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歌集「赤黄色の金木犀」全166首
★前回分と合わせて数え間違いなければ166首あります。
<キンモクセイと一週間>※フジファブリック「同じ月」
「月曜日眠い目こする空腹はキンモクセイの空気食む」
「なびく風かおり日和の火曜日はアクセル浅めブレーキ多め」
「水曜日やさしいキミに包まれて涙ぽろぽろふわふわ香る」
「木曜日キンモクセイのキミ煙るもくもく野焼き負けるな香り」
「金曜日明日は雨だよカオリちゃん最後のデートいつものベンチ」
「忙しい仕事雑用終わらせて君に会いたい金曜日」
「あの人と会えてた土曜もう来ない香水花束マイプレゼント」
「日曜日疲れた心甘やかさせてキャラメルプリンキンモクセイ」
「日曜日柔軟剤はキンモクセイ香るいのちの洗濯日和」
「アンテナの感度高めて一週間香りセンサー疲労困憊」
「空腹もいのち短いキミ探しにおい召しませ輝く7日」
「雨上がりかすむ空気に宿る色漂う粒子秋の音(ね)香る(ふわり)」(※嵐「カイト」)
「猫みたい撫でたくなるよこの香り綿あめシュガートッピング秋」(※フジファブリック)
「アイライク香しき花キンモクセイ高鳴る心ライクアフラワー」(※ラルク「flower」)
「脳内は秋の恋人一色で不埒な女ときめく心」(※サザン)
「木の多い女と呼んで構わない春夏秋冬違う恋人」
「治療終了快木祝いに金木犀我が子のように君を育てる」
「きのこどもなでるそよかぜゆらゆらとこねこのけなみのようなにおい」
「追憶の写真の中にひとひらの花過ぎ去りし秋はな赤黄色」
「また今度会いに来るから待っててねつぼみ花咲く振り撒く匂い」
「幸せな夢を忘れた明け方は切なく香る余韻漂う」
「春夏冬緑のキミを横目で見てたやっと会えたねキミ香る色」
「あぁ香る雨に打たれしその花は雪を知らない夏冬(かとう)の狭間」
「夏と冬間に生まれ色づくいのち匂いに溺れ散りゆく夕べ」
「香しい色をまとって喜んだ春夏冬を知らない君は」
「むせ返る香り振りまくフェンス(垣根)越し近づきたいよあなたのハート」
「昼下がりまどろみの底ゆめうつつ鼻をくすぐる秋の香ふわり」
「花の下モノクロの羽かぜに舞う小鳥ついばむ香りの木の実」
「深呼吸空気吸い込むそのついで香り拾って至福の時間」
「幼き日小瓶に入れた宝物なんて言ったかそう匂い玉」
「ごつごつと強い雨音止まずともその小花たちいのち香らせ」
「赤黄色星型小花抜け殻は小鳥の羽と共に踊らん」
「朝と夜キミを想って読み耽り匂い散りばめ無数の短歌」
「はなで詠むうたがあっても悪くない鼻で感じる花のささやき」
「金木犀匂い艶やか舞妓さん藤のかんざし紅かすむ暮れ」
「叶わない恋を抱えて敵わないあの子よく似たキンモクセイ」
「花落ちて足音止める香り消えひとり佇むわたしと同じ」
「常緑樹見向きもされず立ち尽くす11ヶ月ついに香る日」
「香るキミ話しかけても無言スルーナンパ失敗未練残り香運ぶ風」
「雨に濡れ滴る匂い傘の花閉じ小瓶に詰める」
「調香(光)師再現してよこの季節光は香り香りは光る」
「陽だまりと木陰の底に潜んでるキミを捕らえるカメラがほしい」
「姿無く音も無いキミ捕らえたく必死で鼻のカメラで記録」
