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年末のある決断。

パリの演劇学校、やめました。

(※と言っても前向きな話です)

これまで1年ちょっと通っていたパリの演劇学校Cours Florentを、11月いっぱいでやめることにしました。

なぜか。
1.学校の色々に満足できなかったから。
2.学校外で、幸いにも劇団・演劇ワークショップ等の機会が十分にあり、「現場での経験」に集中したかったから。

もちろん、まだまだ先生やコーチによる指導も、授業という環境下でのトレーニングも必要だと思っています。
単に、より納得できる「教わる」環境を見つけたい、と思っての決断です。

1.学校の色々に満足できなかった

この点については、今後Cours Florentを検討する人のためにも、しっかり別の記事でまとめます。

あえてここで言いたいのは、演劇学校に通う目的は、①素晴らしい先生に出会うこと、そして②学校の持っているコネで、事務所やオーディションなど「次のステップ」につながる機会があることだと思っています。

Cours Florentは、端的にどっちもなかったw

特に①素晴らしい先生との出会いについては、私の信頼するある演劇教授/メンターも、演劇学校を選ぶ方法として、知名度でも学位でもない、素晴らしい先生がいるかどうかが最優先であると言っていました。

さらに私の好きなStella Adlerの格言:

役者は「安定」していないといけない。そして、「安定」した役者になるためのテクニックを与えてくれる先生を探すために、必要であれば1万マイルでも旅するのだ。(自己和訳)

The Art of Acting, Stella Adler

まあ、パリから1万マイル旅はしませんがw、パリもしくはフランス全体を見ると、世界的にも有名な演劇コーチやワークショップがたくさんあるので、そっちにお金と時間を使いたいと思っています。

2.学校外での劇団・ワークショップ活動

1年目は、学校に不満足だったとはいえ、パリに来たばかりですぐに学校を変えるのはリスクが大きすぎました。
というか、事務手続き全般が落ち着くまでに1年かかったので、その間に新しい事務手続きは始められませんw。
もーぉ、フランスよーーー泣。

でも、1年目から、学校外での実践の場を探しに奔走した結果、2年目が始まってから、本当に「降ってくる」ように色々なプロジェクトとのご縁がありました。

  • 去年のロミジュリ公演の関係者が立ち上げた新しい制作会社の短編映画に出演。

  • 同じくロミジュリ公演の関係者が立ち上げた演劇ワークショップ(最終的に公開公演あり)に参加。

  • 去年観に行った日仏女性劇団の公演に出演。

  • 演劇学校のクラスメートが、政府支援金をもらって制作するドイツ劇作家ブレヒト演劇に出演。
    …などなど。
    まだ、詳細が固まり切ってないプロジェクトが他にもいくつかあります。

なあなあな授業で一日3時間過ごすより、やはり実践の場で学ぶことの方が遥かに大きい。
これらのプロジェクトのおかげで、今の学校を一度やめる決意ができました。

今後は、プロジェクトに集中しながら、他の演劇コーチやワークショップを探し、実践だけでないトレーニングも続けていこうと思っています。


学んだこと

実は、学校をやめること自体は、「言って終わり」なので難しいプロセスではありませんでしたw
ただ、自分へのけじめをつけるためにも、本当に学校をやめていいのか、やめてそれ以上にできることがあるのか、などたくさん悩みました。

そして、最終的にやめる決断をして、いくつか思ったことがあります。

自分の人生の舵は自分で切る。

パリに着いて、学校に通い始めて、やめるまでの1年ちょっとは、「目標を曲げずに、臨機応変に対応する」という面でとても良い経験になりました。

学校が始まった当初、実はかなり早い段階から、そこでの学びは理想からかなりかけ離れて遅い、足りない、と感じ、初めは正直パニックに陥りました。
会社をやめて、演劇に全てを捧げに来たのに、この環境は違う。
でも、すぐに演劇学校を変えられるわけでもないし、この環境から出られない。
英語でまさに、”I’M STUCK HERE” 状態です。

でも、そこでむしろ「何が何でもパリに来たことを最高の決断と言えるようにせねば」という決意(?)が芽生えました。
そして、学校外で積極的にオーディションやプロジェクト情報を探すようになり、幸いにも、ロミジュリ公演での主役、そして短編映画制作に一から携わり、最終的にはそこでも主役を演じる、という最高の学びの場を得ることができました。

人生、誰でも思ったように行かない時はあるもの。
今回の経験で、たとえ自分のコントロール外にある環境や人が目標の妨げになっていたとしても、自分の行動次第で第二の道、第三の道を経由して目標を達成することはできると学びました。

パリで役者をする魅力に気づけた。

この1年ちょっとで、私はパリが大好きになりました。
そして、短期的な研修だけでなく、フランス語をもっと強化した後に、長期的にパリ(もしくはフランスのどこか)で役者を続けていくこともありありだなと感じるようになりました。

これも、1年目から色々と外部のオーディション情報をかき集め、学校外の色々な人と関わったからこそ見えてきたことなのですが、パリには役者をする機会が〔万〕とあります。
(もちろん、フランス語ができなくて英語だけとなると少し絞られるのですが)

①無給の学生映画や学生劇、②アマチュア団体によるプロジェクト、③有給のプロによる自主制作プロジェクト、④中~大規模の長編映画・演劇まで、常にたくさんのことが起こっています。(コロナ禍なのに…!)

特に、①~③が多いのが、最近住んできた日本やシンガポールと違うところだなあと思っています。最初は無給で良ければ(というか良いでしょw)、関われる機会がたくさんあり、そこで実績を作りながら、より大規模のプロジェクトを目指していく、という流れが作りやすいのです。

しかも、日本人で英語・フランス語で演技をできる人口は圧倒的に少ないのに、日本(またはアジア)に興味を持っているフランス人が多いので、なんか映画に日本人役があったり、フランスの原作をアジアの設定に置き換えてやってみたりみたいなプロジェクトがあって、需要過多です。
これは本当にラッキーなこと。

だからこそ、今はフランス語頑張らないといけないし、そんなお金になってないし、大変なことも多いけど、長期的な目線で見ると可能性しかない街

そんな可能性に早くから気づけたのも、この一連の決断の中での重要な学びです。


ということで、新年もすぐそこの今、学校をやめるという決断をしました。
もっと自由が増える、可能性が増える2022年をどう過ごしていくか、しっかり考えるクリスマスにしたいです☆彡

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