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【私の年のせいなのか ここが日本じゃないからか29】最初の一週間(1)生活習慣の基本

 うちの子どもたちは小学生の頃から、高校を卒業したら家から出るんだよ、と言って育てられ、二人とも大学入学を機に実家を離れた。以来、盆とか正月とかに帰省したときに数日過ごすのがせいぜいで、一週間以上一緒に暮らしたことはない。子どもが帰ってくると、娘の場合はお風呂と洗面所が長時間占拠される。息子の場合は洗濯物の嵩が激増する。それぞれ、顔を見られるのは嬉しいけど、生活は乱される。親子といえども、離れて暮らせばそうなる。
 今回、娘夫婦のところへ私が行くとなれば、例えば台所の使い方や洗濯物の干し方など、基本的にはこちらが合わせないといけない。ましてや、ゴミの分別や家電の使い方は、日本とはルールが違う。コンビニがそこら中にあるわけでもないから、お店が開いている時間も覚えなければ。市内を走るトラムやバスに乗るための、スマホの操作方法もマスターしたい。

 覚えられないんだよな、これが。何度も同じ事を聞いたらうるさがられるかと思って、聞いたことは紙に書いて、寝室の壁に貼ることにした。ゴミの出し方とか、家電のスイッチとか、お店の営業時間とか。健気だなあ、私。
 ついでに、自分自身の健康管理のためのあれこれも、紙に書き出して枕元の壁に貼った。今までやってきたルーティンの運動をうっかり忘れてしまったり、なんなら薬を飲み忘れそうになったり、ということがあって、もうこれはいよいよ何かの力が身についてきたわね、私、としみじみ実感する。年を取って、工夫が必要なことが増えてくる。工夫すれば何とかなるうちは、きっと大丈夫だろう。工夫することを億劫がらないことを意識しよう。

 娘は料理が好きで、得意である。台所仕事に口や手を出されるのは嫌だろうから(そして私は好きでも得意でもないので)、食洗機が洗ったものを片付けるとか掃除するとかに役割を限定して、掃除と洗濯をせっせとやることにした。べべさんが生まれてきたら、また生活が変化していくだろう。

 婿は料理はしないが、ケーキは作る。彼が日曜日に焼いたリンゴケーキやバナナブレッドが、ウィークディの朝食になったりする。掃除や洗濯も、必要ならやる(私がいれば私がやるけど、私が外出する必要があるときなどはやってもらう)。通販の注文や銀行や公的機関との電話対応などは、彼におまかせである。

 私はフランス語が全くできないし、娘も読み書きはともかく、会話、特に電話などは難しい。そうなると、いろいろな面で婿に負担が集中する。私ができることはできるだけやろう、と思う。一番は、婿がリラックスできるようにすること、親としての役割が果たせるように私でもできることは私がやること。だとしても、何かと気を遣わせていることは間違いないはずだ。適切な距離感を保ちあつつ、お互いに相手にどうして欲しいと思っているのか、オープンにすりあわせていこうと思う。

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