見出し画像

たった一人の元気から

今日のおすすめの一冊は、志賀内泰弘(しがないやすひろ)氏の『元気がでてくる「いい話」』(グラフ社)です。その中から「プチ紳士(淑女)を探せ」という題でブログを書きました。

本書の中に「たった一人の元気から」という心に響く文章がありました。

ある年の四月、底抜けに明るい女子社員が入ってきた。Kさん、二十歳。総務課へ配属された。お客様なら「いらっしゃいませ!」、他の課員なら「こんにちは!」と大声で挨拶する。あまりの声の大きさに、一歩退いてしまうほど。まるで、威勢のいい魚屋さんだ。

たぶん新人なので、人事課の新人研修をバカ正直に守っているのだろう、と思っていた。その後も、その勢いは止まらなかった。Kさんは、ビルの廊下やエレベーターの中で、すれ違う人すべてに、「こんにちは!」と連呼する。

正直、少し戸惑っていた。同じ会社の中で、全く面識のない人にも「こんにちは」と言うことに、違和感を覚えていたのだ。せいぜい一礼するくらいが、自然ではないかと。ところが、夏を迎える頃、社内に異変が起きた。他の課の女性も「こんにちは」と言うようになってきたのだ。

全く、名前も顔も知らない女性から挨拶されると、ドギマギしてしまう。小さな声で、「こんにちは」と返事をする部課長の姿が、アチコチで見られるようになった。それは、人から人へと伝染していった。やがて、男性も女性も、平社員も管理職も「こんにちは」と挨拶するようになってしまった。

すると、あら不思議、いつの間にか私自身が抱いていた違和感もなくなったのだ。腐ったみかんが一つでもあると、みかん箱の中は全部腐ってしまうという。kさんの場合は、その逆だ。たった一人の元気が、全員に伝染したのである。それも、一年かかって。

ふと思った。ひょっとして、たった一人の力でも、世の中は変えられるんじゃないかと。言い訳していただけじゃないかと。会社という組織の中に、長いこと居るせいで、心がくすんでいたのかもしれない。

翌年もまた、総務課に新人が配属された。Kさんの隣に座って、「いらっしゃいませ!」「こんにちは!」と大声が響く。パワーは二倍になった。

◆脳力開発の城野宏氏の「変革の指針」の中に次のような言葉がある。「悪条件の中で建設を推進できる者が真のリーダーである」。

リーダーとは、なにも役職が上の人がなるわけではない。たとえ新入社員であっても、変革をすすめることができる人はリーダーだ。逆に言うなら、仮に社長であっても、変革することができない人はリーダーとは言えない

変革とは、時間をかけて一歩ずつ一口ずつ、自分が先頭に立って、周りを一人ずつ巻き込みながら、実践をくり返すこと。そして…いつも、変革はたった一人から始まる

今日のブログはこちらから→人の心に灯をともす


いいなと思ったら応援しよう!