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令和7年度の保育業界における時流予測と経営方針

皆様、いつもご愛読ありがとうございます。
株式会社カタグルマ代表の大嶽と申します。

理事長、社長、園長先生の皆様においては、職員様の退職、休職、人事異動希望などの意向調査を踏まえ、本格的に来年度の組織編成、人員配置などを考え始めるタイミングかと思います。


そのようなタイミングに、今年度の振り返りながら来年度の方針を一緒に考えて行きたいと思います。

まず、こども家庭庁から一昨年の12月に「こども大綱」が発表されました。

そして、昨年4月には、

「こどもまんなか実行計画2024」

が発表されたことで、「こども未来戦略」や「こども大綱」の内容が具体化され、今後保育事業者としてどんな歩みをすべきかの道標がより鮮明になったと思います。


この実行計画で保育施設においては、

「幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なビジョン」

が大変重要な位置づけとなり、この中には以下の5つのビジョンが示されております。

・こどもの権利と尊厳を守る
・「安心と挑戦の循環」を通してこどものウェルビーイングを高める
・「こどもの誕生前」から切れ目なく育ちを支える
・保護者・養育者のウェルビーイングと成長の支援・応援をする
・こどもの育ちを支える環境や社会の厚みを増す

要するに、

「保育施設という存在は、こどもを真ん中に、誕生の準備期から学童期まで切れ目なく接続され、愛着と豊かな「遊びと体験」を大切にしながら保護者や養育者(保育者)はもちろんのこと、地域全体でウェルビーイングと成長を支援、応援していく環境の中枢の存在になってください」

という意思がこのビジョンに込められています。

それ以外にも、「こどもまんなか実行計画2024」では、

・地域子育て支援拠点事業の推進
・こども誰でも通園制度の創設
・病児保育の充実
・幼保小の接続の推進
・医療的ケア児の体制整備
・インクルーシブ保育の推進
・保育士等の処遇改善や負担軽減
・職員配置基準の改善
・学童期のこどもの居場所づくり
・放課後児童クラブの充実

などが盛り込まれております。


来年度も引き続き、これらの施策を中心に全国の保育施設で様々な取り組みが推進されることでしょう。

そして、令和6年度は事故や事件が多い年度でもありました。

一年前に発生した能登半島地震での甚大なる被害、さらには台風被害の爪痕は依然として残り、他の地域でも今後起こりうる南海トラフ地震、首都直下型地震など、迫り来る大地震への不安は益々募るばかりです。

改めまして、能登半島地震により被災された皆様、ならびにそのご家族の皆様に心よりお見舞い申し上げます。 皆様の安全と被災地の一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。 皆様の生活が一日も早く平穏に復することをお祈り申し上げます。


また、こども家庭庁が昨年8月に発表した令和5年度の「教育・保育施設等における事故報告集計」では重大事故件数は過去最多となり、特に例年以上に放課後児童クラブ、学童保育での事故が大幅に増えたことも今後の大きな課題となることでしょう。

そして、昨年10月に札幌市の認可保育所で1歳児の男児が食べ物をのどに詰まらせて亡くなった痛ましい事故は改めて給食の在り方を強く考えさせられました。

さらに、保育士の有効求人倍率はコロナ後年々高まっており、全国的に人材不足の懸念を感じる中で、保育者による不適切な保育は依然減らず、さらには大量退職や一斉退職などの職員トラブルもメディア等で目にすることが増えたように感じます。

一方で、すでに確定した人事院勧告分10.7%の処遇改善に加え、来年度は、処遇改善等加算の一本化や経営情報の継続的見える化によるモデル賃金、人件費、賞与支給方法などの人事情報の公開義務化など、人にかかる質の向上や保育士確保に関する対策も大きく変わる予定です。

最後に、少子化に関してです。

出生数が70万人を割る可能性が高い中で、特に経営者の皆様は先行きに対する不安が益々大きくなったのではないでしょうか?

令和6年度は4年連続で全国における保育の新規申込者は減少し、保留児童は増加したものの、待機児童は昨年度よりも減少しました。

また、保育利用率は上昇したものの、定員充足率も昨年からさらに減少し88.8%と3年連続で9割を下回っています。

つまり、保育ニーズが減り、需給バランスも供給過多に向かったということです。

長くなりましたが、簡単に令和6年度を振り返ってみました。

このような状況下で、昨年の同じ時期のオンラインセミナーにご参加いただいた皆さまはご記憶があるかもしれませんが、私から提言させていただいた令和6年度の経営方針が、

1. 経営の肉体改造
〜贅肉体質からの脱却!経営を筋肉体質へ〜

2.リ・モデル
〜多機能化ではない地域子育て支援のフラッグシップ〜

3.地域になくてはならない園
〜選ばれる園ではないMust haveな園づくりの5つの具体的実践〜

の3点でした。

この内容はこの先数年は重要になるので、令和7年度についてもこの3つは引き続き重要なテーマになることは間違いありませんが、さらに保育ニーズ(市場規模)が縮小する中で、

法人として5年後、10年後に向けて、

①拡大
②現状維持
③縮小


の3つのどの成長シナリオを選択するか?

