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【私の年のせいなのか ここが日本じゃないからか114】10月(5)お食い初め①
10月半ば、娘が復職した初日が、べべさんの生後100日にあたった。しかし、この日は火曜日だったので、直前の日曜日にお食い初めを行った。
お食い初めねえ。何やればいいんだっけ? まあ、尾頭付きがあればいいか。日本から持ってきた「すし太郎」でちらし寿司でも作るか?と思いながら検索したら、そうか、お食い初めには赤飯か!と思い至る。そういえば昔、近所の和菓子屋さんにお願いした覚えがあるな。
ブーランジェリーは掃いて捨てるほどあるが、近所に赤飯を作ってくれる和菓子屋さんがあるはずもなく、さて、これはどうしよう。赤飯というのはおこわだから、蒸して作るんだよね。でも、うちには大きい蒸し器や蒸籠はない。日本から持ってきた100均のスチーマーでは一人分がせいぜいだろう。
と、赤飯は無理かと思いつつ、ダメ元で「赤飯 レンジ」で検索したら、レシピが幾つもヒットするじゃあありませんか。なんてこったい、便利な世の中だ。ふむふむ、大きめの耐熱容器があれば、いけるのね。ぎりぎりレンジの中で回れる大きさのグラタン容器があるから、それでいきましょう!
となれば、食材を揃えねば。もち米と、ささげか小豆。
まずは、繁華街にある「アジア・ショップ」に行ってみる。ここには月一ぐらいでお世話になっている。普段は調味料とか豆腐とかを買う。ここで売っている刀削麺を、うどん代わりに食べている(日本のうどんも売っているけど、こっちの方が安いんですもの)。ここで小豆があることを確認する。が、日本産のもち米はない。タイ米はいろいろな種類が置いてあるが、もち米かどうか分からない。というか、タイでもち米って作ってるのか? ここの店番の人はフランス語と中国語しか話さないので、聞くのも躊躇われる。
そこで、行ったことがない日本食材店にトライすることにした。アジア・ショップにはない食材が揃っているけどお高い、と聞いていて、今まで敬遠していたのである。お食い初め前日の土曜日、一人でとことこと歩いていった。
お店に入って、一番奥にお米が並んでいるのを見つけた。日本産の米もいろいろある。でも、全部うるち米だ。うーん、やっぱりもち米はないのかな…と思いつつ、諦めきれないので、レジにいる東アジア系の女性に聞いてみよう。えっと、もち米はありますかって、フランス語で何ていうの、もち米はもう「mochigome」でいいや…って、聞いてみたら、「もち米、ありますよ!」と日本語で返ってきた。日本の方だったんですね。要らん恥をかいた気がする。
「日本のものではないですけど、タイのもち米があります。日本のものと同じように使えますよ」と、1キロ入りの袋を出してくれた。「あー、良かった。孫のお食い初めなんです」「それはおめでとうございます。こちらにお住まいなんですか」「娘がね。私は出産の手伝いに来たんです」「いつまでいらっしゃるんですか」「一年間のビザが取れたので、来年の5月までの予定です。娘にもう帰れって言われなければ」「あら、そういうときはどういうビザになるんですか」「家族滞在ビザとかいうやつです」「そういうのがあるんだったら、私も母に来てもらえば良かった。もううちには手の掛かるような子どもはいないんですけどね」。
お店のオーナーではなく、午前中だけ店番をしているという女性だった。私が鯛を探しに行こうと思っている鮮魚店の話になり、「こないだあそこでトロを買ってきて、うちで子どもたちと手巻き寿司しましたよ!」と話してくれた。やっぱりあの店のマグロなら、生食いけるんだ。
こうして、もち米を手に入れ、アジア・ショップに寄って小豆も買い、赤飯の準備は万全。さあ、今晩から小豆を水につけておこう。