見出し画像

【パリ移住1年目の振り返り】パート2:「演劇一本」に舵切って良かったこと

1年目に何を学んだか•達成したかも大事だけど、自分がもう一つ考えてきたこと。

それは、結局「フルタイム仕事を続けていた自分」vs.「演劇一本に舵切った自分」で、後者で良かったなと思える経験ができているか、が重要だと考えてきました。

結論、どちらも違ってどちらも良い(笑)のですが、このタイミングで演劇一色の経験ができたことは本当に良かったなと思います。

その理由。

1.新しいスキルを身につけるには時間が必要。

何事においても、プロになるには1万時間が必要と言われています。

365日×8時間計算で3.5年、平日だけの260日×8時間で5年。現実には休みもあるからもっとかかる。まあこの数字はよく聞く話ですが、実際にその道を歩み始めると、道の長さをひしひしと感じます。

1年間、授業もオーディションも公演も全力でやってきたけど、それでもまだ長い道のりの「1%」でしかないと感じる日々。

ロミジュリ公演なんて、1年目で想像してもいなかったBig Opportunityだったけど、それで急に演劇で食べていけるようになるわけでもないし、むしろ自分が「できること」より「できないこと」に気づく。

家族や友達にいち早く「これ達成したよ!」って報告したいけど、今は「鍛錬期」。Quick Winに走らず、本当に必要なトレーニングを地道に粘り強く続ける。正直、自分のプライドとの闘いです(笑)

でも、オーディションの機会って本当に予兆もなく突然訪れるもの。今年は、役さえもらえていないものの、5年前のブラウン大学留学時の教授からの突然の紹介で、アカデミー賞短編アニメーション部門で受賞した監督の次作アニメーションの主役のオーディションを受けたことも

こうやって「いつ来るか分からない機会」のために、99%の時間は地道に自分磨きをしておく。そんな業界(笑)

少し話のポイントがずれましたが、新たな分野でプロになるにはそれだけ時間がかかる中で、貯金も許すしパートナーも許すんだったら、最大限その時間が取れる「演劇一本」の時間を過ごせてよかったと思っています。

しかも、演劇はスポーツと同じでメンタルとフィジカルを常にベスト状態で維持していなければいけないので、「気づいたら半年間演技してなかった」じゃなく、継続性が重要。

いや、プロはそれでもやってのけるけど。訓練中(私)は、自転車に乗ることを覚えるように、筋肉が「こうやって体や声を使うんだ」と学んでいく過程。だから継続して日々進歩できる環境がとても重要でした。

2.理想の環境を手にして気づく、また新たな理想の環境

フルタイムで働いていた時は、「演劇一本に舵を切れたらどこまで行けるんだろう」と心の奥底でモヤモヤしていた時期もありました。

フルタイム仕事もやめるキャリア上のリスクや、収入が一時的に不安定になる心配は大きかったのですが、コロナもキャリアの節目もパートナーとの関係も色々あり、最後は「直感」を信じて渡仏&演劇に舵切ることに。

いざ演劇一本という「理想の環境」を実現させると、自分が強く求めていた環境であった分、不安は意外と気になりません(笑)

(どちらかと言うと、「フルタイムで働いていない=怠けているのではないか」という社会的偏見を気にしてしまう自分との闘いが一番辛いw
一応生活費をカバーできるくらいの最低限のフリーランス業はしているものの、有名企業で働く友達はもちろん、カフェの店員さんを見ても「この人たちは頑張って働いているのに、自分はこれでいいのだろうか」と自責の念に駆られます)

また前段階が長くなりましたが、「理想の環境」にいざ身を置くと、以前のモヤモヤは完全に晴らされて、「次の理想の環境」が見えてきます。

例えば、27歳にもなって演劇学校に通うと、先生もほぼ同年代だったり、クラスメートは私の妹の年代だったりして、役者としてスタートを切る一種の不利さを感じます。(現実的に年齢はそこまで不利にならないのですが、気持ち的に。伝わりますかねw)

でも、それが「自分のこれまで得てきた経験とスキル」を振り返るきっかけとなりました。大学卒業したての自分だったら、何が何でも「演技」一本で戦う道を猪突猛進的に進んでいた気がします。でも今は、大学で政治学を専攻したのも、新卒でデジタルマーケティング分野に入ったのも、全部自分。日本での演劇経験、フランスでの演劇経験、一点に絞って見るとどれも劣るけど、日米中仏に住んで各箇所で演劇してきたのも、全部自分。

演劇は紛れもなく自分のパッションなので、今後も続けることは確かですが、住んできた場所も経験してきた仕事分野も、全ての混沌としたミックスルーツを活かせる環境を探し、その中で演劇を続けていきたいというのが今の考えです。

また、大学生の時は「演劇できればそれでいい」でしたが、今回、それが最大限追求できる環境を得ると、パートナーとか、将来欲しい子供とか、もちろん家族・友達との時間などなど、他に優先したいものも増えていることに気づいたり。

どちらにしろ貯金崩しで学生する「人生の夏休み」は2年間くらいと考えていたので、1年後にはフルタイムかパートタイムか起業か(⁈)、ちゃんとした収入源を確保しながら、演劇を続けていきたいと考えています。

今年からその下準備をする中で、1年目で学んだこと感じたことは大きかった。

今、大学生の妹が学部なり進路なり選び悩んでいる中で、27にもなる自分もいつまで自分探しを続けているんだろうと思う今日この頃ですが(笑)、10年後振り返って「あの時経験できてよかった」と思える経験ができるように。

ともかく、パリ2年目が始まり、既に1年目より遥かにパリ生活と演劇周りのあれこれに慣れてきて、今年はもっと楽しめそうだなと感じます^^;;

11月まで、既に4つほど劇団や短編映画等々の大小のプロジェクトが決まり、忙しくなりそうです😬

今年も自由気ままな私をプレゼンツしていくのでどうぞよろしくお願いします (笑)

いいなと思ったら応援しよう!