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前世退行したら、江戸時代の武士だった話7(33歳編)
血塗れの刀と、目の前には絶命している一人の男。
うつ伏せに倒れた体の下から真っ赤な血が流れている。
死んだ男のそばには時代劇でよく見る十手が落ちている。
十手は今のような金属製ではなく、硬いプラスチックのような感じ。色は色あせた薄い黄色?持ち手の尻部分に房がついていて、房が広がるようにして地面に落ちている。
時刻は夜。
左に堀が流れていて柳が揺れている。
月明かりが明るく感じるので、月齢は満月に近い感じ。
切先が血に濡れてぬらぬらと光っている。
刀を握っているのは自分。
目を見開いて、人を殺してしまったことに呆然としている。頭の片隅で悪いのは自分だと理解している。
今は33歳。
死んでいる男はたぶん同心。役人から指示を受けて自分を追っていた。追いかけられていて、やらなければやられていた。
だから、やった。
追いかけられていたのはお金を盗んだから。
黒塗の千両箱が3つほど積み重なっていて、その一番上にあった箱から小判を3〜4枚盗んだ。
盗んだのは、病気の子どもを医者に見せたかったから。お金がなかったから盗んでしまった。
追いかけられて当然。
なのに殺してしまった。
セ)今、どんな気持ちですか?
ハ)……絶望
(伝わってくるイメージ)
お金を盗んだ罪に問われて、妻と娘は首を吊られて死んだ。
自殺ではなく、おそらく役人が殺した。
薄暗い室内に、2人並んで首を吊って死んでいる。手前には13歳くらいの娘、奥には妻。
着物の裾から裸足の足がぶらんと力なく垂れている。風のせいなのか、かすかに前後に揺れている。
ハ)自分のせいで2人は死んだ……死にたい。……でも死ねない。
両膝を地面についてうつむくハカマダさん。次から次に涙があふれ、頬を伝って流れ落ちる。
セ)なぜ死ねないのですか?
ハ)……天からいただいた命だから。粗末にできない。
四書五経なのか、また別の本なのか、何か書物を読んで学んできたイメージ。
そのことが心に引っかかって上記の言葉が出てきた。死ぬのを踏みとどまっている。
悲しくて悲しくて苦しい……
▶︎次の話へ(死んだ奥さんが伝えたかったことは…?)