SIGMA 105mm F2.8 DG DN MACRO Art 購入
以前の記事で望遠レンズについて考えると書いた中で、「SIGMA 105mm F2.8 DG DN MACRO Art」について少し触れたが、撮影を頼まれた案件の中で、接写を使ってみたい例があったことから、実際に購入してみることになった。
望遠レンズとしての用途よりも、精細な描写と接写が可能な単焦点としての意味合いが強い。
すでに使用しているSIGMAの24-70mm F2.8も比較的寄れるレンズではあるものの、よりワーキングディスタンスの自由度を上がることも利点だ。
ちなみにレンズは一般的に望遠よりになると、最短撮影距離は伸びることが多いが、このレンズはマクロレンズであるため、そのセオリーには当てはまらない。
F2.8というと単焦点レンズの中では決して明るいものではない。
しかし、SIGMAさん公式の作例を見てもわかる通り、マクロ(接写)だけでなく、その解像力や描写の表現力が突出しているレンズと言える。
マクロレンズというと、花の写真のような小さなものを大きく(等倍)撮影する。という意味で購入される方が多いようだ。
通常の単焦点レンズとしての使用感
しかし、このレンズは普通の望遠レンズとしての写真もしっかり撮影できる。
一般的にマクロレンズは解像力重視で作られることが多いため、通常のスナップなどで使用すると、ボケがやや硬めの印象がある。
しかし、このレンズは「日常さえも想像以上」のキャッチフレーズは伊達ではない。
被写界深度内であれば、非常にシャープになることは当然ながら、ボケの自然さも兼ね備えている。
150-600mm F5-6.3 DG DN OS | Sportsと比較すると、より柔らかく日常でも使いやすい印象を受ける。
標準域ではF2.8はボケが少なめと感じる方もいるようだが、マイクロフォーサーズのF1.8の単焦点よりもボケ量は多い。
レンズの作りや質感
レンズの質感も優れており、絞りダイヤルやフォーカスリング、リミッタースイッチも節度があり、それぞれにロック機能も備えている。
重さは715gとやや重いが、800gを超える24-70mmに比べると軽く、S1のボディであれば、一眼レフ時代のF4標準レンズのような感覚で、取り回しが苦痛になることはない。
欠点と言えば、マクロレンズであることもあって、AFがやや遅いこと。
また、SIGMAのレンズにはよくあることだが、付属のフードのゴム部分が少し粘着性があるため、タオルや服に触れた際、繊維のカスや埃が付着しやすいことだろうか。
AFの速度については動く被写体を自動で素早く追うような仕事には使えないが、時間をかけて1枚ずつ撮ることも好きな方なら、使えないAFではない。
取材や簡単なポートレートなら十分にこなせるレンズだ。
私の場合、あらかじめリミッターを設定しておき、レンズ側はフォーカススイッチはMF。本体はAF側に設定。
親指AFで強制的にAFを起動させて大まかにピントを合わせ、S1の高精細なEVFを以てMFリングで追い込むような使い方が気に入っている。