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【私の年のせいなのか ここが日本じゃないからか91】9月(5)児童館

 うちにいるだけでは、べべさんの成長に必要な刺激が足りない。首も座らないべべさんだから、外の公園では遊べない。そこで、ボルドー市が運営している(らしい)「児童館」的なところを探して行ってみることにした。ただ、多くの場所が、開いている曜日、時間が限定的で、毎日同じ場所に行ける、というわけではない。

 幾つかある中で、うちから一番近い、歩いて10分のところにあるコミュニティセンターでは、木曜日の午前中に赤ちゃんが遊べる場所が開かれるとのことで、まずそこへ行ってみた。一体、どこから入るの!と迷子になりそうだったが、何とか入り口を見つけて、建物の中へ。奥まった、バレエのレッスンができそうな鏡とバーのある部屋におもちゃが広げられて、数人のお母さんと赤ちゃんが来ていた。
 入っていったら、指導員さん?的なスタッフの方がボンジュールとやって来て、ここは初めて?赤ちゃんは幾つ?ここにコーヒーとかあるから好きに飲んで、ゆっくりしていってね!と言ってくださった。
 後から分かったのだけど、このスタッフの方々は、交代でボルドー市内の児童館のあちこちに毎日出勤しているようだ。同じ人に別のところで会うこともあった。

 赤ちゃんは赤ちゃんが好きだ。どこの児童館に行っても、うちのべべさんはまだプレイマットの上に転がっているだけだけど、ちょっと大きい子たちがべべさんを見て興味津々になる場面に出くわす。
 べべさんはうちにはないおもちゃを見せられて、鳴らされて、楽しそうにしている。何しろまだ小さいので、長い時間機嫌良く遊ぶのは難しいけれど、こういう場所なら授乳もおむつ替えもしやすい。

 娘と私は、他のお母さんや赤ちゃんの様子を見て、いろいろ勉強する。ああいう服は便利そうだよね、5か月になったらあんなこともできるんだね、などなど。
 フランス人だけではなく、コーカソイドであってもスペインやポルトガル、オランダ出身だという人もいるし、勿論、ブラックやアジア系(アラブ系、インド系など。東アジア系は少ない)の人も多い。英語で話しかけてくれる人もいる。
 スタッフの英語力は人によってピンキリで、当たり前だけど、基本的にフランス語が使われる。娘にはフランス語を運用するいい機会である。私は、娘の隣でふんふん頷いている。分かってないけど。娘が復職してから私が一人でべべさんを連れてくることがあったら、どうなるのかな。どきどき。

 多数派のコーカソイドお母さんを見ていて、多くの人がそりゃもう体格がよろしいことに気づく。だからお店でもフリマでも、サイズの合う服が少ないのね。その結果、ああらまあ、乳房がもうもう、私はついうっかりホルシュタインという言葉が頭に浮かんでしまいましたよ(大変失礼である)。
 もう一つ驚いたのは、ごっつい指輪をしてたり爪が長かったりする人が結構いることだ。赤ちゃんに怪我させないのかと心配になってしまう。

 そして、この児童館巡りから、幾つかの出会いが生まれた。
 まず、最初に行ったところ、地域のコミュニティセンターでは、さまざまな活動、イベントが行われている。そういうものに参加するようになったこと。そしてもう一つ、ちょっと離れた場所にある児童館の、赤ちゃん専用の時間帯に行ったところ、娘が出産した病院で知り合ったお母さんと再会したこと。そのあたり、また別のところで。

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