状況を作り出しているのです。

『ファインディング・ニモ』や『ウォーリー』の監督を務めたアンドリュー・スタントンはこう語ります。「僕のやり方は、ずっと変わらない。まずはヘマをする。要するに《どうせ失敗するんだからそれはもう認めて、失敗を恐れないようにしよう。ただし、早いとこ失敗して答えにたどり着こう》ってこと。

僕は最初から正しい答えが分からなくてもいい。ただ間違いでもいいからすぐに、とにかく早く何か答えがほしいんだ」自分に失敗するのを許すことは、あなたがクリエイティブな仕事をしようと思えば特に大切です(ただし、人は皆クリエイティブである、とまずお伝えしておかなければなりません。なぜなら私たちは皆、現実を生きる中でアイデアを練り、問題を解決し、夢を持ち、自分の道を突き進んでいるのですから。

つまりあなたの人生そのものが、あなたの究極の創造物なのです)。

著書『バード・バイ・バード…書くことと人生についての覚書』の中で、アン・ラモットは執筆と向き合う際の苦労について述べています。ラモットは、作品を完成させるために欠かせないのは、自分に「うんざりするほど最低な原稿」を書くのを許してあげることだと言います。

ラモットは、「自分が何を書いているか、書きながら分かっている作家なんて、ごく一握りしかいない」と言います。自分が何を書きたいか、物語がどこへ行こうとしているのかが分からなくても、とにかく座って言葉をかき混ぜていれば、物語が動き出す場所にたどり着ける。

これは、「まずは失敗」アプローチの要となるアイデアです。つまり、まずは実際にやってみないことには、それがどんなもので、それに対して自分がどう感じ、そこから何かが得られるかは分からないのです。

◆本書の中に「ダサイ」から力がある、というこんな文章がありました。

ハワード・シュルツ、エド・キャトムルなどに代表されるイノベーターの共通点とは何でしょうか?彼らは自分のすべきことを知り、前進し、学ぶために、自ら進んで何度でも失敗しようとします。成功している人は、何かを学び、上達するためのベストな方法は、まずはやってみて失敗することだと知っています。

あらゆる偉業は、失敗やくだらないアイデア、出だしからのつまずき、報われない努力のあとに生まれるからこそ、彼らは何のためらいもなくとにかく早く、そしてたくさん失敗して、先を急ごうとするのです。

勉強したり準備したり先延ばししたりして失敗を避けようとする代わりに、たとえ自分の努力が無駄に終わるとわかっていても(もしくは自分には能力が全くないと分かっていても)、彼らはすぐに行動を起こし、形にし、取り組む道を見つけようとします。

成功はいつも、頼りない第一歩や報われない努力の先にあるので、皆さんは何かを成し遂げたいと思えば、まずはどうやって失敗しなければならないか、という視点で考えることです。そしてそれは、こんな形で表現できます。

●一流のミュージシャンになりたければ、まずは下手くそな曲をたくさん弾かなければならない

●的確な判断ができる優れたビジネスパーソンになりたければ、まずは何度も誤った判断をしなければならない

●小説と呼べるものを書きたければ、まずは駄作を生まなければならない

●エネルギー効率の良さと洗練されたデザインで有名な一流建築家になりたければ、まずはエネルギー効率の悪い、不格好な建物を設計してみなければならない

●才能と勇気に溢れたロッククライマーになりたければ、まずは臆病で不器用なクライマーにならなければならない

●一流テニスプレーヤーになりたければ、まずはたくさんの負け試合を経験しなければならない

失敗を避けるべきものととらえるのではなく、とにかくまずは派手に転んで、そこから学んでいくにはどうすれば良いかを考えていきましょう。

「やったことは、たとえ失敗しても、二十年後には笑い話にできる。しかし、やらなかったことは、二十年後には後悔するだけだ」(マーク・トウェイン)

変化が激しくて、先の見えない時代は、とにかくやってみるしか答えは見つからない。「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」で、やっているうちに何か別のアイデアがわいたり、違う道が見つかったりする。それがクランボルツ教授のいう「偶発性理論」だ。

クランボルツ教授は「個人のキャリアの8割は予想しないことによって決定される」という。そして、その偶然を積極的に作りだすこと、つまり、手あたり次第に数多く、色々なことを「やってみる」ことが大事。

何でもやってみると、ほとんどが失敗する。でも、早いとこ失敗すれば、早いとこ成功への道も見つかる。失敗を恐れず、チャレンジしまくる人でありたい。

「早いとこ失敗しよう」という言葉を胸に刻みたい。

今日のブログはこちらから→人の心に灯をともす


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