何かを手に入れたら
今日のおすすめの一冊は、開高健の『開高健名言辞典 漂えど沈まず』(滝田誠一郎/小学館)です。その中から「漂えど沈まず」という題でブログを書きました。
本書の中に「何かを手に入れたら」という心に響く文章がありました。
◆美輪明宏氏は、「何かを得れば何かを失う。この地球には『正負の法則』がある」と言っている。
そしてこう語る。
若い女の子には、自分の器量が悪いということを〈負〉だと思っている人もいるでしょう。だけど頭がいいとか、性格がいいとか、健康であるとか、器量は悪いけど、色が白いとか言われる女の子もいるのです。
ですから、やたらと人をうらやんだりしないこと。《正負の法則》を知っていれば、妬(ねた)んだり、うらやんだりする必要がなくなってきます。
〈人間は、必ず平等にツケを払わなければならない〉という基本がわかってくると、逆に同情こそすれ、うらやましがることはなくなってくるのです。一番肝心なことは、悪いことが起きたからといって、嘆き悲しむことはない、ということです。
悪いことは長くつづきませんから。そのかわり、良いこともまた長くはつづかない。だから、良いことがあったときには、施(ほどこ)しをするなどして、そこそこの〈負〉を先回りして自分で意識してつくるとよいでしょう。そうすれば予期しない、ものすごい〈負〉に襲われなくてすむようになります。(ああ正負の法則/PARCO出版)より
◆正負の法則でいえば、「何かを手に入れたら何かを失う」ということは、「何かを失ったら何かを手に入れる」ということでもある。
たとえば、有名人やタレントにあこがれる人は多い。しかし、有名になって華々しく表に出れば出るほど、その反作用はある。いわれない誹謗中傷(ひぼうちゅうしょう)や、嫉妬や悪口などだ。
「禍福は糾(あざな)える縄(なわ)の如し」で人間の幸福や不幸は縄の表裏のようなもの。災いがやってきたら、次には福がやってくるということ。いたずらに右往左往することはない。
だから、幸運が舞い込んできたら、有頂天にならないこと。次にやってくる不運を最小限にするために、福を誰かに分けること。謙虚でいること。
「何かを手に入れたら何かを失う」という言葉を胸に刻みたい。
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