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言の葉。

山崎大昇です。この記事をご覧いただきありがとうございます。

北海道札幌という地方都市に住みながら、俳優として映画やドラマ、CMに出演する事を20年以上続けさせていただいております。

映像演技の指導をさせていただくようになって、15年以上が経ちます。

いつも、レッスンで台本を演じる時には、セリフを覚える時間をほぼ用意しません。本読みを1回か2回した後は、すぐに本を離して、立ち稽古をします。

書いてある台本を上手に読める能力と、演技力は別物だからです。

もちろん、台本を上手に読める能力も演技力です。

声優さんや、ナレーターさんには欠かせない能力です。

プロの現場では初見(台本を初めて目にした瞬間)から、すぐに正解の演技が出来る事が求められます。

ただ、これから演技を勉強したい人にとっては、本を上手に読む技術より先に、相手にセリフを伝える技術と、相手から気持ちを受け取る技術を身につけて欲しいのです。

「台詞を上手に言えれば演技が上手い」という事はないということを始めに理解しておいてもらいたいのです。

例えば、

A「聞いて欲しいことがある」

B「何?」

A「……」

B「何?」

A「……」

B「…どうした?」

という台本があった時に、Aがセリフ少なくて、Bの方がセリフが多いと思ってしまい、Bの方が良い役だと思ってしまう事がよく起こります。セリフの数で役の大きさを測ってしまう事があります。

しかし、例えば上のシーンが、彼に妊娠したことを告げるシーンだったとして、1回目の「……」は大切な事だから、なかなか言い出せない「……」で、Bが威圧的に「何?」と言ってしまい、それによってAが萎縮してしまい2回目の「……」になったとします。Bは更に呆れて嫌そうに「…どうした?」と口にする。嫌な男ですねぇ。

このAを演じるのは簡単ではないですよね。最初に持っている大切な事実。でも目の前の人はこんな人。だから言い出せない。言い出せずに居ると心配するではなく、苛立ってくる、だんだんと幻滅してくる。最後には、彼には言わず1人で産む決心をする、みたいにすると、もっと簡単ではなくなりますね。徐々にAが強い女性に変化していく!という演技が必要になります。

セリフが無い状態の方が、演技は多くの情報を必要とします。むしろセリフがあると楽なんです。感情を表現しやすいですからね。

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