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【私の年のせいなのか ここが日本じゃないからか177】12月(20)ケルン・アーヘン⑨

 午後からはデュッセルドルフまで往復する。デュッセルドルフはケルンから電車で30分程度、クリスマスマーケットが12月30日ぐらいまでやっているというから、見に行こう。娘が、クリスマスマーケットで売られているホットワインのコップが欲しいと言っていた。

 ボルドーからパリまで行くときに使うフランス国鉄のアプリで、ケルンまでのユーロスターは予約できた。同じアプリで、ケルンからデュッセルドルフやアーヘンに行くドイツ国鉄についても時間や料金を調べることは出来るけど、予約は出来ない。ローカル鉄道だからか、国が違うからか。ドイツ在住の日本人が書いているブログや旅行代理店のホームページで調べて、取り敢えずドイツ国鉄のアプリをスマホに入れる。
 ブログなどを読むと、ケルンやデュッセルドルフがあるノルトライン=ヴェストファーレン州全域乗り放題チケットがお安いらしい。ケルンやデュッセルドルフ市内の地下鉄やバスも乗れるとのことだ。アプリで確認すると、現在のお値段が34.80ユーロ、5500円ぐらい。ふむ、地下鉄とかに乗る予定はないけど、安いんだったらこれを買うのがいいかしら。アプリでポチッとすれば買えるみたい。でも、そんなに長い距離を乗るわけじゃないのに、結構なお値段だな。どうしよ。
 と思って、ホテルのレセプションで相談してみたら、「うーん、ケルンからデュッセルドルフまで往復するだけなら、それは必要ないと思うけど…。駅で国鉄の人がいるから、そこで確認するのが一番間違いないよ」との返事だった。そりゃまあ餅は餅屋だ。

 ケルン中央駅に入ってすぐのところに、何でも聞いてください的な窓口がある。二人のおじさん(と言いながら、きっと私より年下)が座っている。がたいが良くて、制服で背筋を伸ばして、整った顔でにこりともしないで、申し訳ないけどちょっと怖い。
 並んで、順番が来たので、「ぐーてんたーく」とせめて挨拶だけはドイツ語で、スマホの画面を見せながら、デュッセルドルフに行って今日中に戻ってきたいんだけど、このチケットって私向き?と聞いてみる。「まあそうだ」。これって最安?「デュッセルドルフに行くだけなら止めとけ、そのアプリで一番安いチケットを教えてくれる、その方が安い」。餅屋がそう言うならそうなんだろう。しかし、アプリが教えてくれるとは?

 教えてくれました、アプリさん。「ケルン発デュッセルドルフ着、今すぐ出発」と入力すると、乗るべき電車の候補を幾つか挙げてくれる。そして、「offer」を見ると値段が出てくる。電車によって値段が違う。国鉄管轄のもあれば、この地域の公共交通機関当局が管轄しているのもある。結局、行きも帰りも13.67ユーロで乗りました。合計で27,34ユーロ、乗り放題よりも7.5ユーロぐらい、1000円以上安く済んだ。現地の人に、特に餅屋に確認するって大事だわ。

 駅構内の、チェーン店と思われるパン屋さんでコーヒーとパンを買って、お店の中でかじりながら、アプリで切符を買う。腹拵えも完璧、さあ、電車へGO。改札もないし、電車内でチェックもなかった。ひょっとしたらボルドーのトラムみたいに車内で機械を使って自分で切符を確認するシステムがあるのかもしれないけど、気づかなかっただけか。翌日、ケルンからアーヘンに向かう電車の中で、初めて切符のチェックを受けた。

 海外でローカルの鉄道に一人で乗る、というのは初めてな気がする。スマホアプリで切符を買うのは、券売機と違って、後ろに並ぶ人を気にせずにゆっくりやれるから助かる。便利な道具には年寄りこそ助けられる。怖がらずに使うようにしよう。
 でもまあ、全部自分の手のひらの中で終わらせるのもいいけど、人に尋ねて、教えてもらって、助けてもらって、えっちらおっちらやっていくのも好きなんだけどね。

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