「子ども庁構想」に想うこと②
みなさん、こんにちは。
カタグルマの大嶽です👍
前々回のコラムで「子ども庁」が実現した際の4つの価値というお話をしました。
ここでは一旦財源の問題は棚上げしておきます。
それが以下の4つです。
・認定こども園の更なる推進
・保育士等の処遇改善の更なる促進
・3つの所管の業務効率化
・基準の統一化と規制緩和による業界の活性化
一つ一つ見ていきましょう。
・認定こども園の更なる推進
子ども子育て支援制度における一つの目的に「幼保一体化」がありました。
その前提に認定こども園という類型が生まれたわけですが、結局のところ、厚労省、文科省、内閣府に所管がまたがることで、十分に移行が進んでいるとは言い難い状況があります。
例えば、幼稚園が認定こども園にする場合、幼稚園型と幼保連携型の2つの選択肢があります。
政令指定都市や中核市ではない場合、認可と確認という手続きにおいて、県と市町村のどちらにも伺いを立てたり、県と市町村での連携が滞ったりします。
また、都市部の幼稚園や保育園では施設基準の問題や保育ニーズの問題で移行はかなり限定的です。
これが例えば全て県もしくは市町村に一本化され、こども園移行のルールも明確になり、認可申請、確認申請、整備補助金の申請などが子ども庁で対応するのであれば、当然ながら移行がよりスムーズになり、その結果保育の受け皿も整備され、待機児童の解消にも貢献する事でしょう。
・保育士等の処遇改善の更なる促進
今回の子ども庁構想においても保育士等の処遇改善は引き続き大きなミッションになるはずです。
このメリットの前提としては、財源の確保があっての事なのですが、組織の一本化による効率化や適正化も含めて、一定の財源が確保されれば処遇改善に充てられますので、今まで以上にその規模は拡大していくはずです。
ただ、財源のことですから、非常に難しい論点です。。
・3つの所管の業務効率化
これは確実に成果として出るメリットでしょう。
制度変更と一体的に考えるべきですが、例えば地域包括ケアシステムという医療介護の制度システムがあります。
これは、1人の患者に対して情報を一元化させ、より効果的、効率的なケアを実現させるものです。
今回の子ども庁では、医療、保健、療育、警察、司法、福祉、教育などの領域において一本化される予定なので、デジタル庁との連携も求められますが、子ども一人一人の各種履歴、データの一元化とそのデータ活用により、業務の効率化はもちろんのこと、質の高いケアが実現出来るのではと思ってます。
特に、障がい、虐待、貧困、いじめなどのセンシティブな情報はこれまで一元化されてこなかったので、それら情報を統合し、各関係機関で共有を図り、さらにはAIを活用したデータ解析で事前対応、事前予防する仕組みなども予算次第ではありますが、実現されると良いと思います。
また、シンプルに官僚の人件費をカット出来ますから、浮いた人材は、本人たちの希望も踏まえて人手不足の厚労省やこれから活躍してほしいデジタル庁など、他の省庁へ異動することも可能になります。
・基準の統一化と規制緩和による業界の活性化
さて、この4つ目が個人的に特に気になるところです。
組織の一本化と合わせて、これまでバラバラだった基準の統一化が図りやすくなります。
例えば、直接契約と利用調整。
福祉の観点から利用調整はせざるを得ないとは思いますが、それでも私から言わせれば、各家庭の点数がマイナンバーなどでデータ化され、事業者がそれをクラウドでデータ閲覧し、その基準に沿って優先的な契約を進めれば、わざわざ行政がやる必要がありません。
そんなことしたら園の手間が増えるよ!と思うかもしれませんが、このやり取りは全てデジタル化されているので問題もないし、セキュリティにおいても、これまでの業界のセキュリティの甘さを考えれば、これを機に新たなセキュリティ環境に統一させる、むしろ絶好の機会です。
そして、契約手続きは従来通り、利用契約を行えば良いのですが、それすらも紙でわちゃわちゃ行うのではなく、そのシステムに連携して済ませるようにプログラミングさせておけば良いのです。
そもそも幼稚園や企業主導型保育などは利用調整なしの直接契約でやってるわけで、そろそろこの文化を終焉させるべきだと思います。
保育課職員の人件費も減らせますからね。
それ以外にも、混合保育や実費徴収など、幼稚園では出来て、保育園では出来ない(実費徴収は自治体による)仕組みがいくつかあります。
これらは、一部丁寧にやらなければなりませんが、その上で考えれば確実に事業者を支え、サービスレベルを引き上げ、保護者や子どもたちへの貢献に繋がります。
教育・保育要領や保育所保育指針ももはや根本的には同じ内容になってきているわけで、資格も保育教諭で一本化されてきたわけですから、出来ない話ではありません。
以上、今のところ想定される子ども庁のメリットですが、まだまだ構想も粗々の段階でしょうから、私自身の考察も十分変わる可能性もありますので、今後も引き続き注視して、こちらでも発信していきたいと思います。
ではまた👍