小説『時をかける彼女』⑭
第14話「このダウン、記念にもらってもいい?」
着いた先は夜だった。相変わらず寒い。しかも雪まで降っている。思わず身震いした。
「おい、なんだこの寒さは? 思いっきりずれただろ?」
「ずれてないもんね。最近あたし、タイムワープの能力が格段に上がったんだ」
「じゃあなんで雪が降っているんだよ」
「冬なんだから雪だって降るでしょ」
「1979年の8月に戻って来たんじゃないのかよ」
「ぶっぶ〜、ハズレ」
ケンジをからかうように笑う。
「いまは1998年の12月24日なのです!」