前世退行したら、江戸時代の武士だった話6(22歳編)
次は……何やら死体が積み重なっているイメージ。これは何だろう?
広場のようなところ。
地面のいたるところにたくさんの人がうつ伏せになって死んでいる。
一人で死んでいる人もいれば、死体が積み重さねられて山のようになっているところもある。
その死体の山の前に、横長の右閉じの帳面と筆を持って立っているハカマさんがいる。
疫病。
たぶん、疫病で村が全滅した。
その調査のために来ている。
ハカマさんは22歳。
袴と黒い羽織、左腰に刀をさして武士のように見える。
私からはハカマさんの背中しか見えない。
刀をさしているので、黒い羽織の左腰あたりが刀で浮いているように見える。
それまで町人のような格好をしていたのに、いつの間に身分が代わり、武士になったのだろうか?疑問が浮かぶがよく分からない。
今の職業は役人のような感じ。文官。記録係。
ハカマさんの後ろには馬に乗った役人がいる。上司っぽい。あたりにはハカマさんと上司の2人だけしかいない。
馬は茶色の毛。毛並みがつやつやしてる。たてがみは体毛より濃い焦茶色。
手綱を両手で掴んでいる男性は、時代劇に出てくるような黒塗りの陣笠(じんがさ)をかぶっている。
「鬼平犯科帳 陣笠」で検索するとイメージに近い画像が出てくる。縁が反っていて、陣笠についている白い紐を唇下と顎で縛っている。陣笠の正面に金色の丸い家紋?が描かれているが、どんな家紋かは見えなかった。
ハカマさんは左膝を地面について屈んでいる。その後ろ姿をじっと見ている。
左膝をついているのは、右太ももに帳面を乗せて文字を書いているのかもしれない。
上官の中に私の魂が入るイメージで、意識を集中させる。
セラピストさん)あなたはハカマさんとどういう関係ですか?
上官)上司だ。
セ)あなたから見たハカマさんはどんな人ですか?
上官)真面目。…この世界で生きていけないのではないかと思う。
セ)生きていけないと言うのは、どういうことですか?
上官)優しすぎるから。この汚い世界……(役人の)人間関係のドロドロに耐えられないのではないかと思う。ただ、私自身はハカマダを好ましく思っている。
セ)ハカマダ?ハカマではなくハカマダさんとおっしゃるんですか?
上官)……(うなずく)
上官は、ハカマダさんに好感を持っていて、信頼している。同時に優しすぎるハカマダさんを心配していることが伝わってきた。
ここで意識をハカマダさんに戻す。
セ)ハカマダさんはいつからこの仕事をしているのですか?
ハ)19。
セ)ハカマダさんは結婚しているんですか?
ハ)結婚している。妻と子供がいる。
セ)それは、前に会っていた奉公先の娘さんですね?
ハ)いや、違う。
セ)??あの人ではないのですか?
ハ)違う。あの人は妹(のように思っていた)。
セ)奥さんとはどうやって出会ったのですか?
ハ)おせっかいなおじさん(他人)が妻と引き合わせてくれた。結婚してから妻がどんどん好きになった。
おそらく、おじさんとはそんなに深い知り合いではない。ハカマダさんが独り身だったのでむりやり結婚相手を見つけてきてくれた笑明るくて豪快で超おせっかいなおじさんのイメージ。
セ)奥さんはどんな人ですか?
ハ)明るい。いつもニコニコしている。笑顔がキラキラしている。
セ)お子さんは男の子ですか?女の子ですか?
ハ)女の子。
ふと、みよ(美代?)という名前が浮かぶ。奥さんの名前かな。
ハカマダさんより2歳くらい下、19歳とかそんな感じ。ちょっとおてんばっぽいのが抜けていない感じ。小さな赤ん坊を背負って笑顔であやしている。
その様子をほほえましく見ているハカマダさんのイメージ。
奥さんの意識の中に入る
セ)あなたにとってハカマダさんはどんな存在ですか?
みよ)(満面の笑みで)宝物!!
セ)宝物ですか?
みよ)そう。他人の哀しみを知っている人。すごく優しい。この人に出会えて良かったと思う。毎日が幸せ。
幸せそうにニコニコ笑っている。穏やかな雰囲気に癒やされる。
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