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楽しさを伝えること

今日のおすすめの一冊は、小林正観さんの『こころの遊歩道』(イースト・プレス)です。その中から「千の言葉より、一つの実践」という題でブログを書きました。

本書の中に「楽しさを伝えること」という心に響く文章がありました。

あるところで話をしていたときに、32人の参加者のうち、8人が、中学か高校の先生だったことがあります。 話の本題が終わって雑談になったとき、私はその先生方に、こんなことを言いました。 

「自分が中学生や高校生だったときに思ったことですが、方程式や単語を、生徒に教えることももちろん大切だったのでしょうが、先生からは、『なぜ数学という学問はおもしろいのか』『どうして英語というものに興味を持ったのか』『なぜ美術に惚(ほ)れたのか』という話を本当は聞きたかったのです。

『この学問は、こんなにおもしろいところがある』『こんなに学問というものはおもしろい』という話をしてほしかったのです」と言いました。 

フランス語にモチーフという言葉があります。 これは日本語で「動機」と訳します。 モチベートは「動機づけする」「やる気にさせる」という意味です。 このモチベートを名詞にするとモチベーション、motivation(動機づけること、やる気にさせること)になります。 

私は、その先生方に「教育を考えるときに、このモチベーションということを、大きく取り入れていただきたい」とお願いしました。 例えば、数学の先生や英語の先生をしている人、あるいは美術の先生をしている人、というのは、その学問が嫌いであったはずはありません。 

それが好きであったからこそ、その教師になったはずなのです。 そうであるならば、「なぜその学問が好きになったのか」「どんなおもしろさや深さがあるのか」を話すことによって、生徒にモチベート(動機づけ)できるかもしれません。 

生徒に向かって、「なぜ勉強しないのだ」「なぜわからないのだ」というような、鋭い言葉を浴びせるよりも、その生徒をやる気にさせる、「なぜその学問が楽しいのか」ということを伝えていくことが、教育の大事な側面であるように思います。 

人間の教育の中で、先生が与えるモチベート(やる気にさせる、動機づけすること)というのは、私たちが考えている以上に、大きな問題なのかもしれません。 

◆この人を「やる気にさせる、動機づけする」ということは、何も学校教育だけのテーマではない。 企業においても、これは同じだ。 特に、中小企業や商店において、この「楽しさ」を伝えることは大事だ。 

自分の子息がいるにも関わらず、多くは都会に行ったり、役所や大企業に勤めてしまい、帰ってこない、継がない、というケースは多い。 もちろん、給料の問題はあるが(中小企業より大企業の方が総じて高い)、その根本には親が仕事の楽しさを伝えてこなかった、ということが多い。 

また後継者問題だけでなく、親や大人の世代が、楽しそうに、面白がって、カッコよく仕事をしたり、勉強したりする姿を見せるのは大事だ。 子どもは、そんな大人を見てあこがれる。 つまり、理屈ではなく、行動で示すということ。 人をやる気にさせるには… 「楽しさ」を伝えることはとても大事だ。

今日のブログはこちらから→人の心に灯をともす


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