新規投資や経営資源の配分を踏まえると、この問いに対する判断を突きつけられる最後のタイミングがいよいよ令和7年度だと思っています。

特にこのコラムをお読みになられている社会福祉法人や学校法人の理事長、園長先生としては、この10年以内に世襲や事業承継を考えているケースが少なくないでしょう。

その際、業界のまさに変わり目であるこのタイミングにこの3つの選択肢のどの道を進むかを決めることの重要性はある程度理解いただけるかと思います。

ちなみに、どんな産業、業界もそうですが、市場やニーズが縮小傾向に入ると事業者の動きとして必ず起こることがあります。それが、

1.多機能化・多角化
2.二極化・一極集中化
3.地域内再編・統廃合


の3つです。

一般論としてこの3つの解説を簡単にしたいと思います。


1.多機能化・多角化

既存事業のニーズが減り、経営状態が悪化することで、新たな事業やサービスを行うことで既存事業をカバー・補填しようとする動きが活発化します。

保育施設もそうですが、特に建物が必要となる施設型事業においては定員充足率や稼働率の低下、空きスペース、余剰スペースが出来ることで、その有効活用により充足率、稼働率を高める意識が働き、隣接事業や今後成長すると思われる事業を機能付加します。


2.二極化・一極集中化

一般的に市場が縮小すると、利用者や人材・求職者は小規模事業者よりも大規模事業者への移動が加速化します。

その理由は経営資源が豊富にあるか否かです。
経営が厳しくなるこのタイミングこそ、サービス品質の向上や人材育成、設備投資などの将来投資や先行投資が出来る大規模法人は相対的に強く、利用者や人材・求職者が集まる、集まらないという濃淡が明確に表れ、二極化もしくは一極集中化します。


3.地域内再編・統廃合

市場やニーズが縮小すると、経営不振や後継者問題によって事業の縮小や廃止を検討、実施する事業者が現れ始めます。

それにより残った事業者に人が集まるようになり、結果的に地域によっては再編によって淘汰され、限られた事業者だけが残るようになります。

その際に、一部では事業統合、吸収合併などが起こるため、大規模がより大きく、小規模がより小さくなるという現象が起こるのです。


この3つの動向と先程提示した5年後、10年後のための成長、現状維持、縮小の3つの判断が明確に関係しているため、同時に考えていく必要があります。

また、上記の3つの動向はあくまで一般論ですが、これを保育、教育、療育業界に置き換えた際に、今現在何が起こっているかを冷静に把握し、その状況を踏まえ、法人が存在する地域の実情や運営の実情と照らし合わせ、どんな方針を掲げ、取り組んでいくべきかを固めるのが、まさに今なのではないかと考えています。


そこで今回は、このように令和7年度に向けて時流予測、経営方針を一緒に考えるオンラインセミナーをご用意しました。

尚、こちらは1月に開催したセミナーの録画配信となります。

既に420名を超えるお客様にお申込みいただき、
「本日の講演をもう一度聞きたい」「再配信して欲しい」などのお声多数で、今回で三度目の配信になります。


〇前回参加された方のお声(抜粋)
「法人経営の拡大・現状維持・縮小について管理職同士で議論しました。現状の課題を共有できた有意義なセミナーでした。ありがとうございました。」

「時流予測と経営方針について、よく理解できました。経営の転換をどの状況、タイミングで行うのがベストなのか知ることができたのは、自社の発展を考えるにあたってとても重要なことです。 安定した運営と自社の発展に貢献していく為の知識を、これからも学んでいこうと思います。」

「少子化突入の時代においてそれを実感しつつ、地域に必要とされる園としてしっかり考えていくために、今回の内容は大変参考になりました
ありがとうございました」

【 セミナーの概要 】
●日時:2月25日(火)13時~14時(録画配信)
●参加費:無料
●ツール:ZOOMウェビナーによるオンラインセミナー
●内容:
・令和6年度業界ニュースとキーワードを振り返る
・経営実態から捉える経営状況の事実
・令和7年度の経営方針とその具体的実践方法
●申込〆切:前日 18時

以下でお悩みの経営層・園長先生にオススメです 】
令和7年度の時流と経営方針を知っておきたい経営者・園長先生
来年度に向けた法人の経営計画作成を控えている経営者・園長先生
最新情報をいち早く収集して経営に取り組みたい経営者・園長先生

【 講師 】
株式会社カタグルマ 代表取締役社長/CEO
大嶽 広展

【お申し込みURL】
https://us06web.zoom.us/webinar/register/WN_Mwph7zJ8Ra-gfgDOnNP0yQ#/registration

また、来月は本講演テーマで全国私立保育園連盟の青年会議特別セミナーでも講演をさせていただきます。

ではまた。

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