見出し画像

【私の年のせいなのか ここが日本じゃないからか202】1月(17)フランス語講座③

 フランス語のアドバンスクラスでは、毎回新しい文章を読んだ。
 11月に一度、スクリプトなしでビデオを見て、内容を聞き取るということをやったのだが、そりゃもう何一つ分からなくて、大混乱に陥った。流石に先生もこらあかんわと思ったらしく、それ以来、ビデオを見る、という形はない。すみません、お気を遣わせます。

 毎回、先生、ポリーヌがフランス語学習者用の教材からの抜粋を用意してくれる。QRコードが付いていて、家で音声を聞くことができるものもある(これはベーシッククラスも一緒)。
 1月はまず新年の風習について、挨拶とか新年の誓いを立てることとか。次に都会で自転車を利用することについて、色とジェンダー・バイアス、最後にモンテ・クリスト伯の新しい映画。どれも何人かの人がそれについて語っているスクリプトを各自で黙読、分からない単語を質問して内容を確認、このときにポリーヌがあちこちに話を振ったりして、それから内容に関する問題に取り組む、というのがパターンである。

 実際どのくらいのレベルかというと、ヨーロッパの言葉の習熟レベルを表すCEFRでいうとB1レベル、つまり中級の下、ぐらいなんだそうだ。娘が「居住許可を有利にするために、移民向けのフランス語検定のB1に合格したいんですよねー」と話したら、ポリーヌが「ああ、これがちょうどB1のリーディングのレベルよ!」と言っていた。ざっくり英検でいったら2級とかへん。つまり高校卒業レベルぐらい? いや、私、挨拶は何とかレベルなんですけど。

 で、読むでしょ。英語と重なる語彙はある程度類推できるけど、それでも分からない単語がいっぱいあるじゃないですか。もう一人の先生、ミシェルが、私のことをとても気遣ってくれて、「いるみ! どう?分かる?」と声を掛けてくれる。大丈夫、全部分かります、なんていうと嘘になるから、「えーっと、これが分からないです…(ほんとは、これもあれも分からないです…)」と答える。ミシェルは張り切って、「それはね、えーっと何て言えばいいかしら、ああ、そうそう、つまりね」と説明してくれる。その説明がさっぱり分からない。多分、自分でGoogle翻訳さんに聞いた方がなんぼか早くて、しかも理解できる。が、そんなこと申し訳なくて言えない。「分かった?」「ううう、ういい…?」「分かんない? じゃ、もっかいね!」あああああ。
 で、まあ分かったふりをしたりするじゃないですか。後から全員でポリーヌと一緒に内容確認するときに、分かってないのがばれたりするわけですよ。娘が「ミシェルが、さっき説明したのにーって言ってるよ」と隣から小声で教えてくれる。いや、ほんと、すまんて。

 それでも、文字を読むのは、特に内容のある文章を読むのは、まだましだ。英語と語彙が重なるおかげもあるんだけど、例えば「ジェンダー・バイアス」とか、自分自身が興味を持てる内容であれば、どういうことが問題になるかとか、想像が付きやすい。それよりミシェルが言ってることが聞き取れない、その方がずっと深刻だ。うーん、道は険しい。話したいことはいっぱいあるのよ、ミシェル。

いいなと思ったら応援しよう!