「去年から待ち焦がれてたクリスマスと同じ匂い秋のイベント」
「濃い匂い鼻が恋する君がいる小春日和に恋文のうた」
「雨上がり坂道上り加速するキンモクセイの追い風ふわり」
「雲を切り泣き出しそうな空を割る鋭く甘いやさしい刃(やいば)」
「親不知抜いた直後の重だるい傷に染み入る匂いが麻酔」
「星時間アースクエイクあくびほどキンモク星(せい)の瞬き刹那よ」
「目を凝らし星の欠片をみつけたよオレンジ小花キンモク星(せい)」
「オレンジの星を無数に敷きつめて緑の傘は小さな宇宙」
「待ってたよキミと再会する季節ベガアルタイルあかきいろ星」
「バスが揺れ甘い風入るバスタイム入浴剤と同じロマンス」
「デート前化粧巻き髪ワンピース秘策はコロン金木犀」
「少しでもあなたの側に居たいから特等席は隣のベンチ」
「気取らない緑のキミも素敵だよ花咲かずとも香りなくとも」
「また今度そんなのきっともう来ない花は必ず来年またね」
「風に揺れはらり一枚木の葉落ち色づく君の面影匂う」
「光射し匂いの影が揺らめいて胸締め付けるあなたがそこに」
「香る花束ねて今夜会いに行くキミからもらう微笑みの束」
「まいったな誰もキミには敵わない気品漂う秋野薫子(あきのかおるこ)」
「木鼠にクルミの実よりおいしいよ教えたい木は金木犀」
「ふわふわのにおいだけじゃあ足りないよ歯応えある実かじらせて」
「ほんものは吸い寄せられるまがいもの遠ざけたいが欲満たす夜」
「まがいもの芳香剤で満たされずほんもの求め月夜繰り出す」
「くせになる匂い嗅ぎすぎ片頭痛眠気襲われ秋夢香る」
「五分おき地下鉄風に運ばれて発車オーライ香りの電車」
「揺れる木々微かな鼓動香る風もうすぐ来るよ電車の合図」
「人波を逆行香る風頼り遅れてごめんデートの時間」
「日が落ちて橙色の外灯が照らすサクラもキンモクセイ」
「何度目か電車見送り深呼吸別れを惜しむ秋風かおり」
「華やぐ傘を香らすキミへさようなら今度会う時キミはもう……」
「振り返ることが増えたよこの季節キミの匂いが過去を引き連れ」
「迷子の日ひとりみつけた秘密道かおりの精と遊ぶ夕暮れ」
「赤黄色止まりたくなるその香り黄色信号ほどの束の間」
「赤黄色探す季節は短くてぼんやりしたらおいてきぼりだ」
「花時の君との別れ惜しんでは最終バスを諦め歩く」
「つないだ手離したくない日没後なびくそよ風香り手ほどく」
「花が咲く雨に打たれて風に吹かれて存在意義をみつけたよ」
「遠方に赤黄発見まっしぐら少し大きいなんだ柿の木」
「ティータイム緑のお茶にとろけそうオレンジシュガー添えてまどろむ」
「デートの日天気いまいち無関係キミの香りで華やぐ時間」
「紅葉の木々が街並み染める頃秋を知らせる香りが終わる」
「繰り返し香りを運びなびく風キヨスクみたい空腹しのぐ」
「ラッシュアワー香り電車が往来し帰りたくない秋色ホーム」
「傘開き花散り濡れる飴細工光る匂いは雨の仕業か」
「雨細工仕掛けてみたらコハク色輝き増して匂い立つ」
「いにしえの樹液化石は宝石にキンモクセイも輝くアンバー」
「雨粒に濡れたその花飴色に滴り落ちる天然ジュエリー」
「琥珀色人魚の涙イヤリングアリエル香る風にさらわれ」
「行きつけのベンチでランチ期間限定キンモクセイの後味香る」
「失恋を癒してくれる人おらず傷心旅行広場の香り」
