クリエーターについて考える
フランスでのクリエーターとは
フランスで「職業は何ですか?」と聞かれた時、私は「ファッション小物のクリエーターです」と答えています。
フランス語で書くと、Créatrice d’accessoires de mode。(男性の場合はCréateurになります)
実際にクリエーターで登録していますが、正確には販売もしているので、クリエーター兼セラーになります。
フランスではジュエリー、洋服、バッグ、家具、食器などをデザインして作っている人達もクリエーターと呼ばれています。そして個人でやっているクリエーターの多くがセラーでもあります。
自分のリアル店舗やネットショップを持ち販売している人、委託販売している人、イーマーケットプレイスで販売している人、様々です。
私は現在、イーマーケットプレイスのみです。この夏、もし状況が良くなれば、期間限定ショップをさせてもらう予定ですが、その時になってみないと分かりません。
コロナの影響で、今までリアル店舗で販売していた人の多くは、ネット販売に移行しています。
先日、シルバージュエリーを作るフランス人クリエーターの方とお話ししました。彼女はアトリエを併設したリアル店舗を持っていますが、ネットで販売した経験は一度もありません。これからネットショップを始めるかどうか迷っていました。
自分の作ったジュエリーをお客さんと話しながら売りたい思いが強く、ネットでは自分の作品の良さが伝わらないと考えているようです。ベテランのクリエーターなので、ネット販売に懐疑的なのは分かります。
でもステイホームが続き、観光客も減り、売上は減少しているので、ネットに移行せざるを得ない状況ではあります。
作品の良さは写真のクオリティやビデオを使えば、ある程度は伝えることはできること。最初は面倒だけど、慣れれば時間も短縮できること。もしそれに割く時間がなければ、誰かに頼むことも出来ること。世界に向けて売ることができること。などアドバイスしました。
話を戻しますが、クリエーター以外にアルティザン(artisan)と呼ばれる方もいます。いわゆる技術者職人で、技術的には熟練しているが、創造性、芸術性はいま一つという印象です。ですが手作業のアルチザンの熟練した技術は伝統工芸を今に伝える大事な役割を担っています。
私はアルティザンの方々をとても尊敬しています。その道のプロになるまでの苦労や葛藤を乗り越えて、技術を磨いてるから。
そしてアルティザンに近いけど、より創造的、芸術的なものを創り出す人はアルチスト(artiste)、芸術家です。ちょっと掴みづらい感じはしますが。。。
クリエーターの定義
クリエーターという言葉を少し掘り下げてみます。
フランス語辞典でクリエーターの定義を調べてみました。
La personne qui donne naissance à quelque chose. 何かを生み出す人 この「生み出す」という表現が好きです。
日本の辞典では、創作家、制作者、創造的な仕事をしている人、創造者
フランス語の方がシンプルで、かなり広い範囲で使える感じじゃないでしょうか。
日本でクリエーターと呼ばれているのは、映像クリエーター、サウンドクリエーター、グラフィックデザイナー、ゲームクリエーターなどがありますよね。
もっと広げれば、小説家、芸術家、デザイナーなど、アーティストと重なる部分もありそうです。
クリエーターは何か凄い物を「つくる」人のイメージがありますが、クリエーターに共通しているのは「新しい何かを生み出す人」なのかもしれません。
そういう意味で言うと、小さい事や物でも「何かを生み出す人」であればクリエーターと言えると思います。
作る、造る、創るの違いについて
さらに「つくる」の漢字にも注目してみました。
パソコンのキーボードで「つくる」を打つと、作る、造る、創るの文字が出てきます。
-作るは「料理を作る」「作品を作る」「椅子を作る」など、小さい物を作る時に用います。
-造るは「船を造る」「酒を造る」「庭を造る」など、大きいものを対象としています。
-創るは「新しい学校を創る」「新しい会社を創る」など、何か新しいものを「つくる」時に用います。
であれば、手作りの商品や作品を「つくる」人は「作る人」や「創る人」になります。手作りで 自分の発想や技術などで新しいものを創りだす人になるわけなので、クリエーターと呼べるんじゃないでしょうか。
長々とクリエーターについて書いてきましたが、私は便宜上クリエーターと名乗ってるものの、個人的には肩書きはあまり気にしていません。
なんなら「hiromi」の名前だけでもいいかなと思っているくらいです。私は誰かのことを知る時に、何をしている人?よりもどんな生き方をしている人?の方に興味があるからです。しかし肩書きはその人を知る入り口にはなるので、その意味では必要ではあります。
皆がクリエーター
noteを始めるにあたって使い方の説明を読んでいる時に、記事を書く人のことをクリエーターと表現されていて、凄くいいなぁと思いました。
noteでは皆さんが創作を楽しむクリエーターだと思います。素晴らしい!