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『闇の左手』

以前、かなり難儀していると書いていた小説を読了いたしました!
ファンタジーの名手 アーシェラ・K・ル・グィン作。小尾芙佐訳。
ル・グィンは『ゲド戦記』の著者の方です。


ひろく生きるための想像力

以前書いた通り、個人的にはかなり読むのに難儀しました。何故かというと、作中世界の文化的背景や人物人種など、〝世界観〟の構築がとても緻密で繊細。堅牢な城壁を一歩ずつ登っているような感覚でした。
作品世界で衝撃的なのは、惑星《冬》の人間は両性具有であり、「ケメル」という繁殖期があること。
そしてそのケメルでは、2人がどちらかの性を選ぶということ。
主人公は違う星からやってくる大使なので、彼と共に異文化を体感していくことになります。その大使は地球出身なので、僕たちと同じ人種です。
まだ異星間の交流をしたことのない惑星《冬》で、地球人がとても珍しく扱われる様子は、とても新鮮でした。

行きつけの神楽坂・かもめブックスにて
【ひろく生きるための想像力】という特集に並んでいた本書。
緻密に構成された世界。それも想像でしか存在し得ないような世界に、想像力を拡げて浸っていく。
とても楽しく豊かで充実した読書時間でした。


ひろむ

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