広野 真嗣

神戸新聞記者、猪瀬直樹事務所スタッフを経て、15年からフリー。17年12月『消された信仰』で小学館ノンフィクション大賞受賞。文藝春秋誌上で「二階俊博『最後のキングメーカー』の研究」など多数のリポートを発表。24年、講談社から『奔流 コロナ「専門家」はなぜ消されたのか」を上梓

広野 真嗣

神戸新聞記者、猪瀬直樹事務所スタッフを経て、15年からフリー。17年12月『消された信仰』で小学館ノンフィクション大賞受賞。文藝春秋誌上で「二階俊博『最後のキングメーカー』の研究」など多数のリポートを発表。24年、講談社から『奔流 コロナ「専門家」はなぜ消されたのか」を上梓

マガジン

  • カトリック神父「小児性的虐待」を実名告発する

    文藝春秋2019年3月号(2月10日発売)で掲載した日本版「スポットライト」レポート。11月23日にヨハネ・パウロ2世以来38年ぶりにバチカンからローマ教皇フランシスコが来日します。日本にもこんなことが起きていたことを改めて知っていただきたいです。教会の方には、ぜひ自浄作用を働かせ、信頼を取り戻してほしいです。

最近の記事

大谷恭子弁護士が亡くなった

大谷恭子弁護士が亡くなったと新聞で読んだ。 大谷先生は、2018年3月に起きた、目黒区女児虐待死事件の船戸優里被告の弁護人だった。 私は、この事件である捜査資料を入手していて、拘置所で優里被告本人に確認するにも、彼女が信頼を寄せる大谷先生がよしと認めてくれた人でないと、本人が会いたがらないという状況だった。手紙はなんどもスルーされ、3通目ぐらいでようやく電話がかかってきてお目にかかった。その時も、決して歓迎されなかった。「誰だお前は」という表情にはこれっぽっちの隙もなく、

    • あす、ノンフィクションひそひそ話 第6回です

      私の師匠が出馬したことについて、出版関係の各方面から「まだ権力がほしいのかね」と嘆息まじりの連絡をいただきます。 連絡をくださる人はみな、そもそも特殊法人研究の本や三島由紀夫の評伝など往年の作品などの良さを知っている人たちで、彼への一定の敬意があるからこそ、純なものが失われていくようなもやもやしたものをお感じなのだと、ありがたいやら、私ももやもやするやら。 もちろん「権力志向」がないと言ったらそんなはずないだろうとも思いますが、私は、75歳の作家がいまから選挙に出る主たる

      • 総選挙で問うべき「病床確保」に欠けているリアリズム

        きょう、10月19日は衆院選の告示日です。 新型コロナウイルス感染症の流行開始後、初めての全国規模の国政選挙ということもあり、「第6波」に向けた新型コロナウイルス対策は、選挙でも最重要の争点とされています。ただ、昨日の東京都の感染者数が29人と今年最少であると報じられました。流行が落ち着いているせいもあってか、与党が議席を減らすとはいえ限定的という公算が週刊誌で報じられ、政治にコロナへの危機感は薄れています。新聞でも第5波の総括特集が組まれたりしていますが、ずっと政策決定の

        • 文藝春秋9月号に「令和版『ええじゃないか』五輪対策敗れたり」という記事を書きました。

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        • カトリック神父「小児性的虐待」を実名告発する
          3本

        記事

          専門家、コロナを語る。#3は墨田区保健所長の西塚至さんへのインタビューです。

          全国でワクチン接種が加速しています。パンデミック前からの準備の不足や政権の説明のまずさなど大丈夫かよと思うことが多い中、それでも人口あたり死者数が世界の中で低い水準に保たれているのは、疫学調査や検査の体制を整え、医療へのアクセスを少しでもよくするために日々、知恵を絞ろうとする現場での工夫があってこそ。 今回、私は、2回接種済ませた人の割合が「全国水準の3倍」で進む墨田区保健所長の西塚至さんにインタビューしました。政策決定の中枢にもいろいろ問題がありますが、「事なかれ主義」は

          専門家、コロナを語る。#3は墨田区保健所長の西塚至さんへのインタビューです。

          誰が医療提供体制を立て直すのか

           政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長へのインタビュー記事がかたい内容にも関わらず多くの人に読んでいただき、いっとき、ヤフトピ「主要」にも掲出されていました。ありがとうございます 「もう国のやり方につきあいきれない」と思う人にとっては3度目の緊急事態宣言に不満がたまる一方で、感染への懸念が強い人々にとっては「行動変容の呼びかけ効果薄」という報道に接し、不安が増幅されています。 指導力に疑問符がきざしている首相より、専門家の尾身氏に「あんた政府に物言う専門家

          誰が医療提供体制を立て直すのか

          細野豪志『東電福島原発事故 自己調査報告』を読んで考えたこと

          『東電福島原発事故 自己調査報告』(元原発事故収束担当大臣・細野豪志著、開沼博編)を読みました。 初代原子力規制委員会委員長の田中俊一さんや元福島県立医科大学の内分泌代謝専門医の緑川早苗さんら専門家や行政を司った6人、それから前大熊町長の渡辺利綱さんはじめ被災地の現場で体を張ってきた6人、計12人の当事者と、細野豪志代議士との対話集です。341ページもありましたが、一気に通読できる内容にまとまっていました。 3.11から10年が近づく中、取材や旅行で足を運ぶことはあっても

