香水購入の恐怖心から救うNOSE SHOP
こんにちは。香りのコミュニケーターHIROです。
デザイナーブランド、コスメブランド、ニッチブラン。どの香水の購入先でも思い浮かぶのは、恐らく新宿伊勢丹や銀座三越だろう。また、近年では平衡品をオンラインでも購入できる。
日本には長らくニューヨークのTwisted LilyやロサンゼルスのLuckyscent/Scent Barのように、ニッチブランドに特化したブティックが存在しなかった。そんな折、ちょうど私が活動拠点を日本に移した2017年8月に新宿にオープンしたのが、「NOSE SHOP」。店頭にある大きな鼻のオブジェクトが目印だ。
日本のフレグランスマーケットはここ何十年も横ばいのなか、欧州からのニッチブランドの参入や日本人クリエーターによるブランドローンチも目立ち始め、同じ消費者を追いかけているのが現状である。
激しい競争のもと、なぜこのようなニッチブランドに焦点を当てたコンセプトのブティックをオープンすることになったのか開店以来、強い関心があった。今回、ニューヨークでの日本の香りトレンドのプレゼン準備に当たり、日本のフレグランス事情として創設者のNOSE SHOP中森氏にお話を伺うことができた。
新宿のNEWoMaNに100平米ほどのポップアップストアーを展開した際、小さな手ごたえを得た。その後、同施設内の2階に30平米に常設店舗を構えるまでには時間はかからなかった。
アンチデパートではないが、デパートで香りを探すときの課題について、香水を選ぶ、買うという行為は消費者にとって怖いのではないかという仮説から始まった。
語り継がれる薀蓄の鎖から解き放され、自分の嗅覚こそを唯一のよりどころし、じっくりとお気に入りの一品を選ぶ。。。ただひたすらに自分の鼻の感じるままに身を任せる
とっつきにくく敷居の高い雰囲気からは距離を置き、カジュアルでポップ。
路面店を構えるのではなく、インドアで比較的気軽に入れる雰囲気にある複合ショッピング施設内に店舗を構えている。ただ、香りを嗅ぐだけでよってもよいし、通り過ぎるだけでもよい。自分のペースで、香りを楽しめる雰囲気作りに尽力している。
商品ラインアップはアート性が高く、エッジーで、グレードの高い香水を少量生産でこだわりをもって作る香水専門メゾン。感度の高い活者から熱烈な支持を得る新しい時代にふさわしいニッチブランドたちに出会える。
新宿店のオープンから一周年の2018年8月16日に銀座にオープンした2店舗目は自宅が近いこともあり、私も頻繁によらせてもらっており、よくスタッフと香り談議にふけるのだが、嫌な顔を一つもせず、私のフレグランス熱に付き合ってくれる。他のカスタマーとのやり取りを見ていても、消費者に寄り添ってくれるフレンドリーなスタッフの姿が見られる。前述のアメリカのニッチフレグランスブティックで、スタッフと話しているようなフラッシュバックを覚える。これは、NOSE SHOPのトレーニングの賜ではなく、そのようなスタッフが集まってくるのだとか。引き寄せの法則では。
準備期間は構想を含めて5-6年。当時、輸入総代理店(BIOTOPE INC.)としてフレグランスに関わるきっかけがあり、百貨店・セレクトショップなどの高感度リテールは軒並み「香水」の取り扱いに後ろ向きであるということを知ったという。
「そもそも日本人は香水が好きではない」「接客が難しい」。需要なし、供給サイドのスキルもなし。それらを育てる気もなし。
一方、日々「香水」を扱い、そのブランドを様々にテストしていくことで、次第に「香水」の魅力に取り憑かれ、4年前に6つほどのブランドでプロダクトデモを試みた。
リテールのバイヤーさんが買わないなら、自分達で売ろう。こうして生まれたのが、BIOTOPE INC.が手がけるNOSE SHOP。
NOSE SHOPのもう一つの目的は、横ばいのフレグランスマーケットの拡大への貢献である。これには新規獲得が大前提。新規獲得といっても、NOSE SHOPでの新規ではなく、香水初心者のこと、つまりフレグランスマーケットにおける新規である。初めてのフレグランスがニッチブランドである新規が増加した。香りで自己表現をする楽しみを知ってもらえたら、他のニッチブランドのラインナップも、彼ら、彼女らのフレグランスワードローブも増えることだろう。
消費者のフレグランスワードローブが増えると同時に、ブランドや香りの選択肢も増やしていかなければならない。NOSE SHOPはディストリビューターというよりはキューレーター。消費者が香りで自己表現できるブランドや香りの種類を増やし、今後はコミュニティーができるような仕組みを作っていきたいとBIOTOPE INC.の中森氏は熱く語ってくれた。
NOSE SHOPは7月まで六本木にポップアップショップ。3月には3店舗目を池袋にオープン。戦略的ロケーションだと個人的には思う。マーケットシェアは横ばいのなか、京都ではLe Sillageというブティックも産声を上げた。
世の中のトレンドはパーソナライズ。いかに消費者に寄り添うか。従来のリテールでは扱わないブランドの選択肢が増えるのは、いち消費者として嬉しい。
平安の時代のように、香りで自己表現する文化がもどってくるのだろうか、とワクワクする今日この頃。
今日も香り満ち溢れる素敵な一日を!
画像:NOSE SHOP
お読みいただきありがとうございます!香り(嗅覚)の世界は徐々に注目を集め始めていますが、まだ多くの方々には未知の領域です。試行錯誤中ですが、スキをクリックしてくださったり、シェア・コメントなどいただけたらとても嬉しいです。