見出し画像

【私の年のせいなのか ここが日本じゃないからか86】8月(12)夫の来訪

 婿と私の間のいざこざは、話し合いで解決した…だけでなく、その直後に起きた、娘の乳腺炎騒動でぶっ飛んだという側面もある。同じタイミングで、婿の復職、娘の手術・入院、そして私の夫がはるばる日本からやってきた。

 婿が産休を終えて復職した週に、娘は乳腺炎で緊急手術を受けた。婿は復職した直後にいきなり、病院に付き添うための休みを頻繁に取ることになったが、勤め先がホワイトで、上司や同僚が理解があって、本当に助かった。

 婿が復職したことで、昼間のべべさんの守りと娘のケアも、私の守備範囲になった。何しろ病院に行ったりとかで不規則でもあり、なかなかに気忙しい日々である。
 戦力が大人一人分欠けるということは、手が回らないことが多く、結果的にどこが手抜きになるかっていうと、掃除ですね。洗濯は、べべさんのシーツやら何やら、毎日洗うものがあるから、当然やるじゃないですか。ご飯は、毎日の楽しみだから、気合い入れなきゃいけないじゃないですか。掃除はね、うふふ、人間、ほこりでは死なない。新生児のためにどうなんだと思いつつ。

 といっている最中に、夫がやってきた。そりゃもうたくさんの荷物を抱えてやってきた。荷物のほとんどは、私と娘が通販で注文して家に送りつけたものと、夫にリクエストして買ってもらったものだ。食材とか化粧品とか冬服とか100均の便利グッズとか、婿のためのブラックサンダーお徳用袋まである。
 木曜日の夜遅く、日付が変わる頃に空港まで迎えに行った。翌日、夫が行った場所は、私の買い出しに付き合って、激安スーパー。家でやったことは、べべさんの抱っことおむつ替え、ミルクやり、更に掃除。フランスまで来て、これだけではいかがなものか。
 と思ったので、土曜日からは観光も少々。定番の大聖堂などに加えて、ワインの博物館とか歴史博物館とか。体調とナースが来てくれる時間の都合が許す限り、娘も一緒に出掛け、土日は婿も付き合ってくれて、代わる代わるベビーカーを押した。これはこれで、貴重な時間であった。

 しかし、結果的に何が起きたかというと、私がへろへろになりましたね。夜はべべさんの泣き声に加えて、夫のいびきで起こされる。更に、昼間は夫を連れて出歩く。そりゃもう、体力の限界に挑戦感がある。
 あれやこれやと運ばせた恩があるから我慢もするけど、私の体力消耗分の元は取らねばならん。家にいる間は、はい、べべさん見てて、哺乳瓶洗って、洗濯物畳んで、掃除機掛けて、これマヨネーズで和えて、などなど、せいぜい使い倒すように努める。あら、日本にいたときとあまり変わらないわね、おかしいわ。

 というわけで、1週間の滞在を終えて、夫が猛暑と台風が待つ日本に戻っていくときには、私は、これで戦力が一人分失われる、チッと思うと同時に、半分ホッとしていた。「孫は来てよし、帰ってよし」という言葉があるが、夫も似たようなものである。違うか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?