          細野豪志『東電福島原発事故 自己調査報告』を読んで考えたこと

          偽神父が祭服を脱ぐとき「事件」が動き出す

          「なりすまし犯」はふつう、本物を装って金をだましとる――でも、この物語では違いました。司祭になりすました前科者の少年のほうが、聖職者が「本当は果たさなければならない役割」を担おうとしていたからです。21年1月に日本で公開されたヤン・コマサ監督の映画『聖なる犯罪者』は、そんな設定で始まります。 殺人の罪を犯した青年ダニエルは、少年院で出会った神父の影響で神学校に進む希望を抱きます。ですが、前科者にその道は閉ざされていた。仮出所であてがわれた職場の製材所のある村に向かう途中、ダ

          偽神父が祭服を脱ぐとき「事件」が動き出す

          「東京を抑えなければ感染は終わらない」 ーー尾身茂(新型コロナウイルス感染症対策分科会会長)インタビュー手記について

          1月9日発売の月刊『文藝春秋』に政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長へのインタビュー手記を掲載しています。分科会が「私たちの考え」を書いた思いとは何か、「小池・菅合意」への強い違和感、菅首相がGoToに強くこだわる姿ーー尾身さんの目に映った首相の姿をご自身の言葉で語っていただきました。 印刷物につきものの年末進行のため、3週間も前のインタビューではありますが、年末年始の急激な状況の変化をへたいま読むと、現在の爆発的な感染拡大に至る焦りのようなものがじわじわと

          「東京を抑えなければ感染は終わらない」 ーー尾身茂(新型コロナウイルス感染症対策分科会会長)インタビュー手記について

          小池都知事のトンチンカンな論理がなぜゆるされたのか

          この段階で緊急事態宣言をするよう政府にしかけた小池百合子東京都知事への違和感について、文藝春秋digitalに書いた。これまで回避してきた飲食店の営業時短要請という「嫌われる対策」にこの期に及んで手を出せば「最初からやっていればよかったのに」と批判される、ならば「政府にやらせてしまおう」ーーそういう発想で持ち出したのが「緊急事態宣言の要請」という手段だった。 ただ、こうした舐めた対応が可能だったのは、経済と感染対策の間で悩み、果断さを欠いていた菅義偉首相の脇が甘いとも思う。

          小池都知事のトンチンカンな論理がなぜゆるされたのか

          カトリック長崎大司教区が書いた「お詫びとご報告」についての疑問

          カトリック長崎大司教区が9月1日付の機関紙「カトリック教報」に、「お詫びとご報告」という文書を載せています。 文春オンライン2回に分けて私が書いたのは6月26日(#1、#2)、長崎大司教区が事実関係を認めて態度を明らかにするまで、じつに2か月を要しました。 幹部が怪しい儲け話に教会の金を注ぎ込み詐取されていた事実関係について私が指摘した事実をほぼ全て認めていますが、教会の金2億5000万円を投資詐欺にひっかかって注ぎ込んだ張本人の神父も、その後見役の高見三明大司教も、責任

          カトリック長崎大司教区が書いた「お詫びとご報告」についての疑問

          小黒一正さんと牧原出さん

          法政大学教授(財政学)の小黒一正先生は元財務省に在籍され、財政規律を重んじる論客です。でも、その小黒先生がコロナ危機に際して、赤字国債を発行した財政出動の必要性を語っておられました。 さらに今売りの週刊ダイヤモンドに寄せたコラムで、興味深い論文に触れておられます。私が下手な要約をするよりも、ぜひ雑誌、買って読んでもらって皆さんのご意見も伺いたいところです。 大事なことなので、肝のところだけは、ノートに書き残しておきたい。 人類は歴史のどの局面から教訓を得るべきか。191

          小黒一正さんと牧原出さん

          追悼ルポ「志村けん〈最後のコメディアン〉」に関する余談

          10日発売の『文藝春秋5月号』に追悼のルポ「志村けん〈最後のコメディアン〉」を書きました。 訃報に接したのは3月30日の朝、慌てて家を飛び出して麻布十番と東村山という志村さんが愛した2つの町を歩きまわり、家族や元スタッフや幼なじみが聞かせてくれた証言から浮かび上がる志村さんの人となりは、「8時だョ!全員集合」で見ていた表情とは、別のものでした--詳しくは本誌を手にとっていただけたら、幸いです。 写真に載せた黄色い花は、志村さんの生花近くの緑道の路傍に咲いていたレンギョウで

          追悼ルポ「志村けん〈最後のコメディアン〉」に関する余談

          2020年の仕事の記録(12月29日更新)

          「無症状の感染者が40代、50代で広がっている」分科会医師が訴える“第3波の本当の危険性”(文春オンライン12月18日公開) 分科会医師が見た「第三波」と「夜の街」 コロナとの“上手な向き合い方”(文藝春秋21年1月号、文藝春秋digital12月17日公開) 「女性登用の文脈だけで語られがち」DeNA南場智子が語る“本当のダイバーシティ経営”(文春オンライン11月18日公開) DeNA会長・南場智子が考える「日本のDX」 初等教育の「OS交換」から始めよう(文藝春秋1

          2020年の仕事の記録(12月29日更新)

          2018年の仕事の記録(19年10月27日更新)

          旬選ジャーナル/霞ヶ関官僚の「精神風土」は変わらない(月刊「文藝春秋」10月号)

          2018年の仕事の記録(19年10月27日更新)

          2019年の仕事の記録(2020年2月1日更新)

          最近の仕事の記録をつけていきます。興味を持っていただいたら光栄です。 令和の開拓者たち⑦鈴木直道(月刊「文藝春秋」20年1月号、文藝春秋digital 12月29日公開) 下村博文息子の結婚式に『大学入試利権』の“お友達”が大集合(週刊ポスト12月13日号) 英語民間試験123億円利権に群がった役人・教育者・企業たち(2019年11月22日号) 38年ぶりにローマ教皇が来日……歓迎に躍起の日本カトリック教会は「小児性的虐待」問題を忘れていないか?--独自入手した内部資

          2019年の仕事の記録(2020年2月1日更新)