「エレベーター荷物とともに香りも運ぶ宅急便か」
「花落とし匂い失くしたわたしはね緑の葉っぱまた誇る日々」
「最盛期過ぎた私の言い訳はいつまで君に通用するか」
「雨のよる青赤黄色水鏡映すにおいも赤黄色かな」
「背徳の甘い香りに誘われ蝶は今宵も迷子の夜道」
「今日もまた待ち人来ない秋の暮れぼっちようこそ香る公園」
「秋虫や小鳥のように木に留まり金木犀の城に住みつく」
「キノコ傘広げたキミは自慢げに謙虚な花を香らせ眠る」
「季節には抗えないわ風に散り忘れ去られる花の宿命」
「赤黄色ドリンクさえもすぐ惹かれ香る風入りオレンジジュース」
「食べたいよ秋色染まる小鼻頬キミの匂いを噛みしめたいよ」
「赤黄色秋のブランチマーマレードとコーンかぼちゃにオレンジカレー」「公園でやきいも食べてむせ返る金木犀の香りで飲み込む」
「キンモクセイその木で楽器作ったら良い香りだけ響くかな」
「弓にヤニ飴色奏でバイオリン琥珀の香りあの木の下で」
「木でできた楽器木の下共鳴し香る音色は秋クラシック」
「カサカサとパーカッションは舞う落ち葉電車の汽笛香るフルート」
「疲れた体キンモクセイのシャワー浴び真夜中零時急ぎ足」
「この坂を越えたら君に会えるから罪滅ぼしの甘い誘惑」
「漆黒の闇の狭間を香る風影の隙間を通り抜け」
「雨チャンス湿度香りの味方だよだけど残念香り時過ぎ」
「あの人に会えない隙間埋めるのもやさしいあなた香る温もり」
「くもり空バス待つ時間よぎる風昨日のあなた微かに香る」
「同じ道今日は昨日と逆走し微かな気配を求め彷徨う」
「密やかにひそひそ話するように小さな花は秘密の会議」
「嘘みたい秋色消えた公園は花火が散った夏夜の静か」
「コケの上雨に打たれて眠る花遺骨のように埋葬し泣く」
「泣きながら亡骸拾い集めては根元を掘って土に還すよ」
「刺繍入りハンカチ包み持ち帰る花びらしおれ死臭漂う」
「道標キンモクセイ色あき加速追い越し禁止ふゆはるなつよ」
「花ざかり香りの調べ独り占め季節の雫落ちる夕べに」
「秋活と花活疲れひと休み夢の中でもキンモクセイ」
「よく見るとちょうちょみたいな赤黄色かけら拾って秋コレクション」
「雨に濡れベンチ座れず立ち尽くすその木と私同化する秋」
「月香るオレンジ色の水溜まり滴る雫オレンジ涙」
「雨なんて会えない理由入らない傘がおみやげ霧雨の午後」
「紅葉にバトンを託すその香り残り香さえも潔く消し」
「雨上がり香りも溜まる水溜まり陽だまり映す秋万華鏡」
「心ざわつく視線と仕草かおる風かき消すように通り過ぎ」
「青空とやっと会えたねキンモク精は陽射し戯れ木陰で休む」
「マシュマロなあなたの香り抱きしめて眠る間際の甘いささやき」
「一心に短い命育んで年に一度の秋の祭典」
「金木犀滴り落ちる雨シャワー木漏れ日揺れる赤黄色川」
「赤黄色香り失くしたその花は雫となりて水面に揺れる」
「重力に引かれるように花は落ち星の一部の土に帰還す」
「キンモクセイ桂の影の暗闇に鮮やかな色を残して消える」
「金魚色花の溜め池波紋揺れ跳ねる魚は秋刀魚のごとし」
「花の池泳ぐ魚は風香る秋に飛び込む光のスイマー」
「木の下にオレンジの海広がって溺れそうだよ心と体」
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