中国語の短編を読む会(2024年8月9日)
毎週金曜日の夜に行っている、中国語の短編を読む会(中国語中上級者向け)のレポートです。
中国語の短編小説を、中国語を学んでいる日本語話者と日本語を学んでいる中国語話者が共に読み、和訳する過程を通じて、言葉を介した理解と交流の魅力をお伝えします。
今回は、フミさんが選んだ短編小説。”文身店的轶闻”の11回目です。
今回の参加者はいつもの常連メンバーのKatsさん、フミさん、Yangさん、Yokoの4名。日本語母語話者2名(Katsさん、Yoko)、中国語母語話者2名(フミさん、Yangさん)。
********************************
NO CPR”就是拒绝做心肺复苏。医生看到这五个字母,都会尊重病人诉求,停止一切支持生命延续的措施,让他在昏迷中平静离去。
「NO CPR」とは、心肺蘇生をすることを拒むということだ。
医師がこの5文字を見れば、患者の訴えを尊重して、 延命を支援する手立てをすべて停止させ(し?)、昏睡状態で安らかに死なせるはずだ。
機械が停止する ⇒ 人が機械を停止させる
【kats👆】
李一言本来也想写遗嘱的,就怕昏迷中来不及出示,被“好心”的四婶送进医院,插上管子,有遗嘱也派不上用场。这才想起了文身!
李一言はもともと遺書を書きたかったが、昏睡状態だと出すことはできないし、義理の妹によかれと思って病院に入院させられて、チューブを挿されてしまっては遺書があっても出番がない。だからタトゥーを入れることを思いついたんだ。
派不上用场;派~用场 で使い道がある。用途に当てることができる。出番がある。派不上用场で、役に立つ使い道があるのに出せない状態、出番がないとの意味になる。
【mika👆】
医生抢救病人时,必须解开病人衣裳。把遗嘱刺在肚皮上,最能体现病人真实的意愿,也是 医生尊重病人执行其诉求的依据。不会过度抢救,赚取病人临终前的昧心钱。自己也能死得有尊严,不受痛苦了。
医者は、患者を救急治療するとき、必ず患者の上半身をあらわにする。遺言がお腹に入れ墨されていたら、患者の意思がもっとも伝わるほか、医者が患者を尊重し、その意思に基づき治療する根拠にもなる。行き過ぎた延命治療をせず、患者の最期に乗じて不義の財を得ることもしない。自分も苦痛がなくて、尊厳をもって死ぬことができる。
遺言を腹に入れ墨すること以上に患者の真の意思を表すものはないし、
それを根拠に医師は患者を尊重して本人の要望どおりにすることができる。
大枠:把遗嘱刺在肚皮上 是 依据
修飾部:医生尊重病人执行其诉求的
医生(主)尊重(动1)病人(目)执行(动2)~诉求(目)、
其は患者を指す
昧心钱=悪銭をもうける 昧はもともと「ごまかす」の意
昧心 mèi xīn 良心に背く
你别昧心=良心に背くようなことをするな.
做昧心事=良心に背くことをする.
发昧心财=不義の財で金持ちになる
【fumi👆】
丁伟明白了这五个外文字母的意思后,一拍桌子说:“用不着这么复杂,只要刺’我没钱三个字,保证医生不插一根管子让你滚蛋!”
丁偉は、この5つの外国語のアルファベットの意味を理解した後、
テーブルを叩いて言いました。
「そんなに複雑にすることはないですよ。「一文無」という3文字だけ入れればいい。医者は間違いなくチューブを一本も入れずにあなたを追い出してくれますよ」
拍案而起 : 机を叩いて立ち上がる(驚き・怒りなど)
滚蛋 :gǔn//dàn 消え失せる
你再不滚蛋,我真要叫警察了。
=これでも消えうせないなら、本当に警察を呼ぶよ.
一群恶棍夹起尾巴滚了蛋。
=ごろつきどもは、しっぽを巻いてすたこら逃げうせた.
给我滚蛋!=とっとと消えうせろ!
你还不滚蛋!=とっとと出て行ったらどうだ!
蛋は中国人が悪口をいうときに付けるマイナスな意味の言葉
一拍桌子说;何か思いついたときに言う。
拍案而起;案は机の意味。机をたたいて立ち上がる。驚き、怒りを表すときに使える。
让你滚蛋;大げさな冷たい表現。冷たく突き放す。
【yoko👆】
李一言听了那三个字,心情沉重起来,沉思良久,才轻轻地说:“你是文身店的老板,为什么不重复使用耗材,针嘴一色一人一用,就是为了保证客户生命安全。
李一言はその3文字を聞くと、心が重くなり、深い思考に落ちてから、静かに言った。あなたが入れ墨屋のオーナーなら分かるだろう。どうして消耗品を重複して使わず、一つの色の入れ墨の針先を一人だけに使う?お客さんの命を守るためだろ。
针嘴;針先
为什么~就是为了; 自問自答、なぜ使わない。~のため
心情沉重;気持ちが重くなる
沉思良久;しばらく考えこむ
中国の医療問題。病院に行って治療するとすごくお金がかかる。ここではお金のない人の治療ができないことを嘆いている。お医者さんはお金儲けのために治療すると一般人に思われている。
【Yang👆】
**********************************