『シン・エヴァンゲリオン劇場版』

映画を見終わって、エンドロールが流れても席を立てなかった。
エンドロールが流れている間に席を立った人が殆どいなかった。
名探偵コナンと違って、エンドロールの先には何もないはずなのに。

存在しない者の為に涙することができる僕たち。
その僕たちが存在する者を妬み、恨み、傷つける。

僕、個人としては長く続いてきたエヴァンゲリオンの完結作として、ありがとう!
と言える内容だった。
滅多にないことだが、もう一回映画館に行きたいくらいの内容だった。

映画を見終わって一週間後、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』(公開中)の制作関係者に対する誹謗中傷・脅迫行為が行われていることを知って驚愕した。
エヴァンゲリオンの熱狂的なファンが自分が思い描かない結末に対して納得できず、製作者に対して誹謗中傷・脅迫行為が行われたようだ。

急速なインターネット環境の発達とSNSの到来は一部の人たちを言葉という刃を振り回す凶暴な人種に変えてしまったのかと思う。

かつて、伝説巨人イデオンの劇場版が公開された時、富野由悠季監督に対して批判が寄せられた。
死んでしまって天国に行けるような内容はよろしくない!というのが主だった物だった。
しかし、当時はSNSなどなく、現代におけるような炎上騒ぎにまでは発展しなかった。

存在しない者たちの為に涙を流せる、そんな映画を作ってくれたクリエイターたちに感謝の言葉を送りたい。
イデオンもエヴァンゲリオンも人が生きる!ということの本質を考えさえてくれた。
存在しない者たちの為に涙を流せる僕たちが、存在する者を傷つける、そんな世の中になってほしくないと切に願う。


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久保田弘信
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