【パリ移住1年目の振り返り】パート3:映画『ソウルフル・ワールド』を語る
パート1と2に続けていいのか…【番外編】です(笑)
子供の頃からずっとディズニー・ピクサーファンなので、今回も『ソウルフル・ワールド』がヒットしすぎて!
好きな理由を綴ります(雑w)
※完全ネタバレしてます&要約ではないので見てないと話は伝わりませんw
1.ハッとする「人生のきらめき」の意味
映画冒頭、「The Great Beyond(前世)」で生まれる前のソウルたちが「人生のきらめき」を見つけて地上に出発していくシーンで、主人公ジョーにつられて、「きらめき」=「パッション・人生の目的」だと解釈した自分。
映画終盤になって、カウンセラーがサラっと言い立ち去る「きらめきはパッションでも人生の目的でもないわよ、またまた人間ってば…」で「え?」となり、そこから終わりにかけて「日々の小さな幸せ」であることに気づいた、この体験。
番外編のショートムービー「22番 vs 人間の世界」でも、終盤で、一人のカウンセラーがもう一人のカウンセラーに「そう言えば、結局人間の『人生の目的』って何だったっけ?」と問い、聞かれたカウンセラーは知っていて当たり前のように「知らないの?それは…」と答えかけて映画が終わる。
自分の「天職」が分からない!と嘆く22番や、「人生の目的」への答えを焦らされて「えええ教えてくれないのー」となる自分を見て、どれだけそういう「こうあるべき像」に強く支配(?)されていたか気づかせてくれるのが、この映画の好きだったところ。
ちょうど最近、子供も生まれて幸せな家庭を築いて万事良好そうな知り合いが、ふとしたディナーの間に、「親に『お金と安定性が大事』と言われて育ってきたけど、自分の『最も適した道』が他にあった気がする」と熱論し出したことを思い出しました。
「天職」とか「追うべき『道』」とか、少なからず誰もが考えたことはあること。そんな観客の「心中のつぶやき」を上手く罠にはめるような映画の構成が面白いなーと。
2.「熱中している人」も「迷子の人」も、実は似ている?!
早速映画2回目を見て(笑)、かなり映画序盤にムーンウィンドがサラッと重要なこと言っていたことに気づきました。
「何かに熱中している人(「ゾーンに入っている人」)も、人生迷子になっている人(「ロスト・ソウル」)も、実は似てるもんだよ」
ムーンウィンドのいる「ゾーン」の世界は、上を見ればパッションに一図で熱中している人がいて、下を見れば仕事の多忙さなどで困ぱいしている人がいる、一見ちぐはぐな世界。
でも実は両者が似てるってどういうこと?
一度目はムーンウィンドの言葉が聞こえてもいなかったけど、二度目はジョーがドロシア・ウィリアムズのバンドに入ろうと全てを二の次にして奔走する姿を見ながら、その言葉の意味が分かってきた。
床屋の友人デズがふと漏らす「(自分のライフストーリーなんか)一度も聞かれなかったじゃないか」のシーンもしかり、「諦めず夢を追うことが善」みたいな「パッション神話」は、一歩間違うと「人生迷子」にもなりうる。
特にそれが有名になることや高収入をゴールとした奔走だった場合。
ジョーがこのパターンだったから、ドロシアの公演で大成功を収めたにもかかわらず、自分のアパートも帰り道の混雑したメトロも、環境が何も変わらないことに「困惑」する、人生迷子モーメント。
以前、Viola Davisのスピーチを聞いた時に、「アカデミー賞を取っても、正直、『これで終わり?』と感じた。その後、『誰かのために』演じ始めた時、目的を持って演じ始めた時に、初めて人生がもっと楽しくなった」みたいなことを言っていたことに似てるなーと。
ちょっと脱線するようだけど、個人的には、今年一緒に演劇した人・短編映画を作った人で、世間的に言わせれば「まだブレークしてない」部類に入っちゃうかもしれないけど、ものすごい才能と経験があって驚愕する人とたくさん出会ったことが刺激だった。
役者や監督と言った職業が特にかもしれないけど、名声や地位なんて、運とタイミング任せで、全然スキルと比例してない(ことが多い)。それに気づけたおかげで、目の前の仕事に集中して、結果はついてくる時につくし、「演じられる一瞬一瞬を楽しもう」と考えるようになった。
つまり、人生迷子にならないパッションへの熱中の仕方。(かな?)
3.ジョーに共感する人・22番に共感する人
私は冒頭から紛れもなく「ジョーに共感する人」だった。やっと学校でのフルタイムポジション(=安定)がもらえて、むしろ気持ちが沈むジョー、なんとなく気持ちが分かっちゃう(笑)
でも、2回目見た時に、正反対の立場にいる22番も面白い「悩みの象徴」だなと思った。
初めは「人間の世界なんて行きたくないし」の一点張りなのに、ソウルの世界に連れ戻されそうになってから「私の『人生の目的』は何?目的がない、生きる意味がない…」と誰よりも頭を抱えて悩む。
何百年もソウルの世界でメンターたちから知識をもらい、床屋デズのところでは、その場にいた人全員を魅了するような話ができる。「人生のきらめき」を見つけた証に「通行証」も取得できている。
それなのにしきりに悩んで「ロスト・ソウル」となってしまう22番は、「人生には何か『使命』がある、『追うべき道がある』」と「パッション神話」を美徳化する社会、それに悩まされる人を象徴してるような気がした。
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ここまで語って誰得でもないけど(笑)
今までラプンチェルとかモアナとか、存分にディズニーの「夢を追えー!」メッセージ性に突き動かされてきたのに(20代前半)、夢を追うってきれいごとだけじゃない、「大人の真実」(?)を急に見せつけてきた映画だったからはまってしまいました (笑)
そう、20代後半にもなると「夢も大事だけど、家族とかパートナーとか他のプライオリティもある」と感じ始めちゃうし、色々悩ましいんだあ。以上です (笑)