『月が綺麗』2019.10.16
何年前だったかね、と祖父が言った。真琴は、祖父のほかほかの肉まんのような顔を見ていた。
おばあちゃんに出会ったときのこと。小学校の宿題で作文を書くために、真琴は祖父の顔をのぞき込む。
「おばあちゃん、きれいだった?」
「そりゃあもう。初めて会ったときは、カミナリが落ちるようだった」
真琴は、ふーん、と言い、日に焼けた足をこたつにいれる。まだ黒いままだ。
「なんでおばあちゃんがよかったの」
「なんでだろうなぁ。はずかしいなぁ」
「宿題なんだから、まじめにこたえて。どこで出会った