確かにどちらも「とーたん」だった〜くちびるの会『老獣のおたけび』
僕の父はよく昔の話、それも僕が小さい頃の、記憶にないような時期の話をよくしてくれた。
例えばまだかろうじて喋るようになったような1歳ごろ。『西遊記』の読み聞かせをしていると、父は、僕が言葉を真似ていることに気がついた。僕は本当に落ち着きがなく、常に何か喋っていないと気が済まないようなわんぱく坊主だったらしい。「石の卵」がどうしても言えず、「石のたもま」と言って譲らなかったこと。僕が長男なのも相まって、それがたまらなく可愛かった話などを、はずがしがることもなく、マジな顔で語って