保育業界の2021年の振り返りと2022年に向けて
みなさん、こんにちは。
カタグルマの大嶽です。
さて、2021年が終わろうとしています。
皆さんにとって、今年はどんな年だったでしょうか?
私自身は仕事上では、起業した初年度でしたから、とても刺激的な1年でした。
詳しくはこちらをお読みください。
プライベートでは息子の通うサッカークラブのコーチになり、毎週子どもたちとボールを蹴っていました。
また、家族みんなが好きなキャンプに過去最高回数行くことができたり、経営者仲間や両親とゴルフに何度か行ったりと、プライベートも充実した一年でした。
しかし、もう15年にもなる長年の趣味であるサウナには最近行けておらず、、
サウナブームにより、最近はサウナが混んでることが理由で行くのが億劫になっているのだと思いますが、、😓
1年前にどう予想していたか?
さて、では本題に入ります。
2021年の保育業界を振り返りたいと思います。
まずは、こちらが昨年書いた2021年の経営のポイントについてです。
ここでは、端的に言えば、出生数が減り、保育ニーズが減少するので、2021年から「下山経営」の準備に取り掛かりましょう、
具体的には、
1.世界観・MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の確立
2.持続的成長のための経営基盤の確立
3.選ばれる園になるための魅力づくり
が重要です、という話をさせていただきました。
経済動向も大方間違っていなかったのと、出生数の大幅減少に伴う保育経営のあり方、業界の不安な空気感も大方記載通りになったと思っています。
では、来年度の経済動向を見ていきます。
2022年の経済動向
様々な経済エコノミストやアナリストの意見を集約すると、2022年の実質、名目ともにGDPの成長率は3%前後。
コロナ前の水準まで戻るのが2022年の前半、増税前の水準まで戻るのが10-12月期というのが大方の予想です。
欧米では年末にかけて、インフレ率が前年比6%程度まで引き上がり、アメリカではFRBが金融緩和をストップしましたが、日本はまだ前年比インフレ率0%成長という状況。
つまり、現時点では景気がまだ戻ってないということです。
コロナ対策で補正予算は世界トップクラスで取ったものの、予算執行されない分が大きく、景気回復に時間がかかったこと、現時点で潜在GDPと実質GDPに45兆円ものギャップがあるにも関わらず、岸田政権の財政出動(真水)における経済対策としてはダイナミズムがないことなどから、2022年度前半は回復スピードが遅くなるということだと思います。
失業率も2%後半を推移、ピークは過ぎましたが、コロナ前までは戻っていません。
しかし、これら予想はあくまで予想でしかありません、、
オミクロン株、それ以降の変異株の感染状況、さらには自然災害がいつ起こるか分からない状況です。
これらを踏まえて、保育市場、子育て市場、少子化動向を考えてみます。
保育業界に関する指標
コロナの状況が今の水準で、かつ大きな自然災害や米中の大きな外交問題などが無ければ、景気は徐々に回復傾向になり、有効求人倍率も上がり、失業率も下がってくるはずです。
ちなみに女性の就業率は国民一人当たりの平均年収と相関があるため、仮に後半に向けて景気が回復しても大きく年収が上がるわけではないので、就業率は上がり続けます。
一方で、一度コロナが再度深刻化すれば、出生数の低下を招きます。
ちなみに、妊娠届出数も2021年前半は2020年よりも少なく、もろにコロナの感染状況や緊急事態宣言下であるかどうかという指標と連動しています。
まとめると、
▪️コロナ順調に収束※矢印は2021対比
女性就業率:↗︎
妊娠届出数:↗︎
出生数:→
保育ニーズ:↗︎
▪️コロナ感染再拡大※矢印は2021対比
女性就業率:→※求人倍率低下
妊娠届出数:→
出生数:↘︎
保育ニーズ:↘︎
となるでしょうから、どちらに転ぶのか、どちら側に軸足を置くべきなのかを注視しておく必要があります。
2022年の保育経営のキーワード
ただし、いずれの状況にしても、出生数がガクンと落ちた昨年、今年からV字で回復することはなく、楽観的に見て現状維持、悲観的に見れば確実に80万人を切る所まで落ち込みますので、保育経営としては、引き続き、
「下山経営の実践と準備」
が2022年も経営の重点テーマになるということです。
ただし、2022年度はその経営スタイルや手法のアップデートが少し必要になりそうです。
まず国の政策としての一丁目一番地は、こども家庭庁の議論をベースとした、
「保育の多機能化」
です。
背景は言うまでもなく、ひとり親世帯や生活保護世帯、虐待防止のための保護者支援、子育て支援の強化や特別支援の増加等に伴うインクルーシブな多機能化です。
児童ソーシャルワーカーや子育てケアマネジャー的な役割がこれから大きくなります。
民間市場や大手企業の動向などをマクロに見ると、全体的には、
・縮小・適正化
・事業の多角化
・業界再編
あたりを見ておく必要があります。学校法人改革や社会福祉連携法人にも注視しておきましょう。
そして、より地域、園経営に目を向けると、
・定員変更・戦略的縮小
・空きスペース活用
・多機能化・子育て支援環境づくり
この辺を意識して見ておくと良いと思います。
そして、さらに現場目線に立つと、
・自園らしさの磨き込み
・理念体系・世界観の浸透
・成長の可視化
・職員育成の個別最適化×デジタル化
・保護者との信頼関係づくり
・幼児教育スタートプラン踏まえた保幼小連携
この辺りを軸に、「選ばれる園ではなく、地域に無くてはならない園」を如何に作るかという議論になります。
それぞれのテーマは早ければ来年から実践の必要がありますし、遅くとも2023年頃を目処にほとんどのテーマが重要になることでしょう。
しかし、それよりも大切なこと。
子どもは確実に減る、地域の子育て環境も変化し続けている、保育供給も確実に余る、つまり、経営環境が変わる、だからこそ、園に関わる人たちのために、地域に無くてはならない存在になるために変えなくてはならない、その変化に気づけるか、変われるか、そしてどう変わるか。
このマインドこそ、目下の最重要テーマになります。
それでは本年も当noteをご愛読いただきまして、ありがとうございました🙇♂️
来年もどうぞよろしくお願いいたします。